スイーツ同好会candy bowl

 スイーツ男子という言葉を聞く機会も多い今日この頃。東京大学にはスイーツ同好会CANDYBOWLがあるのをご存じでしょうか。スイーツを愛してやまない人々が集うスイーツ同好会では何が行われているのか。甘い物には目が無いUT-Lifeスタッフが、スイーツを取り巻く現状も含めて代表の2年生富久真輝さんにお話を伺いました。


―CANDY BOWLというサークルについて教えてください。

富久さん

富久 2008年に東大の院生の方が発足させたサークルです。当初は会員が5人で始まり、2009年には60人、2010年現在では130人にも増え、メーリス会員は400人います。男女比は1対1程度のインカレサークルで、男子は9割以上が東大、女子はお茶の水女子大、東京女子大、日本女子大、学習院、ICUなどさまざまです。2010年から東大初のスイーツサークルとして東京大学公認をもらいました。とはいってもサークルの中心となって運営をしているのは10人ほどで、まだまだ少なく、これからは20人ほどに増やしたいと考えています。
このサークルのテーマは、「スイーツを通じた社会貢献」です。社会貢献といってもそんなに大げさなことばかりではなくて、たとえば大学生の交流の場を作る、お菓子作り教室や普段は高くて行きにくいようなお店に行ってみる、など大学生の中でのちょっとした貢献から社会に向けていろいろ発信できればいいなと思っています。

―普段の活動を教えてください。

富久 主な活動は、スイーツ巡り、月2回のお菓子作り教室、情報発信の3つです。
スイーツ巡りでは月2回、日曜日の午後に一流スイーツショップを巡っています。
月2回のお菓子教室では、フランス帰りのパティシエである森美麗先生をお呼びして、指導していただいています。調理費も含めて2000円という安価な会費、料理に慣れない男の子でも簡単に作れるよう、森先生に工夫してもらった簡単なレシピになっています。素材の説明などもかなり詳しくしてもらっていて、例えば、「コンビニで売っているような商品とはこう違うんだよ」ということを聞けるのは良いところかなと思います。
情報発信としては、ブログ、ホームページの他、企業へのアプローチを積極的に行っています。4月にはサークルKサンクスの商品開発に呼んでもらってコンビニスイーツの試食会に参加しました。また、情報発信の一環として副代表の古賀志緒里さんが中心となって、さまざまなお菓子作りコンテストに出展しています。サークルの活動を企業にアピールし、商品開発につなげていくためです。2009年10月11日に行われたかわごえ和スイーツコンテストという川越市をあげた大きな大会では、古賀さん達の作った「いもんぶらん醤油タルト」がみごと準グランプリに輝きました。スイーツ親方で有名な芝田山親方からも「わー、これはおいしかった」と言ってもらえました。最近では五月祭で初めて出店した「Patisserie Tommy」がMFA アワーズ2位をもらい、小金井市地場野菜スイーツコンテストで1位と3位をとることができました。

―将来やっていきたいことはありますか。

富久 今後やっていきたいことは主に3つあります。
まず1つは現在のところ、情報を集めたり、お店を回ったりするだけなので、もっと世間へアピールする活動をするということです。そのために東京大学というブランドとスイーツというトレンドを掛け合わせて、フリーペーパー、もしくは雑誌を作ったり、お菓子作り教室を一般の人々にも開放したりしたいと考えています。それが本来の目的と合わないこともあって難しいですが。
もし可能ならば行く行くは広く事業を展開して経済的に独立した組織にして行こうと思い始めています。最近いろいろなNPOを訪ねていると、ちゃんと組織すれば採算が取れるようにもなるということが分かってきました。会社にとは言わないけど、自分たちだけが楽しんでいる今の状態からもっといろんな人とつながって世間に発信していく組織になりたいです。
次に「受験生応援スイーツ」というのを考えています。東大生がおすすめする、頭が良くなる、といったキャッチコピーでオリジナルのスイーツを作り、企業の商品としてコンビニなどに置いてもらおうという計画です。これはもう少しで実現しそうなところまで来ています。
最後に、スイーツの本当の姿を伝えたいです。食育とも関連するのですが、虫歯になる、太るなどの偏見があるなかで、まだまだ知られていない世界中のスイーツについての情報や身近なスイーツの素材・製造過程を知り、勉強会などを開いてみんなで共有しようと思っています。その一環として、11月に出店する駒場祭では(編註:取材は2010年駒場祭前)素材や作り方にこだわったお年寄りから子供まで楽しめる安心安全なスイーツにこだわりたいです。そのため今回はもうレシピを配ってしまおうかと思っています。

