生物学研究会

ゴミゴミした都会を離れて自然を満喫してみたいと思ったことはありませんか? 東京大学生物学研究会、略して「生研」は、主に長期休暇を利用して野外に生物の観察に行くサークルです。今回は会長の清水裕介さん(インタビュー当時)にその活動内容を中心にお話を伺いました。


―生物学研究会はどのようなサークルなのですか?

清水裕介さん
清水裕介さん

一言で言うなら「まったり系自然観察サークル」です。主に長期休暇を使っていろんな自然豊かなところに生き物の観察に行きます。夏と冬にはキャンプに行って、春には沖縄に行く楽しいサークルです。参加者は1,2年生のみで、3年生以降はOB・OGとしての参加になります。また、あまり知られていませんが、他の大学の人も入れるという点で、一応インカレサークルです。一般的なインカレサークルと違い、ホームページにインカレサークルと書いてある程度で、他大にアピールしているわけではありませんが、少ないながらも他大生もいます。他大で活動するわけではないのですが、入りたいのであれば歓迎しています。

生研は戦後すぐにあったことがはっきりしているぐらい歴史があるサークルでして、各種のイベントにはOB・OGの方がたくさん参加してくださいます。OB・OGの方は僕よりも経験豊富で、生研の活動のアドバイスもしてくださいますし、大学院の方も来られるので、貴重な話も聞けます。生物系の学科に進みたい人は進路の話も聞けます。

活動は長期休暇中が主なので、懇親会を除けば普段レギュラーでやっている活動はほとんどないです。長期休暇の前に準備が少し忙しくなりますが、合宿中もまったりしています。このサークルは個人の活動が盛んで、個人が好きでやっている活動が集まって生研になっていると考えてもらえば良いと思います。そういう意味ではまったりかどうかもその人次第ですね(笑)。

最近は生物実験などはやっていないのですが、すごく小さいサークルなので、実験をやりたい人がいれば、個人個人でやれるような環境にはなっています。本当に自由なサークルで、個人的には、これがサークルのあるべき姿だと思います。

―1年間を通しての主な活動を紹介して下さい。

まず、4月には新歓イベントで「野草の会」というのがあります。これは新入生を迎え入れて、高尾山にハイキングに行って、そこらへんに生えている(食べられる)野草をとってきて天ぷらにして食べるというイベントです。1年生には生研というサークルの雰囲気を感じてもらうよい機会になります。OB・OGの方もたくさん来て楽しいイベントです。

次に6月に「夜高(よるたか)」というイベントがあります。夜高は「夜の高尾山でムササビを見る会」の略です。まず夕方ごろから高尾山に登り始めて、夜に山頂に着いたら、そこに荷物を置きます。そしてムササビの有名な観察スポットに行って、赤いセロファンで覆った懐中電灯で、ムササビが出てくるのを待ちます。ムササビが出てきた時はなかなか感動しますよ。普段都会にいると、昆虫とか鳥とかは沢山いても、哺乳類に触れる機会はなかなかないので哺乳類を見られることは貴重だと思います。夜高は徹夜する人が多いです。徹夜して語り合う人や徹夜して高尾山の山頂付近をライトを持たずに歩きまわる人がいました。後者は僕もやったんですけど、スリルがあって面白かったです。

夏休みには夏合宿があります。2009年は、苗場山の反対側にある長野県の秋山郷に行きました。6泊のキャンプ生活をしてみんなでアウトドア生活を楽しみました。秋山郷は長野県最後の秘境と言われるぐらい自然豊かなところで、みんなそれぞれ楽しんでいました。合宿の中日辺りには、みんなで苗場山に登り、登山サークルのようなこともやりました。こういう懐の深いところも生研の魅力です。

合宿ではレンタカーを使っていろんなところに出かけて行って生き物を見るというスタイルをとっています。実際レンタカーで見るというのはそれなりにお金がかかる方法なので贅沢なのですけれど(笑)。僕が生研に入ってからこの方法を知った時は感動しました。「うわ、レンタカーで生物見んのかよ」と思いました。レンタカーを使う分だけ行動範囲が広がって、大学生らしい活動になっているかなと思います。

秋には、秋の夜高といって、さっきの「夜の高尾山でムササビ見る会」の秋バージョンがあります。そこでムササビを見て、そのあと夜に懇親会をやります。実際こちらがメインなのですが(笑)。こうしてみんなで親睦を深めます。夜高はとても楽しいイベントなので年1回ではもったいないということで年2回行っています。

