宗教学・宗教史学研究室

駒場博物館展示:トーラーの成立からユダヤ教へ

駒場博物館外観

駒場キャンパスの正門を通り抜け、1号館に向かって右側へ歩いていくと、大きな木に隠されるようにたたずむ建物があります。 そこは駒場博物館。実は、誰でもいつでもふらりと立ち寄れる施設です。 この場所を通して出会える東大の一側面をご紹介します。 現在開催中の展示に携わった博士課程の学生とお会いすることができました。


ユダヤ教と聞いてどんなイメージがうかびますか。 自分の国をもたない民族がどのようにしてアイデンティティーを形成してきたのでしょうか。

有名なようでマイナーなユダヤ教、そこに生きる伝統を知ってほしいと思い現在展示を開催中です。 ユダヤ教というと「金持ち」とか「パレスチナ問題」とか、「ホロコースト」を思い出されるかもしれません。しかしそのようなイメージはごく一面的なんですよね。 私たちはユダヤ教の文化の中で一貫したものがトーラー(キリスト教が旧約聖書と呼ぶ書物の最初の5編)を通して保ち続けられているのではないかという見方を紹介します。古代から現代をつなぐ彼らのアイデンティティーの根底を知り、ユダヤの文化により親しんでほしいと思います。

ポスター

展示の解説ではすごく基本的なところから入るように注意しています。しかし同時に、大学の博物館でもあるので深いところまでも説明したい。シンプルだけれども充実した内容だと評価をいただいています。 前半の土器のコーナーではパレスチナのコレクションがありますが、あれほどまとめて公開されたのは初めてだといわれています。さらに土器を直接触れるコーナーもあるので非常に面白いと思います。また、展示されているパネルの解説はパネルの写真に写っているヘブライ語やアラム語を学生たちで数ヶ月かけて調べました。そこまで注目してもらえると、うれしいですね。

今回の展示は開催が決まった三ヶ月前から博物館の方々、宗教学の市川裕先生とパレスチナ考古学を専門とされている中村青生氏、そしてゼミの学生たちで準備をしてきました。 宗教学の研究室自体は全体で80人くらいいます。研究室の雰囲気はとにかく自由。宗教というくくりの中、様々な幅広い関心のもとに、それぞれが自分のテーマを持っています。テーマが違うから関係ないというのではなく、だからこそお互いに何かを学び取ろうとする、そんな学風のある場所で研究をしています。

展示の企画に関わったことで、これから研究者としてやっていく基本的なことを学びました。当たり前のようにわかっていることをいかに相手にわかりやすく話すか。たとえば同じ用語でも、使うたびに改めて説明を加えるとか、そういうところが私にとって勉強になりました。

今回の展示を見にきてくれた方がこれまで以上にユダヤ教に興味を抱いてくれたらうれしいですね。また、もし研究したいと思ってくれる学生がでてきたらなおさら、後輩として大歓迎です。

今度展示にちなんだシンポジウムが予定されていて、そこで話をする機会があります。ユダヤ教だけでなく、キリスト教やイスラームも含めて宗教の中の祈りがどのように機能しているのか、ということを具体的な事例をあげて先生方と説明していきます。わかりやすく話すというところは私たちの課題です。みなさんも、ぜひ知らないことを知ろうという姿勢で積極的に参加してほしいです。

山本 伸一さん

人文社会系研究科
宗教学宗教史学研究室博士課程1年
山本伸一さん


東京大学美術博物館 http://museum.c.u-tokyo.ac.jp/
東京大学文学部 http://www.l.u-tokyo.ac.jp/
イスラエル大使館 http://tokyo.mfa.gov.il/mfm/web/main/missionhome.asp?MissionID=43

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掲載日:06-06-21
担当:熊沢直美
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