―情報発信の方法としては他にどのようなものをお考えですか。以前お話しさせていただいたときはプレゼンを1つのツールと考えておられるようでしたが。

富久 やっぱりスイーツをただ勧めるだけでも良いのだけど、分析して「こういうところが良いのではないか」ということを議論してもっと明らかにしたいところはあります。
合宿の中でもちょっとしたプレゼン大会を開いたりしています。僕らも具体的に何をしてくれと提示しているわけではないからみんなに発表するという意識付けをすることで、スイーツに対する感性を高めていってほしいという段階ですね。今後はこれをもうちょっと発展させて、「ただここが良いですよ」と勧めるだけではなくて、「原料にこうこだわっています」とかもっと多角的にとらえてスイーツの魅力を全部出せるようなプレゼンを将来サークルの中でしてみようと思っています。それが魅力的なものになったら、今度は外部の人を呼んで会議室を借りてプロジェクターでも使ってパワーポイントで発表するようにしていきたいですね。これは発表する側にもメリットがあるし聞く側にとっても勉強になり人生の彩りになると思います。今はまだまだですけど、そういうことを通じてサークルの中で、もっと発表するんだという意識を高めていきたいです。

―活動をやっていて大変なこと、楽しいことは何ですか。

活動風景

富久 基本的にやりたいことはいっぱい提案するけれどそれは好きでやっていることで、そこから先どんどん人に割り振っていくというのが今のやり方です。例えば合宿にしても、全て合宿担当にやってもらったし、誰かがこれをやりたいって言ってそれにメンバーが共感してくれてそれを実現させてくれるというのはありがたいことです。割り振っていく中で仕事の調整を行ったり、みんなを励ましたり、提案したり、相談に乗ったりしています。そうしないと特定の人の仕事が大変になり、つらくなってメンバーが逃げていってしまうということになりかねないので気を付けています。サークルなんだし楽しんでやらないと意味がない。今年度は130人もいるということで運営が大変なのだけれど、どうやったらみんなが楽しんでくれるかなというところを毎回考えていてそれが大変です。運営などの仕事をしてくれた人を褒めるシステム作りや仕事して良かったな思えるような組織作りなどを悩みながらやっています。
なんだかんだ言ってやっぱり楽しいのはみんなでスイーツを食べているときですね。ちょっとした機会に幹部メンバーでお疲れ会とかで食べるときはやっぱり、趣味が合う穏やかな人たちばかりなので集まりやすくて良いです。

―大規模なサークルなので代表としての仕事は大変ではないですか。

富久 本当は苦手です。実際、他の団体見るともっとうまくやっています。特に法人格を持っているNPOの代表は2、30代の人が多いけど1人で全部できてしまう。例えばフリーペーパー出すとして、学生記者が3人、社会人が7人くらいで動かすのだけれど、当然お金が出るわけがないから、スポンサーを探さなきゃいけないんです。でもこんな不況のなかでそうそう企業がお金出してくれないから、その地域のお祭りのおすすめマップみたいなものを自分たちで作ります。それを条件に企業や個人からお金を集めて、そのお金でフリーペーパーを作ります。マップを作るだけじゃなくて祭りを盛り上げるために自分たちで見せ物を出したりしています。団体の全ての活動を代表が企画し、考えているんです。そういうはっきりしたビジョンを持ってやりたいです。
一昨日、鎌倉高校で「語り場」というNPOに参加して、3、4時間目の授業時間を使って、進路指導をしました。その団体は年60回くらい企画を行っているしっかりした組織です。毎回生徒1人あたり1000円程度のお金が入るから生徒が300人いたことを考えると、30万円はいってくるわけです。それを年間60回やっていれば1800万円の収入ができて経済的に自立できます。企業活動をするのではないけれど少なくとも事務所を借りたり、大規模な事業を行ったりすることができます。

―このサークルに入ろうと思ったきっかけは何ですか。

富久 最初のころはビラ配りなどをしていなかったのでたまたまmixiで見つけて、スイーツサークルが東大にあるのだということに驚きました。そのころはちょうどスイーツが流行りかけていたころで、すごく先見の明があってセンス良いなと思いました。たしか、その後ぐっとスイーツ男子などの言葉がもてはやされるようになったと思います。そして、穏やかな人たちが多かったので、とりあえず新歓に行ってみました。いい加減なサークルだったらどうしようかなと思っていたのだけれど、実際に会ってみると当時の運営側の人たちが一生懸命考えてやっていて、話を聞いているうちにいいなと思うようになりました。ありがたかったのは先代の人たちが地盤を作ってくれていて、すでに現在のような、スイーツ巡り部門、お菓子作り部門、情報発信部門、イベント部門、祭り部門という組織ができていたことです。1人か2人でも各部門にコアな人がいてくれて、引き継いでくれたからやりたい放題できました。すごく感謝しています。今もはじめの頃の思いは変わっていなくて、外から見るスイーツ同好会よりも実際はセンスがあるなと思います。

―昨今のスイーツ事情についてどう思われますか。

会議の風景
会議の風景

富久 最近、思うのはカフェとかで男の人が普通にパフェとか頼んだりしますよね。それってスイーツの潜在的な需要はまだまだあるということかなと。口に出して「スイーツ好きです」とは言わないまでも、「あったらじゃあ頼む」という人はすごく多い。そういう人を取り込むのが目標です。けっこう今の1年生でそういう人は多いです。合宿の中でプレゼンしていた人の中にも、にやにやしながらスイーツのことしゃべっていた人がいて 、ほんとに好きなのだなって思いました。そういう人が入ってくれているのはうれしいです。