冬学期は駒場祭があって、2009年は普段の活動の成果を発表しました。写真展示などが中心で、本当に個人の活動の発表ばかりでした。生物学研究会というサークル全体で一つのことをなし遂げたということではないのですが、例年駒場祭での展示も行っています。

2009年はクリスマス会もしました。12月24日のクリスマスイブ(編注:取材の2日後)には冬合宿という冬最大のイベントがありまして、渡り鳥の聖地・伊豆沼というところに行ってきます。そこでは1万羽近くものマガンが沼から飛び立つという圧巻の風景が見られるということで、去年は行かなかったこともあり、楽しみにしています。

沖縄での写真
沖縄での写真

さらに、春合宿が春休みに2週間を費やして行われます。2008年には、沖縄県の沖縄本島よりもさらに南西にある西表島と石垣島に行きました。そこは沖縄本島よりも台湾に近くて、本州とは全然環境が違います。そこで僕がやった活動は、海に入っていろいろ魚を観察したり、シュノーケリングをやったり、虫を追い求めて山に入ったりすることです。僕はバッタが好きでして、西表島特有のイリオモテモリバッタを見られたのがとても嬉しかったです。正直何でこの生き物がこんなに好きなのかわからないのですが(笑)。このバッタを写真で見ていた時もいいなと思っていたのですが、実際に見た時はこんなに美しいものがこの地球上に存在するのかと驚愕しました。やはり行って良かったです。これが一番印象的でした。

他にも、西表島は自然がものすごく豊かで、毎日新しい生き物に出会えるんですよ。他のところに合宿するのと西表島に合宿するのとでは全然違っていて、毎日が感動の連続でした。素晴らしいところです。何回でも行きたいです。春合宿の僕個人の活動ですが、向こうにはヤシの木やマングローブの木など様々な木があるんです。そこで、春合宿では植物の幾何学的形状を突き詰めて観察したいと思いそれをメインテーマでやっていました。もっとも、メインテーマの設定も必須ではなくて、僕が勝手にやっていただけのことです。ですから、本当にいろいろなことを自由にできるのが生研です。

沖縄など遠いところは、一人で行こうと思ってもあまり行かないと思います。ですから、そういう場所にみんなで行ってそこの自然に触れられて、ちょっと世界が広がったりするのはすごいことだと思います

これが終わると、また新入生を迎えて野草の会を行うことになります。

―清水さんが生物学研究会に入ろうと思った理由は何ですか?

正直いろいろ迷っていたのですが、やっぱり大学生活は楽しまなきゃいけないと思っていました。大学生活ってやらなきゃいけないことがいっぱいあると思うんですよ。そこでちょっと考えていたのが、大学を卒業してからはできないことをやってみようということでした。大学を卒業してからできないことといってもたくさんあるのですが、その中で自分が好きなのは何かなと考えた時、アウトドア的な生活をしてみたいなと思いこのサークルに入りました。

―生物学研究会に入って良かったことは?

1年間本当に大きな感動を得たと思います。普段はできないことですから、自分の好きな生き物たちに出会えて、自分の五感を使って触れたり探したりそういう体験ができたのはものすごく良かったです。また、今まで漫然と生きていたのが、文明社会を離れてキャンプ生活をしてみて、自分はなぜ存在しているのだろうかということを考えるようになりました。他にも、いろんな生き物がいて、その中で生きていると、人間もやはり生き物たちの一員であるという自覚が出たことがわりと大きな変化だったと思います。

―生物学研究会で大変だったことは?

大変だったというより悔しかったことなのですが、自分が生き物について知らなすぎて、行った場所を楽しみきれていないと思うことはありました。生き物に関する予備知識があると、同じ場所に行って同じものを見ても楽しみ方が深まると思います。知識がない自分は、それができていなくて、楽しみきれていないというのを実感しました。それが悔しかったし、これからどんどんもっといろんなことを知らなきゃと思いました。

―最後に一言お願いします。

部室の前で
部室の前で

名前こそごついですが、実態は、ほのぼの系生き物観察インカレサークルなので、生き物が好きな人はみんな入ってくださいね。


リンク

生物学研究会ホームページ:http://web305.web.fc2.com/index.html

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掲載日:10-04-22
担当:稲森貴一
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