中国語
1.中国語について | 2.授業について
授業で使用している教科書
授業で使っている教科書には、統一された教材もあれば、そうでないものもあります。必修科目の「中国語一列」・「中国語二列」の授業では、1年生の時には『現代漢語基礎』を使っています。編集に関わっている先生方が皆中国語学の研究者と専門家であり、この1冊に授業を通して積んできた経験を詰め込んでいます。学生の皆さんがこの教科書で大変な思いをしているという側面もありますが、だからこそ歯ごたえのある良い教科書だと思います。2年生の教科書は、昔は東大独自の教科書『園地』を使っていて、2006年度と2007年度は正式な出版物ではありませんが『中国語読解 2006』・『中国語読解 2007』を使っていました。この2冊の『中国語読解』の内容を選りすぐり、2008年4月には『園地』の第2版として『行人』というタイトルで東大出版会から出版しました。内容が豊富で、その全てを授業で扱うことはできませんが、興味のある学生なら自発的に読むでしょうし、教員にとっても選択の幅が大きい、とても良い教科書になると思います。根幹となるのはこれらの教科書で、その他には、文系1年生の必修である「中国語演習」用の教科書『表現する中国語』や、総合科目「国際コミュニケーション」の中国語の授業用に様々な教科書があります。
授業のときに心がけていること
教える上では、学生という対象を判断した上で教えていますので、これといって先生皆で統一している教え方はないと思います。授業初日のガイダンスで皆さんの様子を見てから教え方を決めていくので、シラバスに詳しい授業内容は書けないですね。学生に沿いながらの授業です。
私自身が授業で心がけていることは、語学の授業なので、まずは言葉をしっかり教えるということです。90分という時間を有効に使うのと同時に、内容に関連する背景的知識を、対象に沿いながら教えていくのが課題になっていると思います。あとは意欲的な学生が集まってくる「国際コミュニケーション」の授業では、小作文などを通して、受身ではない自分で考える勉強ができるように心がけています。
もう1つは、発音をしっかり身につけてもらうということです。私が授業の中で繰り返し言っていることですが、漢字は中国語そのものではありません。東アジア、殊に日本と中国に共通する記号なのです。では何が中国語かというと文法と、特に発音ですよね。皆さんが中国語を習って本や論文を読む場合は、たどたどしくてもある程度は読めるでしょうが、それで中国語が話せるわけではありません。やはり発音を覚えることが重要となってきます。これはリスニングと関連している話でもあります。
中国語の学びやすいところ・学びにくいところ
中国語の学びやすいところは、まず漢字が入っているという点ですね。発音を覚えれば済むことですし、個々の漢字の発音を覚えれば、それを組み合わせて単語の発音も分かります。実際、私が日本語を学ぶようになったのも、漢字が入っていたことによる好奇心からです。また、敬語や時制がない点、単音節であるという点も学びやすいところとして挙げられます。
漢字は日本語と中国語で共有しているので、例えば「朋友」という字の発音と「住在新宿」を習えば、「住友」という会社名の中国語での発音もできるようになります。そうやって発音を覚えることこそ中国語の部分ではないかと思います。このように自分で語彙を積み重ねてみることは漢字知識のある日本人に限っての勉強の仕方だと思います。
難しいところに関して言うと、リスニングが挙げられます。単音節であるために個々の発音時間が短く、聞き取りにくいという側面があるでしょう。それから、四声という4種類のアクセントがあり、その違いによっても言葉の意味が変わってくるので、日本語と比べて難しく感じられるかもしれません。また、時制がないということは、便利である反面、曖昧で難しい面もあります。
授業を通して学んでほしいこと
学生の皆さんは、大学に入ってすぐ第二外国語を学ぶことになっていますが、言語は若いうちに身につけておくのが大事だと思います。勉強がいくら大変でも、後で使うチャンスがあるとありがたく思えるでしょう。「歳を取る」というのは「忙しくなる」のと同義で、年齢を重ねていくとやる暇がなくなると思います。やはり時間がたっぷりある1,2年生のうちに中国語を含めた外国語を勉強することは重要だと思います。
また、研究者の道に入る人にとってはもちろん、中国語の文献を読むために、あるいは日本の漢文の文献をよく理解するためにも、現代中国語が関わってきます。社会に出て仕事をする人にとっても、人との出会いがますます盛んになってくるはずなので、将来のための準備としても学んでもらいたいですね。
日本と中国の若い世代が相互を理解し仲良くなってもらいたいとつねに期待しております。言語を身につけることは、マスメディアが発するような情緒的な言葉を疑う能力を身につけることです。そういう判断力を身につけることと外国語を身につけることは繋がっていると思います。理解するための外国語が大事だということです。
編集後記
語学的なことだけでなく、長いタイムスパンで見つめた日中の姿まで、先生は饒舌に語って下さった。日本との近さに加え、同じ文字体系を持っていることもあり、親近感を持ちやすい中国。中国のことがマスメディアで話題に上る度に我々は興味をひかれがちなものだが、報道では伝えられることのない日本と中国のありのままの姿を、もっと中国語を学ぶことで見つめていけたらと思う。
1.中国語について | 2.授業について

