宇宙開発フォーラム実行委員会
― 宇宙開発フォーラム実行委員会について教えてください。
1年に一度のフォーラムのための活動を中心に、普段はフォーラムのコンテンツ作りに向けた勉強会を週1回やっています。今は3月なので、フォーラムの準備というよりは勉強の時期で、最近話し合っているテーマは主に2つあります。1つは宇宙航空研究開発機構(JAXA)が募集しているテーマで、衛星で位置情報を1メートルの精度で提供できるようになった場合に考えられるサービスについて研究会を進めています。このテーマに関するコンテストがあるので、それに応募することを考えています。もう1つは宇宙基本法という法律についてです。宇宙開発のやり方をきちっと枠組みに押さえて、国家でもっと戦略的に宇宙開発を進めるための基礎となるもので、おそらく次の国会で可決されると思います。宇宙基本法の背景は2つあります。1つは宇宙産業となると初期投資も莫大で、ビジネスとなっている例があまり無いので、国がサポートするべきという考えです。もう1つはアメリカ・ロシア・中国に遅れないように日本がどのような衛星を打ち上げるべきかなどを戦略的に考えられるようにするためです。自民党に宇宙基本法や宇宙開発の方法を議論している宇宙開発特別委員会がありますが、私達はそこに呼ばれて議事録を取ったりして勉強しています。
メンバーは文系理系半分ずつくらいで、ちょうどいい感じです。もともとこの団体は2002年に法学部の人達が立ち上げたんですが、翌年に新入生として入ったのが理系だけで、設立メンバーからすれば不本意だったようです。それ以後、文系理系がバランスよく入るように工夫して現在にいたるわけです。現在スタッフは20名くらいで、いろんな大学の人がいるので、東大生の割合はあまり高くないですね。1年生から始める人が多いですが、2,3年から始める人もいて、途中参加も大歓迎です。
― 活動に関わろうと思った理由を教えてください
荒堀真生子さん 大学に入った時と今ではモチベーションの方向性が全然違いますが、入学した時は宇宙飛行士になりたくて、宇宙開発フォーラムという名前のインパクトに誘われて入った感じです。入った当初の私は宇宙開発がやりたいだけで、社会に役立てるという発想は無く、やっていて楽しければいいじゃんみたいな感じだったので先輩達の話についていけませんでした。しかし活動しているうちに、宇宙開発って使うお金も時間も莫大なのにこんなに独りよがりでいいのかと思うようになりました。フォーラムのコンセプトを説明する時にサイクルという言葉を出しましたが、今では宇宙開発が社会貢献につながるようなサイクルをみんなに考えて欲しいという理由で活動に関わっています。
入学当初の私は宇宙宇宙と言っていて、それを宇宙開発に興味がない人に話した時にものすごい温度差を感じました。「夢があっていいけどお金もかかるし勝手にやれば?」みたいな感じに言われて、話が通じないのはどうしてだろうと考えた時に、役に立つ身近な宇宙開発が無いからかなって思ったんです。それが今私の中にある問題意識に繋がっていますね。やっぱり自分で好きなものがあったら、みんなにもそれをわかって欲しいという気持ちが出てくるじゃないですか。私は宇宙開発が大好きなので、宇宙開発を活かして社会に貢献できたらいいなぁって思っています。
河野綾子さん 私は小さい頃に親によく科学系のイベントに連れて行ってもらって、そういうイベントを運営しているスタッフに憧れがあったというのがあります。また入学時から航空宇宙工学科に進みたいと考えていたのですが、宇宙開発に関わろうか、航空機に関わろうか迷っており、考える機会が欲しいと思っていたところこの団体を見つけました。航空機は利用する機会もありますが、宇宙開発というと身近に見る機会が滅多に無いですしね。
理系で専門に進むと、どうしても専門の勉強ばかりに集中してしまいます。もちろんこれも大事なことなのですが、ここに来ると、いわゆる「理系」の研究成果が社会に与える影響や、宇宙開発に関わる政治や経済の話などを色々な分野の人から聞けるので、自分の将来を考える参考にもなります。また全国に宇宙開発を扱っているサークルは他にもたくさんありますが、この団体は宇宙開発の技術を社会科学的な視点で見るという数少ない団体なので、活動する中で自分の視野も広がると思います。