―最近ではコンビニスイーツなどの身近なスイーツが充実してきていますね。

富久 それぞれの会社がプライベートブランドを作って商品棚を充実させています。ただコンビニの売り方はもう少し良くできると思います。スイーツだけで買うことはまずないからご飯を買って食後にスイーツを買うとか、スイーツと一緒に飲み物を買うとかになりますよね。サークルKサンクスの試食会に行って感じたのは、バイヤーにしろ作る人にしろスイーツのことしか考えていないんです。コンビニの中で売るのに、分野をまたいでやらないから苦労する。ましてやコンビニだから日持ちさせなければいけない等々制約が多く、結局中途半端なスイーツになるような気がします。とはいえ、売れていますからね。

―ワインだと専門店ならチーズやハム、ドライフルーツの類がおいてあるものだし、スーパーでもおつまみが近くにありますよね。スイーツと合う紅茶などは絶対あるはずです。

富久 スイーツでもそういうキャンペーンを打つと良いのだろうけど、きっと分野が違うから難しいんでしょう。コンビニの中で自分が知っている同じようなコラボは弁当とお茶があわせて何十円引きみたいなもの。あれをスイーツでやればいいけれど会社が違うから難しい。

―本来は切っても切り離せないもののはずですが。スイーツを食べに行って単品だけって言うのはまずないですよね。よほど飲み物が高い店でもない限り。

富久 それは君だからこそよく分かっていること。良い感性。僕の好きなサントリーの商品は飲料が中心だけど、そこにスイーツ部門を作ってしまえばいい。サントリーのジュースとスイーツで売れるわけだから。
このサークルがオリジナルで提案しているのは「夜スイーツ」です。これはお酒とスイーツをセットにして売るというアイデアです。同じような考えで、例えば飲み会の時、買い出しに行くとお酒とおつまみは絶対一緒に買ってきますよね?では売る側が一緒に出せばいい。そうすれば「ああいいね、お酒に合うんだったら買っておこう」ってなるから。

―スーパーでもコンビニでもおつまみとお酒は近くにおいてあります。

富久 あれは小売店側の努力じゃないかなと思います。ただ、酒売り場と生菓子売り場はスイーツを冷やさなければいけないなどいろいろな都合上離れているから、お酒と生菓子の売り場を離すという考えは本来ナンセンスなんだけど仕方ないです。そのあたりを企業に提案していけたらと思うけど、説得力がまだ足りないです。とはいえどの企業も市場が飽和して苦戦しています。どれも半熟、ふわふわ、ロールケーキでは差が付かないから。
他に案があるとすれば有名店とのコラボが良いと思いますね。たとえば、川島直美さんの夫がやっているトシ・ヨロイヅカ、ベジタブルスイーツのポタジエ、のケーキがコンビニで売っています。ああいうのをもっと増やせばいいです。コンビニの強みは24時間営業と、どこにでもあることです。デメリットは少ないもの、変わったものは売れないことです。パティスリー(編註:いわゆるケーキ屋さんのこと)の弱いところは小さくて、売れる量、場所が少ないことだけれど、一流の美味しいものが食べられるわけだから両者を足せば相殺できます。僕がもしコンビニの商品開発だったらそういうコラボをもっと出していきたいです。

―最後に読者へのメッセージどうぞ。

富久 好きなことから進路を選んで欲しいです。自分のくだらない趣味でも今ほんとにちょっとはまってることでも好きなことを全部挙げてみて、じゃあ何で好きなのかを考えてみる。そして、これが好きなんだこれならできるんだというのが見えてきます。そうすると進路が開けます。逆に親がやりなさいこれ行きなさいと言っている段階では絶対自立しません。親が言えば中学受験はできるけど大学受験はできないじゃん。東大行きなさいって言われてやった人は結構失敗しているし、東大入った人はなんだかんだで東大行きたいって思って入ってきた人が多いから、自分の選択をしなさい。自分の好きなものから探してきなさいと言いたいです。
あとは他の人の人生とかを積極的に見て欲しいですね。サークルとかボランティア、バイトでもいいからやらなきゃ始まらない。ぼったくりバーで何度ぼったくられたことか。ぼったくられながらも、こうやってぼったくられるんだって。今のうちにだまされないと将来だまされるから。失敗してもやった方が良い。

あとがき

 スイーツ同好会がまったりしつつも非常に熱心なサークルであることはわかっていただけたでしょうか。単にお菓子を食べたり作ったりするだけではなく広く深くスイーツに関われること請け合いです。スイーツが好きな方は入ってみることをおすすめします。

リンク

東京大学スイーツ同好会ホームページ:
http://candybowl.org/
東京大学スイーツ同好会ブログ:
http://ameblo.jp/candybowl2009/


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掲載日:11-08-10
担当:大熊隆太郎
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