アマチュア無線部

 アマチュア無線と聞くと、無線機を使っているんだろうなぁ、と想像するものの、具体的に何をやっているのか知らない人が多いのではないでしょうか。今回はアマチュア無線部をご紹介します。部員の竹内惇さん(院生)、笠原駿さん(1年生)、柏原一仁さん(学外生)にお話を伺いました。(2009年度取材当時)

アマチュア無線部とは

――まず、アマチュア無線部の紹介をお願いします。

部員の三人

竹内 私たちは主にコンテストと呼ばれるものに参加しています。コンテストというのは無線の競技会のようなもので、いろいろな団体が開催していて、一定期間内に何局と交信できるかを競い合うものです。

竹内 普段はコンテストに向けて機材を整備しています。コンテストは大きいものだと年に4回開催されていて、小さいものを含めると毎週あります。もちろん全部は出ていませんが。

柏原 コンテストは同じ場所・同じ時間に開催されていることもあって、その中で自分たちはどこに出るかを考えて、そこに向けた整備・調整をしています。

竹内 同じ場所というのは、交信する地域のことです。コンテストといっても、集まるんじゃなくて、ここ(部室)から出場するんです。とはいえ、年に1回くらいは、移動運用といって、河原や山に行ってアンテナを立てることもあります。

柏原 実は無線機ごとに合うバンド(電磁波の周波数。波長の区間)が異なっています。コンテストによって特定のバンドしか関係ないということがあるので、大会ごとに整備・調整は異なってきます。

――アマチュア無線の魅力は何でしょうか?

竹内 理論的にも実践的にも面白いことです。自分で組み立てて、この周波数にはこれくらいの長さのアンテナが必要だという、科学・技術に基づいた知識を使って、自分で電波について実践できるというのはなかなか魅力的です。

笠原 僕は不特定多数と交信できるのがアマチュア無線の魅力だと思います。電話で良いじゃんとなったら、電話番号を知っている人にしか電話できないし。

――アマチュア無線と言っても免許がいるんですよね?

竹内 聞くだけなら問題ないのですけれど、電波を出すには免許が必要です。無線局に無線局免許状、個人に無線従事者免許証というものがあります。

竹内 無線局免許状には、どのバンドの電波を出して良いか書かれています。これは申請すれば発行されるもので、試験はありませんが、申請するには免許証が必要になります。

柏原 免許証を持っていないと免許状は取得できないのですが、免許証の取得には、試験を受ける必要があります。ただ、免許状を持っていなくても、無線機を運用できます。

柏原 免許状を持っていなくても、アマチュア無線部の構成員であると登録してあれば、ここで運用できるんです。

竹内 免許状には社団と個人の2種類があるのですが、無線部では社団の免許状を取得しています。社団の無線局にはコールサインというのがあって、駒場のものはJ1ZLOなんですけれど、これが世界で1つのコールサインで、電波を出すときには予めこれを言うことになっています。

柏原 コールサインは無線局であればどこでも持っているもので、たとえばフジテレビならJOCXで、文化放送ならJOQRといった具合で、メールアドレスや電話番号みたいなものです。

――アマチュア無線部の活動の中で大変なことは何でしょうか?

機材

竹内 メンバーが足りないことですね。今は部員が少なくて、実働5,6名なんです。

柏原 先ほど言ったコンテストというのは、だいたい短くても3時間から48時間ずっとぶっ通しでやるものなんですね。長いものだと1週間ずっとやるものもあります。僕らが出ているコンテストはだいたい24時間なんですけれど、その時間を、一番多いものだと10バンド運用し続けることになります。そうすると、もし 10人いて、24時間寝なければ、フルに稼動できるのですが、OBの人に来てもらっても、10人にはならない。それで、24時間フル稼働はできないんです。

竹内 そもそも24時間ずっとなんてやらずに寝ますけれどね。でも、制限時間内にどれだけ多くの人と交信できたかを競うには、稼働時間を長くした方が良いので、人数が多いに越したことはありません。最近は他大学の無線部さんと合同でコンテストに参加したりもしています。

