相撲部

活動風景

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 校舎の裏のグラウンドの、更に奥のところに建物?しかもこの大きさなのに、中でスポーツの練習? 私のそんな戸惑いをよそに、声をかけてくる人がいた
「こんにちは。」
彼は近寄ってきて笑顔で迎えてくれた。
少し安心し、ゆっくりと部屋の中に入る。 一瞬息を呑む。 どまんなかに土俵。
知られざる駒場の一空間で繰り広げられる東大相撲部の実態。。


PART1

たくさんの賞状

 練習の予定時間。部室には二人。部屋に置いてあるテレビからニュースの音が聞こえる。平和な時間が流れていく。あたりを見回すと、たくさんの賞状やトロフィーが並んでいたり、その前に力士の格好をしたマネキンがいたり、その横にはふんどしが何本も干してあったり。部員の二人がのんびり外を眺めて待っていたり、ゆっくり準備をはじめたり。
ふと、頭にはホームページで見たこんな文書が、思い浮かんだ。

福利厚生充実
以下に該当する人は相撲部に入って道場や豊富な備品を利用しましょう。鍵は各部員に渡されます。

自分の居場所がほしい
荷物を置きたい
プレステしたい
体育の後シャワーを浴びたい
終電に乗り遅れた
授業がないときに昼寝をしたい
授業があるときに昼寝をしたい
風呂がない
家がない

稽古や試合で必要なのはまわし(国費が下りる)のみ。稽古の後はみんなで夕飯を食べに行きますが、新入部員はもちろんタダ。裸無一文でも大丈夫です。

http://www.dosukoi.net/~todai/index0.htmlより

うーん、なるほど。。。 。

PART2

相撲部の練習風景

 一時間後。ちょっと別の用を済ませ、ふたたび部室に戻ってみた。すると目に飛び込んできたのは土俵ではなく、ふんどし姿で土俵を囲んでいる部員たち。10人ほど集まっている。彼らは取材者二人が部屋に入ったのにも動揺せず直向きに稽古を続ける。先ほどにない緊張感が私の体を走った。「カシャッ、カシャッ」カメラの音も気になってしまう。

 インタビューで、主将は東大相撲部はすごく「居心地の良いところ」だと言っていた。
 なるほど。やっと分かった。
 アットホームな雰囲気で、のんびりと部室を使える時間。これと、部員揃って真剣に稽古に取り組む時間。2つのメリハリが、初めて訪れた私にもしっかりと感じ取れた。この切り替えがあるからこそ、稽古による能力の向上はもちろん、部としての成長や部員同士の深まりが育まれる。

 撮影を終え退室しようと軽くお辞儀をし、顔をあげた次の瞬間、空気に変化が感じられた。部員はみな軽く稽古の手を止め笑顔で送ってくれようとした。稽古中、言葉を交わす機会はほとんどなかったにも拘わらず。
 帰り道、さわやかな秋の夕暮れだった。「東大相撲部、また覗きに来よう。」

PART3

両国国技館での大会の様子

 その週末、私は両国にある国技館へ立ち寄った。テレビでは何度も見たことがあった会場だが、実際に客席に立ってみるとその空間はずっしりと重みが感じられた。

 まわりの観客を真似て枡に区切られた桟敷席に足を崩して座り、食べ物をつまみながら観戦していた私は、東大の出番をまだかまだかと待っていた。団体戦の1部が終わり、大会に参加している全大学の選手たちが集まって行われる開会式が始まった。そこで東大の力士たちを目にすることができた。
国技館の土俵の周りに整列した力士たちの表情は稽古の時よりも一段と、凛々しく見えた。  ん? 。。。「凛々しい」?

 なんとも他に類を見ない「相撲」という空間。凛々しいの一言では言い表せないそのなにか。
日本の国技と認められ、その歴史を誇る相撲。また同時に世界においても認知度を高め、国境を越えて理解を獲得したスポーツ。日本、国内外の両方においてその特別な地位が誕生したのは、なぜなのだろう。相撲について考えてみる。

 例えばある外国人の視点から相撲は以下のように映る。
"What is unusual is that of all the sports mankind has carried with it into the television age, sumo is by far the most peculiar. ... Take its pace, for example ... approaching their bouts with a minimum of fretful haste, and a maximum of dignified ceremony. ... Not even when wrestlers come to grips is this air of solemn dignity dispelled. Elsewhere, hand to hand combat, ...is inevitably accompanied by violance. ... only when a sumo wrestler loses his balance does he lose his dignity ..." (Harold, Bolitho. "Frolicking Dragons: Mythic Terror and the Sumo Tradition"1987. )

両国国技館での大会の様子

 時代を通して近代に残った大衆スポーツの中でも相撲はあきらかに最も特殊だと記されている。そのゆったりとした力士たちの威厳ある動きと落ち着きは他のスポーツではあまり見られない。また、この筆者は別の箇所で、相撲の伝統への忠誠さについて語る。現在に至るまで、これほど様式や格好等の儀礼的習慣が守り続けられていることも特徴の一つだと。しかしまた、ただ古いというだけでもない。逆の視点に立ち、17世紀後半ごろに人気の高かったスポーツを比較すると、当初は少ない、集客を肯定的に受け入れるという近代的要素を相撲は前近代に既に備えていたと言う。

 近代の中の前近代、前近代の中の近代。そんな時代に動かされない相撲という競技を背負い、表にぱ?み出てくる力士たちの凛々しさ。
 そんな表情が、国技館に立つ東大相撲部員たちの顔から輝いていた。


ホームページ: http://www.dosukoi.net/~todai/


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記事掲載日:2004-11-15
担当:熊沢直美
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