学生団体STEP

 近年では世間で環境問題が注目され、エコが叫ばれるようになりました。そんな中、工学部の学生が中心となって活動している学生団体STEPは、学生の立場から環境・エネルギー問題に立ち向かっています。今回は、代表の櫻原達也さん、副代表の田中悠一朗さん、学術部門長の村岡諒平さんにお話を伺いました。


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―学生団体STEPについて教えてください。

学生団体STEP

櫻原 私たちは工学部のシステム創成学科の学生が中心となり、計23名で活動している学生団体です。財団法人コカ・コーラ・教育・環境財団から協賛をいただいて活動を進めています。環境・エネルギー問題を自分たちで考えて行動していこうという方針で、学術部門と啓発部門という2つの方向で活動しています。学術部門というのは環境・エネルギー問題に関して様々な媒体を通して調べるなどして最終的に自分たちで日本の環境・エネルギーをどうしていくべきかというビジョンを作って提言していこうという部門です。啓発部門は中立的で正しい知識を学生の立場から社会に発信しようという活動をしています。

―それぞれの部門の説明をお願いします。

村岡 学術部門では幅広く勉強した上で日本の将来の戦略を考えて発信しようという方針で活動しています。私たちは工学部の学生なのですが、幅広く勉強しようということで理系分野に限らず経済的あるいは政策的な面も含めて勉強して、環境・エネルギー問題に関する様々な視点を持った上で、日本の将来をどうしていけばいいか考えています。
 去年(2009年)の五月祭では2050年までのエネルギービジョンを作って、それを実現するための戦略を発表しました。今年(2010年)はそれをベースに今度は2100年までの超長期のビジョンを作り、その中で今年の学術部門のテーマである、現在の鳩山政権(当時)に欠けている視点を中心に戦略をまとめて発表します。(編注:取材は五月祭前)その他にも論文の形でまとめて専門家や研究所に提出することも考えて活動しています。

田中 啓発部門というのは今年できた部門です。環境・エネルギー問題は人が一番関わってくるので、社会との関わりの中で解決していかなければならない問題です。だから社会との関わりを強く深くしたものをやっていこう、社会の一人一人が環境・エネルギーに対する意識を向上していける活動をしようという考えの下で活動しています。高校に出向いて環境・エネルギーについての授業を行うという出前講義を今までに5高校、累計おおよそ1050名の高校生を対象に行ってきました。
 また、一般の方々の環境・エネルギー問題に対する意識を向上させることを目的にした五月祭企画の立案も進めています。五月祭はエコカフェという企画を行いますが、そこでは私たちが作ったエコ検定というものを行います。加えて1時間に1回程度、環境・エネルギー問題に関係するイベントとして、私たちが1年間行ってきた出前講義を一般の方向けに作り直して行います。更にフリーペーパーを発行する予定です。20ページ程度のものを2000部程度発行してお客さんに配り、環境・エネルギーに対する意識を上げていただけたらと思っています。

―学術部門ではどのような活動を行っていますか。

村岡 まず現状把握として幅広い勉強です。続いてエネルギービジョンを作成します。これはエネルギーと需要を考えて、例えば需要であれば産業部門や運輸部門などの観点から、先ほどの例で言えば2100年までどのように推移していくかを計算していきます。それに応じて電力や一次エネルギーの供給も同じように計算したビジョンを作りました。
 次の段階として鳩山政権に欠けている視点、具体的には主に再生可能エネルギーと運輸について戦略案を考えました。最近環境問題の観点から注目されているもののひとつに電気自動車などがありますが、例えば再生可能エネルギーとして太陽電池をたくさん入れると、日光の量によって出力が変わりますよね。すると電気自動車の動力源である電気が不足しますので、これを主体とした運輸システムは機能しなくなります。今太陽電池を導入するよう盛んに言われていますが、そうした変動をどうするか、その対策があまりなされていないのではないか、という観点で考えます。
 他にはバイオマスエネルギーをテーマに取り上げることもあります。バイオマスというのは森林整備の際に切り落とされる木材や食品の残りなどの生物由来の不要物のことです。産業部門では将来化石燃料が無くなったときに様々な部分でバイオマスを使おうということが言われています。しかし日本の政策の中でバイオマスはそんなに表に出てこないのでこの解決策を考えています。

櫻原 なぜ産業部門でバイオマスという話になるかといいますと、実は産業部門では単純に熱を得なければならないとか工程で電気を使用するというのに加えて、特に化学工業では原料としても化石燃料を使っているので、超長期の時間軸で考えると、いかに枯渇性の資源から持続可能な資源に切り替えていくかということが重要になっています。すると化石資源を代替できるおそらく唯一の資源がバイオマスであろうという見通しが専門家の間でも主流なのです。けれども鳩山政権の議論の中では2020年の二酸化炭素25%減という議論が先行しがちで、超長期で考えたときにどうしなければならないのかという話が中々出てこないのです。そこに問題意識を持って活動しています。

―出前講義ではどのようなことをなさるのですか。

田中 出前講義では対話を重視し、大きく分けて2種類の形式をとっています。1つはグループディスカッションです。クラスを10班程度に分けて、将来国民のみんなが納得できる発電構成を各班で作ってもらいます。基本的には二酸化炭素の排出量とコストを条件として与えて、その条件下で各班に話し合ってもらいます。
 もう1つは環境・エネルギーに関するゲームをしてもらいます。これは発電所を建てることでお金を得て、持っているお金をできるだけ多くしようというゲームです。けれども二酸化炭素が出てしまいますので、これをある形でお金に換算して引き、その結果を班で競い合ってもらいます。このゲームによって二酸化炭素とお金のトレードオフを教えています。私が司会をすることが多いのですが、私がずっと話すわけではなく10分くらいの説明の後はそれぞれ生徒同士で話し合い、その後フィードバックをするという授業です。


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掲載日:10-06-21
担当:亀甲博貴
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