FRESH START@駒場
FRESH START@駒場という企画をご存知でしょうか。今年度で3回目を迎える新入生向けのイベントで、先生方の講演を聞いたり、いくつかのグループに分かれてジュニアTA(新入生を引率する東大生)と一緒に行動したりします。ジュニアTAは企画をあらかじめ準備していて、企画はグループごとに違います。全ての企画を紹介することはできませんが、FRESH START@駒場に参加しなかった新入生にもその様子をお伝えします。
- キャンパスツアー
- 開会式
- 大学での学びとは(R班)
- ドキュメンタリー批評(E班)
- かくれんぼ(W班)
- 妄想アカデミックシート(U班)
- 1年後、どのように生活していたいか(V班)
- 将来なりたい自分になるには(K班)
- フェルミ推定(J班)
- 外国語教育についてのディベート(F班)
- 閉会式
キャンパスツアー

トム・ガリー特任准教授の特別講演が始まる前に、新入生の希望者を対象にジュニアTAが案内するキャンパスツアーが行われました。
ジュニアTA1〜2人と新入生10人程度で1つのグループとなって、900番教室前から駒場キャンパスを反時計回りに一周しながら、要所要所で説明を行うという形式でした。1号館や図書館、コミュニケーションプラザなど学生にはおなじみの施設から、駒場池や多目的ホールなど普段の生活ではあまり訪れない場所まで一度に回ることができ、新入生も興味深げに耳を傾けていました。
一周して900番教室に戻ってきたところでキャンパスツアーは終了し、その後特別講演という運びとなりました。
担当: 金井雄太 ![]()
開会式

会場の900番教室には募集人数の倍にあたる約400名の新入生が集まりました。開会式は濱田純一総長のビデオメッセージ、教養学部長の山影進教授のお話のあと、トム・ガリー特任准教授の講演がありました。「学びのすすめ〜知の「原子」と「結合」〜」という一見難しそうな題ではありますが、トム・ガリー先生は3つの例を出しながら、大学での学びのあり方について「原子」を既知の知識、「結合」を新しい知識にたとえてわかりやすく講義しました。さらにグループを作って、「歴史」を例にした場合の「原子」「結合」とは何かを考えさせる場面もありました。最後に「自分にとって大学の勉強とは何かについての「結合」を見つけてほしい」と訴えて開会式は締めくくられました。
担当: 富川恵美 ![]()
大学での学びとは(R班)

高校とは違う大学での学びとは何だろうか。R班はインタビューやレポート作成、グループ発表を行うことで大学での学びとは何かを考えさせてくれました。
講師の石浦章一教授へのインタビューでは、インタビューする項目を自分たちで考え、制限時間内で質問します。続くレポート作成では石浦先生の専攻するアルツハイマー病について、グループで協力して資料をもとに有力な仮説をたてました。最後に全体で大学での学びとは何かを発表しました。
参加した新入生に聞いたところ、グループで意見を言って共有できたことが面白かったといった感想が多く、自発的であることや双方向性の大切さを実感し、高校での受身の授業とは違った大学での学びに対するイメージが膨らんだようです。
担当: 富川恵美 ![]()
ドキュメンタリー批評(E班)

2人のジュニアTAと木村秀雄教授が引率するE班は、昼食後114教室に移動して、まずは簡単な自己紹介をしました。
その後、新入生12人を3つの班に分けた上で、ドキュメンタリーを視聴し、それを班ごとに批評する、という企画が行われました。ドキュメンタリーとして使われた題材はNHKの『一期一会』という番組で、テーマは「化粧をしない女性」。化粧をしない22歳の女性とモデルの椿姫彩菜さんを番組で何度か会わせて、女性の心境の変化を追っていくというものでした。
30分ほどドキュメンタリーを視聴した後、ジュニアTAの手助けを受けつつグループごとに意見を話し合い、まとめていきます。はじめはどことなく遠慮がちだった新入生たちも、次第に自分の意見を主張していけるようになり、最後には「この女性は番組の取材が終わった後も化粧を続けるだろうか?」といったことから、「この番組は“やらせ”なのではないか」という大胆なものまで、各班ともそれぞれの批評をきちんとまとめていました。
そして、各班がそれぞれの意見を発表し、ジュニアTAが今回の課題についての簡単な解説をして、この班のグループワークは終了となりました。
担当: 金井雄太 ![]()
かくれんぼ(W班)

W班は3名のジュニアTAと栗栖源嗣(くりす・げんじ)准教授によって引率されました。昼食の後に8号館の一室に集まり、自己紹介ゲームやラッキーゲームなどを行って互いの顔と名前を覚えるとともに新入生の緊張をほぐしていきました。
ゲームが終わると栗栖先生が部屋を出ていき、かくれんぼが始まりました。8名いる新入生が3つのグループに分けられ、どこに先生が隠れているかをキャンパスマップを広げて話し合います。第一希望と第二希望が決まったところで実際にその場所に行ってみました。先生は無事900番教室で発見され8号館へと戻りました。その後かくれんぼの目的である「ものに隠れている意図」についてディスカッションが行われました。
最後に16号館にある栗栖先生の研究室を訪れ、研究内容や実験器具の説明を受けました。早くも研究内容に興味を持った人もいて、参加者にとってとても実りある時間だったと思います。
担当: 牧祥子 ![]()
妄想アカデミックシート(U班)

