劇工舎プリズム

30年以上の長い歴史を持つ劇団サークル、「劇工舎プリズム」。他のサークルと協力して年に2回公演を行なっています。駒場キャンパスの正門付近の大きな看板でその存在を知る人も多いことでしょう。今回は、主宰の宮原さんにお話を伺いました。


代表

―「劇工舎プリズム」という名称にはどういった意味があるのでしょうか?

光を入れると屈折率の違いによって色が分かれるプリズムがありますよね? 色が分かれるというところから、いろいろな個性を劇団員一人一人が持っているけれど、みんなが一つにまとまって一つの劇を作り上げているという意味が込められていると言われています。

―団体の概要について教えてください。

劇工舎プリズムは東京大学とお茶の水女子大学を中心としたインカレサークルで、それぞれの大学の人数比は1:1くらいです。毎年2回公演を行なっていて、次回の公演(2013年6月の公演)でちょうど60回目になるので、単純計算では30年くらい続いていると言えますが、設立当初では年に1回の公演だった時期もあったようなので、40〜50年の歴史があるかと思います。

劇団員の構成としては、現時点(2013年3月)では1年生が19人、2年生が20人でおよそ40人です。そのうち役者とスタッフの分担は変動があるので一概には言えませんが、次回の公演での役者の予定人数が16人なので、スタッフが24人となり、人数比としては2:3くらいです。全体の男女比は1:1くらいですね。

活動場所は公演のときと稽古のときで違っていて、公演を行うのは毎回決まっていて駒場キャンパスにある駒場小空間です。稽古を行うのは、駒場のコミュニケーションプラザや学生会館やキャンパスプラザ、お茶の水女子大学の学生会館のような施設で、駒場とお茶女で半々くらいです。

活動時期については、夏公演が6月末ごろ、冬公演が10月と11月の間くらいに行われるので、その準備・練習のために3月末から6月末までと、7月と8月の間くらいから10、11月までという感じです。また、1年生だけで行う新人公演が3月にあり、これは1、2月を使って準備をしています。

―新入生はどんなことをやりたいと思って入ってくるのでしょう?

新入生が入ってくるパターンは色々あって、例えばもともと演劇をやりたいと思っている人は役者というイメージが強いので、役者をやる希望を持っている人が多いです。でも勧誘するときには、高校の学園祭で設営や広報、誘導などを楽しくやれたという人にも、そういった事をもっと大きな規模でできると勧めています。そういうことに惹かれてきた人たち、もともと演劇には興味がなかったけれどなにかやりたいなと思ってきた人は、自分の興味のあるスタッフワークをやったりします。スタッフワークにもいろいろあって、舞台、音響、照明、宣伝美術、衣装、制作、小道具、web、映像などのセクションがあります。

公演

―ひとつの公演を作り上げるのにどのくらいの人手・時間がかかりますか?

期間は3か月が目安です。公演の3か月前に会議を行なって誰が脚本を書くのかを投票で選びます。さらに話し合いをしたり、各スタッフが物を作ったりプランを考えたりして、役者が練習を開始します。本格的に準備が始まるのが2か月前です。そして、公演1週間前にみんなで舞台を設営するときがあって、これを「仕込み」と呼んでいます。このときは、劇工舎プリズムに所属する40人では足りないので、密接なつながりのあるシアターマーキュリー、劇団綺畸、E.S.S.ドラマセクションと協力しています。人数規模としては100〜150人くらいです。例えば壁を建てる時は、大きいものだと3、4メートルくらいの高さになるので、人手が必要となり100人以上の人数で行います。1週間くらい前になって、公演を行う駒場小空間に入ることを「小屋入り」というのですが、小屋入りすると、劇団員が駒場小空間に寝泊まりして準備をしていきます。音響や照明は会場に入ってからでないと分からないので、入ってから色々な実験をしたり音楽を流したりします。小屋入りからはプリズムの団員だけで作り上げていきます。

まとめると、3か月前から始動して、2か月前から本格的な準備が始まって、公演前1週間は死ぬ気でやって、公演が2、3日あるという具合です。

―活動は何年まで行なっていますか?

引退が3年の6月の公演なので、そこまでが一般的な活動期間です。しかし、引退してからも色々な団体で公演する人が多くて、そういう人が先ほど挙げた4団体で合わせると150人くらいいるので、その中で好きな人が集まって公演を打つ、プロデュース公演というものを行なっています。そのような公演が毎年、現役の人たちの公演の合間を縫って十数回行われています。引退してからも演劇を続ける人が多いです。

―OB・OGとはどういったつながりがありますか?