柏原 アマチュア無線は1980年くらいからブームになって、バブル崩壊の前から衰退し続けているので、無線人口は減少の一途をたどっています。無線をやっている人はおじさん・おじいさん世代が多くて、大学生で無線をやっている人が減ってきているので、どこの大学の無線部もメンバーが足りない感じです。

竹内 無線部のメンバーが多いという大学では、パソコン関連の部と合同になって活動しているみたいなんですけれど、うちは純粋に無線だけやっているので、なかなか人が入ってこないですね。

――免許を取るのが難しそうですね。

笠原 免許を取るのは簡単ですよ。

柏原 だいたい小学校高学年か中学生程度の知識で一番下のもの(第四級アマチュア無線技士)は取得できます。

柏原 免許よりも、ヘッドホン被って何をやっているのかわかりづらいというのが、無線に取っ掛かりにくい理由じゃないかな、と思っています。

竹内 他に大変なことといえば、機材が重いことですね。重いものだと20kgくらいあります。アンテナも持つのが大変です。アンテナは、そんなに重くはないんですけれど、何せ長さがあるので、持ちにくくて。

柏原 それを高さ20mくらいの鉄塔に乗せて、調子悪かったら下ろして調整して、また上げて、ということを時々やります。

竹内 屋上に上るのは危ないので、安全に気をつけなければいけません。こうしてみると、結構肉体系です。1回設置してしまえば、放って置いても良いのですけれど、台風が来たり何だりで調子が悪くなると交換しなければならなくなります。

――ところで、無線部ホームページのトップにあるALL JA1コンテストとは何ですか?

竹内 先ほど言ったコンテストのうちの1つで、わたしたちが主催しているものになります。このコンテストは関東地区を中心としたもので、対象は日本全国です。日本国内で、関東圏の人と関東圏外の人とで部門を分けて、交信数を競います。

――ちなみに交信はどれくらい話すのですか?

竹内 コンテストでいえば、15秒くらいです。コンテストはちょっと特殊で、ほとんど会話しません。

柏原 「こちらはJ1ZLO(コールサイン)です。東京大学アマチュア無線部です。誰かいますか」と言うと、それを聞いた人が「○○(コールサイン)いますよ」と答えてくれるので、それを控えます。

竹内 その後コンテストナンバーと呼ばれる都道府県ごとの番号を交換しておしまいになります。そうしないと、局数を稼げないんで、長々と今日の天気はどうですこうですと話していると……

柏原 怒られます(笑)。

竹内 コンテスト以外では、だらだらとチャット代わりに使っていますから、どれくらいの時間話すかは何とも言えませんね。

――無線部に入ろうとしたきっかけは?

竹内 高校に無線部があって、そこからダラダラと入っていくという感じです(笑)。

柏原 僕もです。さっきも言ったように無線人口が減少しているんですね。その中で無線部に入ろうという人は、昔からやっている人が多いです。もちろん、急に電波に興味を持って、大学から無線部に入ったという人もいます。

――最後に、記事を読んでくれた人にメッセージをお願いします。

竹内 アマチュア無線に興味がある人でも、なかなか家では大きなアンテナを上げられないし、機材とかも高価で手を出しづらいかもしれませんが、その辺は普通の家庭よりもはるかに充実していると思います。良い環境が整っているので、興味のある人は是非来てください。

柏原 興味のある人は自ずと無線部に入っちゃうと思うよ(笑)。僕らの活動の主体は無線をやるということでやっているんですけれども、さっきから言っているように、それだけやっている時代でもなくなってきたんで、無線以外にも遊びに事欠くことなく活動をしていきたいですね。

――今日はありがとうございました。

あとがき

アマチュア無線部は何をやっているのだろうという疑問が解けました。機械をいじったり、人と話したりする人もそうでない人も一度無線部を訪れてみてはいかがでしょうか。

リンク

東大無線部ホームページ:http://ja1zlo.u-tokyo.org/


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掲載日:10-05-07
担当:大野雅博
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