U班の企画は「妄想アカデミックシート」。大学にはどんな講義があると思うか、どんな講義を受けてみたいか、といったいくつかの項目について一人一人自由に考えることを通して、実際に大学が始まってからの「主体的な講義選び」を促そうという狙いです。
初めに新入生、ジュニアTA、丸山康司特任准教授がそれぞれ自己紹介を交わしたのち、早速妄想アカデミックシートが配布されました。記入し終わったあとは実際にシラバスを参照し自分の想像と比較するという流れで進み、合間にはジュニアTAによるおすすめ講義の紹介や、丸山先生による講義選択に関するアドバイスなどもありました。
最後に妄想アカデミックシートに書いた想像と実際にシラバスを眺めた感想を一人ずつ発表する場が設けられました。皆それぞれ興味を持った講義などを挙げていましたが、中でもやはり最先端の研究に関連する講義への関心は高く、また野外で行われる体験系の授業や、ラテン語などの触れる機会が少ない古典語の講義の存在に驚いた、という感想も多くありました。
印象的だったのは、丸山先生から新入生に向けて発せられた「高校と大学の学習の違いとは?」という質問に対し、「自由に選択できるが、その分堕落もしやすい」「自分から積極的に取り組むことが必要になる」といった実に鋭い答えが返ってきていたことです。またどの新入生にも共通して文理の壁を越えて様々な教養を身につけようとする姿勢が見られ、これから始まる大学の学習に対し、早くも積極的に取り組む意識を高めている様子が窺えました。
担当: 松澤有 ![]()
1年後、どのように生活していたいか(V班)


V班の企画は、ジュニアTAや瀬地山角准教授の指導の下、1年後にどのような大学生活を送っていたいかを想像し、生活の中に占めるいろいろな要素(勉強、サークル、アルバイト、etc...)の時間配分を円グラフに表してみる、というもの。3つのグループに分かれて話し合いながらの作業でしたが、ジュニアTAの誘導で終始和気藹々と取り組んでいました。
まずは瀬地山先生のミニレクチャーを聞いてから、ジュニアTAが経験を基に書いてきた円グラフの例を見て要領をつかみ、作業を開始。とはいえ新入生はまだ大学生活というものに実感がない様子で、順調には進みません。「ひとまず大学生になったらやりたいと思っていたことを箇条書きにしてみては」「自分は大学に入ってからこのようなことを始めてみた」といったジュニアTAの意見に耳を傾け、またグループのほかのメンバーの展望も参考にしつつ、グラフを完成させていました。
その後グループ内で一人一人のグラフを見せ合い、ほかのメンバーから質問を受け、それに対する答えをさらに書き込んでいく、という形式で内容を細部に渡り充実させていきます。最後はグループごと、メンバーの書いたいわば未来予想図を紹介し合いました。
まだ正式には入学前、ほとんど大学生になったという実感が湧いていない状態、それでも想像力を働かせて1年後の自分の青写真を描いてみるというのは、これから始まる入学初年度の生活に張り合いを持たせるよい契機となったのではないでしょうか。
担当: 松澤有 ![]()
将来なりたい自分になるには(K班)


