京論壇

 昨年度から始まった、東京大学・北京大学の学生フォーラム「京論壇」。2回目の開催となる今年度の京論壇では、より深くディスカッションができるように工夫されているようです。今年度の京論壇を主催する日本側の実行委員会代表、古田英之さん(工学部4年)にお話を伺いました。


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―京論壇とはどのような企画ですか?

京論壇代表 古田さん

 京論壇は、東京大学と北京大学の国際交流イベントです。夏休みを利用して、中国で1週間、その後日本で1週間の計2週間で一つのプログラムになっています。参加者は東京大学の学生12名と北京大学の学生12名の計24名で、歴史・経済・安全保障・環境の4つの分科会に分かれて日中問題を議論してもらいます。両国でのプログラムともに、フィールドワーク・レクチャー・ディスカッション・プレゼンテーションが行われます。

―フィールドワークとは?

 お互いの国について話し合うときに、やっぱりお互いの国の事実について知らないと見えない部分があると思います。もちろん学生同士で交流するのも大切なのですが、実際にそのフィールドで活躍している社会人や現場にいる人たちに会うことで、それぞれの国の実情がやっと見えてくると思います。フィールドワークの場所は4つの分科会でそれぞれ異なるのですが、歴史の分科会であれば史実上で重要な場所、経済であれば大きな会社やモノづくりをしている工場、安全保障であれば官公庁、環境であればエコタウンやNGOなど、それぞれ網羅的に全体像が見えるような形を採りました。

―レクチャーとは?

 東京大学でも北京大学でも同じなのですが、それぞれの大学の教授に概論みたいな部分をレクチャーしていただきます。あとは、ディスカッションしようとしている内容のおさらいをしてもらったり、アドバイスをもらったりもします。レクチャーのときの言語はそれぞれの先生によって異なり、日本語・英語・中国語の中から選んでいただいて、通訳をつけて進めていきます。フィールドワークのときも同様です。

―ディスカッションとは?

去年の京論壇の様子

 ディスカッションは全て英語で行われます。テーマ設定は、一応スタッフから提案しますが、事前に参加者にもテーマについて話し合ってもらいます。去年はその日の議題を決めて、翌日はその続きみたいな感じだったのですが、いろいろと反省点・改善点がありました。今年は深くディスカッションができるように、ディスカッションの方法をもっと良くしていかなければいけないと考えています。具体的には、4つの分科会の横断的なディスカッションを行ったり、4つの分科会でバラバラなことを話すのではなく、全体として一大テーマみたいなものを設定したりして、まとまりのあるものにしたいと考えています。

―プレゼンテーションとは?

 日本と中国それぞれのプログラムの最終日にプレゼンテーションを行っていて、一般に公開しています。参加者はディスカッション中に、プレゼンテーションに向けてアウトプットをまとめるようにしています。去年のプレゼンテーションには、学生・留学生・高校生・教職員・社会人・主婦など、さまざまな人たちが見に来てくれました。また、新聞やテレビなどの取材を受け、京論壇の活動やアウトプットの内容を伝えることもできました。今年も、一人でも多くの人たちに見てもらいたいと思っています。

―この企画の目的・意義を教えてください。

 日中問題を扱う学生イベントや交流サークルは、結構たくさんあります。しかし、これまでのイベントでは、中国の学生が日本に来ることはあっても、日本の学生が中国に行くことがなかったため、お互いのことを浅くしか理解できていなかったと思うんです。そこで、両国を訪問するというプログラムがあれば、本当の意味で経験知に基づいた議論ができて、視野も広くなり、学生という身分を最大限に利用したディスカッションができるのではないかと考えました。また、これから日中関係がすごく重要になってきますが、20〜30年後、外交やらビジネスやらで活躍している両国のメンバーを集めるということが、京論壇だからこそ目指すべきところだと考えています。

―参加者はどのような人たちですか?

去年の京論壇参加者

 去年の日本側の学生12名には、法学部・工学部・経済学部・院生などさまざまな所属の学生がいました。しかし、参加者は皆、学生でありながらさまざまな活動をしていて、非常に視野が広かったり、モチベーションが高かったり、日中の問題を何とかしていかなければいけないという問題意識を持っていたりしました。中国側の学生も非常に優秀で、国際関係に強い学生が多く、将来政治やビジネスの世界で活躍するだろう人たちが集まりました。

―京論壇を開催することになったきっかけは何ですか?

 WAAVという学生シンクタンクのOVALという企画を、僕も前代表の鈴木雅映子もやっていました。OVALというのは、日中韓3国の学生が集まってビジネスコンテストを行うという企画です。そこで中国の参加者として来てくれた人の中に、SICAという団体の代表がいました。SICAは北京大学公認の団体で、各国のトップといわれる大学同士を集めて、両国の問題を討論し合うといったことをやっています。アメリカだったらスタンフォード、イギリスだったらオックスフォードといった具合です。その日本版がないということで、SICAの代表から前代表の鈴木に声がかかったんです。企画を一つ真剣に作るのには、すごいエネルギーが必要なので、そこまでしてやる意義があるのかどうかを話し合いました。結局、これまであった他の企画では実現しにくかったものを実現できるプログラムだとか組織とかができるんじゃないかということで、京論壇を企画することにしました。偶然の出会いから始まって、2年後に一つの企画になったということです。

―実行委員会はどのようなメンバーで構成されていますか?

去年の京論壇の様子

 去年は、イベント運営ノウハウを持ったWAAVなどのイベント出身者を始めとする15名で構成されていました。参加者と同様に、スタッフも学部横断的に集めています。国際関係という分野への興味が非常に高くて、去年の京論壇の成功には欠かせない部分だったと思います。中国に関心を持っている人も多いですし、中国に限らず国際情勢に興味のある方がやはり多いですね。

―なぜ中国(北京大学)なのですか?

 10年後を考えたときに、最も大きく変わっているのが日本と中国の関係だと思うんですね。そういう中で日本人が中国人のことをどれだけ理解しているかというと疑問で、あまり中国のことを知らないのが現状です。その10年後を担う人材が、今ちょうど大学にいるので、その人材同士が話しておかなければいけないという意識があります。あと、やはり中国の北京大学生で京論壇というプログラムに期待をしている学生が、非常にレベルが高く、モチベーションも高いのです。世の中こうしたい、変えていきたいと思っている学生が、中国にたくさんいて、それに応える形で日本でメンバーを集めています。両国のそういう意識の高い学生が集まることが、重要だと考えています。


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掲載日:07-04-22
担当:廣瀬俊典
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