合唱団あらぐさ

定期演奏会に向けて

 先ほどの高野さんのインタビューにもあったように、あらぐさの一大イベントといえばズバリ12月の定期演奏会。ただいま(記事執筆時)11月の終わり、ということで彼らは今最後の「追い込み」中―猛練習をしています。

 そんな忙しい中、私はあらぐさの練習が行われている東大の本郷キャンパス・生協本部第二食堂にお邪魔しました。みなさん見たこともない私に驚きながらも、自然体で一生懸命練習していました。

 それでは、練習の模様を取材中に起きたハプニングとともにレポートします。


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アキレス腱

 午後5時半、あらぐさの練習が始まりました。今日は定期演奏会のプログラムである、ミュージカルと合唱の練習です。練習開始前は、みんな準備をしつつも仲良くおしゃべりをしていました。中にはもう打ち合わせをしている人もいました。

 まずはミュージカルの練習から。舞台監督の指示に合わせて、みんなが輪になってまずは準備体操をします。前屈、アキレス腱伸ばし、肩ならし・・・まるで体育の準備体操みたいです。でも大きな声を出すには体を柔軟にしておくことが大切。この辺も一切手抜きはしない、というあらぐさのプロ意識がうかがえました。

山びこ

 体をならしたあとは発声練習です。
 でもただ声を出せばいいというものではありません。始めは輪になったまま、みんなお腹に手を当てて「アー、アー、アー」とお腹から声を出す練習をしていましたが、次に二手に分かれて部屋の両端に立ち「○○さん」と大きな声で自分とは反対側の壁にいる人に向かって呼びかけ、「ア、エ、イ、ウ、エ、オ、ア、オ」とやまびこのように発生していました。次に名前を呼ばれた人も同じように反対側にいる人に「カ、ケ、キ、ク、ケ、コ、カ、コ」と発生し、以下全員に回るまで続きました。
 私は隅の方から聞いていたがみんなとても大きな声で、それでいてよく通る声でした。普段からの練習のほどがうかがえます。

江戸

 次は、江戸時代の文章を使ってハキハキとしゃべれるようになるための練習です。3〜4人で輪になって、グループ内で交代して発生します。この文章は「外郎(ういろう)売り」といって、二代目市川団十郎が作ったものだそうです。このような文章は日本の劇団では発声練習として一般的に使われているらしいです。私は初めて聞いたのでびっくりしました。
 それでただ文章を発生するだけでなくて、写真からもわかるように表情や手の動作も使っていました。多分言い方に深みを出すためだろうと思います。


 以上、準備体操の段階でした。


練習中

 いよいよ次はミュージカルの練習です。
 各場面ごとに分かれて、それぞれ練習をしていました。ミュージカルなので、音楽もあります。そして音楽に合わせてセリフを歌わなければなりません。セリフを歌うためには、どのタイミングで歌に入るかをちゃんと見極め、それまでの動作やセリフをそれに合わせないといけないし、もしこれを誤れば音楽と歌(セリフ)がずれてしまいます。
 私が思うに、これはかなりの練習を必要としたと思います。しかし、みんな優雅に一つのミスもなくそれをこなしていました。しかも歌にはちゃんと登場人物に合った感情や動作が込められています。おてんばな召使いならチャーミングに、というふうに。
 全体で4つのパートに分かれて練習を開始したミュージカルですが、それぞれに全体を通して見ている役の人がいて、ときどきストップをかけて流れを止め、直したほうがいいところを指摘したり、こうすればもっとよくなるというような指示を与えていました。役者はその人を囲んで真剣に聞いていました。そして練習を再開し、またおかしいところがあれば・・・というふうに続いていきました。

 どのグループにも共通して、どんな妥協も許さないという「雑草(あらぐさ)魂」を感じました。


 ミュージカルの練習が1時間ほどで終わって、次は合唱の練習です。


指示

 ここでピアノが登場。部屋の中央に置かれ、みんながそれを取り囲みます。さっきまでミュージカルの練習をしていたのに、ほとんど休まずみんなぱっとピアノの周りに集まりました。切り替えが早いなと思いました。
 合唱の練習を仕切るのは、指揮者の人。みんなをリードするような明るい感じで練習を進めていたのが印象的でした。
 まずは準備体操と発声練習から。それはミュージカルの時と変りません。指揮者の人のピアノの音に合わせて、先ほどと似たような準備体操と発声をしていました。


…と、ここでアクシデントが発生!
なんと、私のデジカメのバッテリーが切れてしまったのです!
ここから合唱の練習風景を撮影しようと思っていたのに、一体どうしたらいいんだろう…。


 というわけで、ここからは写真はありません。
 しかし、私が聞いたあらぐさの合唱を、できるだけリアルに文章にしてみようと思います。初めての試みですが…。音楽という写真には写らないものを感じてもらえたら幸いです。

 パートはソプラノ、アルト、テナー、バスの4パート。上二つは女声、下二つは男声でした。発声練習が終わったらそれぞれ向かって左からソプラノ、アルト、テナー、バスと並び直していました。
 指揮者から合唱を始める前に一言ここに注意しましょうとか、こういう風に歌いましょうとかの指示があって、いよいよ合唱がピアノの伴奏とともにスタートしました。
 4つのパートがそれぞれ独立しているのだけれど、混ざり合ってハーモニーになっていました。きれいでした。合唱特有のたたみ掛けるような折り合いもあり、躍動的でした。しっとりした歌かと思いきや、うねるような動きのある歌でした。
 途中、指揮者のストップで曲が止まって指摘や指示があるというのはミュージカルのときと何ら変わりはありません。しかし一つのものを全員で完成させる合唱では、みんなさっきより集中しているように思いました。そして注意されたところをその通りに歌い上げていきます。ストップがかかるたびにみんなの歌声がより一層ハーモナイズされ、全体的にまとまった美しく力強い歌になっていきました。


 私のあらぐさ練習のレポートはここでおしまいです。
 しかし、彼らの歌に対する真剣な姿勢、そして練習はこれからも続いていくことでしょう。
 あらぐさの公演は年間を通していくつかあるので足を運ばれてみるといいと思います。真剣な彼らに必ず会えますから。


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記事掲載日:2006-04-10
担当:佐藤愛果
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