K班では村上郁也准教授と2名のジュニアTAの引率の下、「大学の学び」を考えるための企画が行われました。
最初に5号館の518教室に移動し、ジュニアTAが「大学の学び」をどのように考えているのかということを、PowerPointを用いたスライドショーで説明しました。実のところ、K班を率いたジュニアTAの2名は少し変わった経歴の「学び」を体験してきており、例えば「文学部でフーリエ解析を用いて脳波の研究をしている」などの異色な経験談も豊富に織り交ぜられていたように思います。大学では自分の学びたいことを一生懸命、思いっきり学べばよい。こういう大事なことを、新入生に気付いてもらうための契機になったのではないでしょうか。
次に、教室で村上先生がどのような研究をしているかということをご自身で新入生に対して講義され、その後2号館にある村上先生の研究室へ見学に行きました。村上先生は心理物理学や認知神経科学を専門とされており、錯視を用いた興味深い研究などもされています。研究室では6人の大学院生が自分の研究内容を、実際に実験装置を動かして簡単なデモを見せながら説明していました。2年生になりたての筆者は実のところ、今回の取材で初めて大学の研究室に足を踏み入れました。研究室を訪れるということは、サークルや部活にも忙しい駒場生の多くは経験したことがないように思います。入学する前から研究室の見学ができるなんて、少し羨ましくも思いました。
最後に、また先ほどの518教室に戻り簡単なグループワークを行いました。研究室見学が思いのほか盛り上がったために十分な時間は割けなかったようですが、「自分は将来どのような人間になりたいか」、「興味のある学問は何か」などを各々がテンプレートに書くことにより、初心を明確に洗い出しておくためのグループワークになったように思います。「政治家になりたい」、「検察官になりたい」などの声もあがり、新入生ならびにジュニアTAや筆者にとっても文字通りfreshな良い刺激になったことは間違いないでしょう。
担当: 杉山達彦 ![]()
フェルミ推定(J班)
J班のメインの企画はフェルミ推定で、その趣旨は実際に調査するのが難しい量をいくつかの手掛かりを基に推論し、短時間で概算するというものです。フェルミという名前は、物理学者のエンリコ・フェルミにちなんでいるそうですが、フェルミ推定そのものは物理に限らずいろいろな分野で用いられているようです。
最初は村松真理子准教授と2人のジュニアTAが簡単に自己紹介をして、その後新入生も順番に自己紹介をしました。出身や科類はもちろんのこと、大学に入ってからやりたいことなども語っていました。
さて、本題のフェルミ推定ではまずジュニアTAが中心となって、「大学生の家庭教師は日本に何人いるか」という問題を推定しました。この数のおおよその値を見積もる一例として、(家庭教師を必要としている人の数)÷(家庭教師が一度に担当できる生徒の数)という式が挙げられました。この家庭教師を必要している人の数は1年間に生まれる子供の数がおおよそ120万人であることを用い小学生・中学生・高校生の数を概算し、さらにこの中で家庭教師を必要としている割合を経験を基に考えていました。
新入生が主体となって考える問題の第1問は「日本に大学院生は何人いるか」という問題で、2つのグループに分かれて行われました。東大生が考える大学院進学率と実際の大学院進学率にはギャップがあるようで、実際の数とは離れた値が出る場面も……。第2問は「銀河系に発達した文明をもつ星はいくつあるか」という問題で、存在する恒星の数や宇宙の体積などを手がかりに考えていました。
フェルミ推定が終わった後は村松先生から新入生に向けたメッセージがあり、大学生活の楽しみ方や駒場時代の友人の大切さなどを話していました。参加した新入生は、村松先生のお話が聞けたり新しい友人と議論ができたりと、普通に駒場で過ごしているだけではできない有意義な体験ができたと思います。
担当: 栗田萌 ![]()
外国語教育についてのディベート(F班)


2名のジュニアTAと矢口祐人准教授の引率するF班では、ディベートをメインに据えた企画が行われました。大学における学びでは自分の主張を論理的に説明する力が必要不可欠となるため、それを実感してもらうのがこの企画の狙いのようでした。
ディベートのテーマは「東大生が外国語を必修科目として学ぶ意義はあるか」。始めるにあたり、必修科目「英語I」などを担当している矢口先生は、「語学は(東大が力を入れている)教養教育の一つであり、『東大生ならかじっていて当然』という意見もあれば、『不要ではないか』という意見もある。何故こんな授業を取るのか考えてもらいたい」と話しました。
まず、新入生は必修に対しての賛成派・反対派に半数ずつ分けられ、ジュニアTAが1名ずつついて各派で意見を出し合います。新入生は恥ずかしがってなかなか意見を出さないのかと思いきや、皆積極的に発言し、活発な議論を展開していました。そして、話がまとまったところで両派が向き合い、意見を発表します。賛成派からは「外国語の学習によって新しい視点が得られる」「書物を原典で読めれば、翻訳による齟齬をなくせる」といった意見が、反対派からは「身につけるには開講期間が短すぎる」「外国語のせいで取りたい選択科目が取れない」といった意見が出されました。その後、それぞれの意見に対する反論を各派で話し合い、再び発表が行われます。結果的には、「どちらの意見も正しいし、答えは一つではない」と矢口先生。両派とも外国語を学ぶことの重要性は認めており、反対派はその上で現状のカリキュラムの問題点を指摘しながら選択科目化を求めていた模様でした。
ディベートの後には、新入生にシラバス(科目紹介冊子)が配られ、文科生は理系の、理科生は文系の総合科目から、取りたい授業を選ぶという作業が行われたり、ジュニアTAから履修に関するアドバイスがなされたりしました。
総じて、新入生にとっては、大学での学習に必要な力を身につけるだけでなく、教養教育とは何なのかを考えさせられたことでしょう。
担当: 渡邉洋平 ![]()
閉会式

各班の企画の後には、900番教室にて閉会式が行われました。駒場最大規模のこの教室の座席の約8割が新入生で埋め尽くされ、今年で3回目となるFRESH STARTというイベントが確実に大きくなっている事がうかがえました。
広い教壇の上には柏葉会合唱団の面々が並び、「Love on Fire」「早春」の2曲を披露しました。これから新たな日々を迎える新入生達にふさわしい選曲であり、皆聞き入っている様子でした。司会の山本泰教授が「朝は皆緊張していたけど、顔がほぐれてきましたね」と言った通り、参加した新入生が皆楽しめるイベントとなりました。
なお、閉会式終了後には、まだまだ先生やジュニアTAと話し足りないという新入生に向けて、Dining銀杏で懇親会が行われました。
担当: 渡邉洋平 ![]()