― 活動していて楽しいことは何ですか
荒堀 友達と話をする時の楽しさとはまた違いますが、サイクルの中で宇宙開発を考えていかなくちゃいけないなってことが、フォーラムの参加者の感想を聞いて伝わったと感じる時に達成感がありますね。例えば技術系の卒論を書いている学生がフォーラムを経て、自分の卒論にはなぜその技術が必要かという視点が無かったことに気づいて問題意識を持ってくれたらフォーラムは成功ですね。そしてそういう意識を持った人が将来技術者になったら宇宙開発ももっと良くなるかなぁって思います。あとは、宇宙開発というテーマとは少しはずれますが、自分が理系なので文系の人達がどういうことに興味を持っているか知るのも楽しいと思いますね。
河野 この団体に入っていると勉強だけでなく、実際にイベントの準備をする過程でプレゼンをしたり企業を見に行ったりする機会がよくあります。私自身内気な性格で人と話すのが苦手なので、活動する中で自分のスキルを鍛えることができました。企業の方と交渉をしてこちらの意思が相手に伝わり、結果として協賛金をもらえたりすると達成感があります。また、フォーラムでは宇宙開発に関する法律や国の政策など普段なかなか考える機会のないテーマを扱っていますが、参加者の方が自分の企画したワークショップなどでこのような話題を考えるきっかけを得たと言ってくれると、フォーラムを開催した甲斐があったと嬉しくなります。
― 活動していて苦労することは何ですか
荒堀 これはフォーラムのコンセプトそのものに繋がっていますが、宇宙開発にどういう意味があるか協賛企業に説明しなきゃいけない時に、説明できるメリットってそんなに無いんですね。宇宙開発という、そこまで身近に考えられてこなかったものの有用性を説明することに難しさを感じます。もちろんそれを変えるのがうちらの団体なわけですけど……。
もう1つ代表となって苦しいと感じることもあります。やっぱり実行委員会といってもサークルなので、スタッフにも他に優先することがあると思います。そこで、例えば成果を出したい時に動ける人にムラがあると、会社ではないのでお金で解決するわけにはいかないんですね。スタッフ本人に活動する意義を感じてもらわないといけない時に、代表としてマネジメントに苦しむ時がありますね。
河野 荒堀さんみたいな高尚な苦労はありませんが(笑)、フォーラムの直前になってもワークショップの準備ができず、1週間前は毎日終電で帰ったとかそういう苦労はあります。また、メンバーの専攻や興味も多岐にわたっているので、毎年のフォーラムで何を扱うかを考える際に、自分達がフォーラムで参加者に何を伝えたいのかということを皆で共有するのに時間が掛かります。でも、これは色々な立場の学生と議論できる絶好のチャンスなんですけどね。
― 最後に一言メッセージをお願いします。
荒堀 宇宙開発に興味がある人も無い人も、自分の専門分野をちょっと違う視点から見ることを勉強する一つの機会としてこの団体があるので、自分の専門性にとらわれずに社会貢献というサイクルの中で物事を考えることに興味のある方は是非私達と一緒に勉強してみませんか。お待ちしています。
河野 大学に入ると1つの専門に専念することになるので、社会に出る前から少しずつ、自分と社会とのつながりを認識する場としてこの団体は適していると思います。専門を深めていく中でも、それが社会とどういうつながりがあるのかなという視点は大切だと思うので、大学に入ってからも幅広いことに興味持っていただければと思います。
実行委員会の方からは、宇宙開発をよりよいものにしたいという意志が感じられました。フォーラムは、科学と社会貢献について考えさせられる有意義な場だと思います。興味がある方は参加してみてはいかがでしょうか。
イベント情報
宇宙開発フォーラム2008
開催期間:2008年9月20日(土)〜21日(日)(2日間)
開催場所:武田ホール(東京大学本郷キャンパス武田先端知ビル5階)
参加費:無料
地図
アクセス
宇宙開発フォーラム実行委員会(SDF) ホームページ:http://www.sdfec.org/