稽古に来ていただくことは多々あります。やはり先輩方のほうが年を重ねている分、知識があるので、稽古に来ていただいてアドバイスを頂いたり指摘を受けたりします。

公演の1か月くらい前から、実際に脚本を1回通して役者が演技する「通し」というものを行なっていて、それは週1回あるので公演までに合計4回行われます。この「通し」の中で、その状況を見てこのシーンでは音響や照明はどうしようかとプランを練るなどするのですが、この時に先輩を呼んで見ていただいて叱咤激励を頂くことが多々あります。また、実際に公演にも来ていただいて、公演後も色々なアドバイスをもらっています。

―宮原さんが劇工舎プリズムに所属するきっかけはなんでしたか?

高校時代に演劇をやっていたからですね。高校時代に始めたきっかけは学園祭です。やはり、学校の文化祭から演劇に入っていく人が多いように感じます。高校で始めて、好きだったので大学でも継続しています。

―劇団をやっていてよかったと感じる時はどんなときですか?

公演で最後に役者が全員並んでお客さんに礼をするのをカーテンコールというのですが、そのときにお客さんの拍手が鳴り響いて、自分でもうまくいったなと思うときがやはり一番楽しいですね。実際演技をすることによって、一回しかない人生の中で、嘘ではありながらも自分のものではない人生を生きられるというところに演劇の面白さがあると思っています。ですがそこで満足するのではなく、お客さんからもよかったと言ってもらえると初めてよかったと実感できます。

―演劇の魅力とはなんですか?

今の時代、映画とか色々なものが見られて、大規模なものでも安ければ1000円くらいで見られますよね? それに対して演劇は、学生劇団は無料なんですが、社会人の劇団を観に行こうとすると小さい劇団でも1つの公演で2000〜3000円、もっとする場合には5000〜9000円くらいします。映画の方が色々なことができて安いけれど、演劇は制約があって高いということを考えると、演劇は時代遅れなやり方に見えるかもしれません。しかし、演劇が好きな人がいるというのは、演劇では表現している役者、スタッフとお客さんが時間と場所を共有している分、どんなに映画が3Dなどの技術を進化させても本物には勝てないということだと思います。やはり本物が与えるインパクト、臨場感や立体感、そういうものがお客さんに与える影響は大きいと思います。お話の感動や笑いは、ライブの方が大きく表現できて、観る方もそれを感受することができると思います。それが今の演劇の魅力だと思います。

―他の演劇はよく観に行きますか?

3月は1年生の公演期間で自分には時間があったので、よく観に行きました。金銭面では苦しい部分がありますが、得られるものもあります。一つの演劇でもいろいろな表現があって、例えばダンスだとジャズやHIPHOPなどの多くの種類があるように、演劇でも壮大なものから小さいところでやるものもありますし、規模だけでなく表現形式においても、言葉を全く発しないものなど多様にあります。そういったものを見ていると、こういう表現もできると分かり、それを自分なりに取り入れて自分の表現の引き出しを増やせると考えています。そういう意味で演劇を観ることによって得られるものがたくさんあると思います。

―最後にこの記事の読者にメッセージをお願いします。

演劇に興味のある新入生の方は、新歓練習などを見に来てほしいですね。演劇には興味が無くても、サークルで何をやろうか迷っている人で、今まで文化祭とかをやっていて楽しかったことがあった人や、何かやってみたいと思っている人もいると思います。劇団では色々なことをやっていて、役者だけでなくスタッフとしても活躍できるので、そういう人も是非顔を出してみてほしいです。あと、演劇には興味がなくて、他のサークルに入ると決めている人も、もし時間があれば公演を見に来てもらえると、とても励みになります。東京大学の劇団は、全国規模で見てもいいものを作っていると自負しているので、ぜひ演劇の面白さを感じていただければと思います。学生の劇団は無料なので、時間があればついででもいいので公演を見に来ていただけると幸いです。

―ありがとうございました。

リンク

劇工舎プリズム:http://gekikousya.web.fc2.com/


このページにコメントを送る
このページへの評価:
いい!よくない!
掲載日:13-06-02
担当:池田拓也
*