英語一列
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専門の研究分野・授業との連関
私の専門はアメリカの文化、アメリカ研究です。最近はハワイのことをやっています。具体的には、私は歴史や他者がどういう風に描かれるかということに興味を持ってるので、博物館やテーマパークのようなところで過去がどういう風に描かれているのか、そして、それによって社会が過去にあったことをどういう風に記録し、記憶していくのかということを研究しているんですね。だから、ハワイのミュージアムに行って調査をしたりします。あるいは、たとえばハワイではフラというのがあって、よくフラダンスとも呼ばれますが、そのフラというのはハワイの人にとっては歴史の本みたいなものなんです。そのフラの中でどうやって過去が描かれているのかとか、あるいは日本の人がフラをやるときにはそれをどういう風に理解しているのかとか、そんなことを研究してます。英語I のビデオ教材でもフラを踊ったんですが、恥ずかしいよね。自分捨ててますから、一年生のために(笑)。
ハワイの研究をしようと思った理由は、本当に単純なきっかけからです。もともとは19世紀の日米史のことなんかをやってたんだけど、友達がハワイに住むようになって、遊びに行って、これは面白いな、と思ったんです。アメリカの研究というときに、ハワイというのは周縁の位置にあるんですよね。だけど、特にハワイの歴史は、アメリカの歴史や文化を考える上で示唆に富むことがいっぱいあるんです。もともとはハワイは独立王国だったわけだけれど、それが今はアメリカの一部になってて、それはどうしてなのかを考えるとか、そういうことを通してアメリカの歴史はどういういうものなのかを考えるとか、すごく面白いことがいっぱいあるんです。それで、ハワイのことをやりはじめたんですね。ま、近くていいし、行っても楽しいしね(笑)。
そして、これは私だけではなく東大の英語の先生方の特徴だと思うんですが、皆さん英語教育とは別の専門を持っているんですよ。たとえば政治の研究をしている人もいるし、国際関係の人もいるし、文学の人もいるし、あるいは英語教育の理論的な部分を研究している人や、言語学の中で認知の研究をしている人もいますが、皆さん英語教育の専門家というわけではないんですよ。そして、英語がめちゃくちゃうまい。私は結構英語がうまいつもりでいたんだけど、他の大学から東大に来たときにびっくりしちゃったくらい、皆さん語彙力や文章力があるんです。でもその先生方は、英語教育をしているから英語がうまいんじゃなくて、自分たちの専門を掘り下げるための道具としての英語を身につけてるからうまいんですよね。そこが実はすばらしいところなんです。先ほども言ったように、私たちは教養学部で英語を教えているので、英語を通してどういう教養を身につけてもらうかを一番の主眼にしてるんです。だから、そういう教師の集合体を学生は目標にしてほしいですね。
しっかりした専門を持っていて、英語がものすごく上手で、しかも英語が大切だということをわかっている先生方が集まって、どうやって英語を教えるかを考え、実際に教える、というのは、私は大学の英語教育としては理想的だと思うんですよ。これは、日本に誇ってもいいような状態だと思いますね。
講義をする上での苦労・工夫
英語Iはね、苦労はいっぱいありますよ(笑)。まず、学生は忙しいよね。私たちは、もっともっと英語Iに集中してほしい、時間をかけてほしい、と思うんだけど、みんな他の授業もあるしサークルもあるから、眠かったり、遅刻したりするんですよね。でもやっぱり英語は必要だから、どういう風にして英語の大切さを学生にわかってもらって授業に集中してもらうか、というのが一番の苦労かな。みんなの英語力をどうやって上げられるのかをいつも考えてます。それは私たちだけの努力ではどうにもならないから、英語の必要性をどう感じて、どうやって勉強していくかを学生ともうちょっと話し合う機会があればいいな、と思うんですけどね。
あとは、ワークシートのチェックですね。あれも大変なんですよ。だから「真面目にやってよ」って思うんだけど(笑)。Open Questionを読んで、いろいろ考えてコメントするのにもすごく時間がかかるんですよ。だから一生懸命かいてくれると嬉しいけど、適当に書いてたり、隣の人とあんまり変わらないようなことを書いてたりするとがっかりしちゃうんですよね。だからやっぱり、学生のやる気を刺激するのが苦労するところですね。ワークシートも、ワンパターンだと面白くないかな、と思って問題をクロスワードにしたり、リスニングから始まる章を作ったり、という工夫はしています。クロスワードなんていうのは、単なるゲームじゃなくて欧米の文化の一つなので、それを体験してほしいな、という気持ちもあります。
学生に伝えたいこと
繰り返しになるけど、東大の学生はやっぱり英語は避けて通れないんですよ。英語はイヤだな、って思う学生もたくさんいると思うけど、残念ながらやらなきゃいけないのは仕方がないんです。そこで、せっかくやるなら徹底的にやったほうがいいですよね。だから、自分が英語ができると思ってきた学生は「本当に自分は英語ができるのか?」ということを今一度考えてほしいんです。多分、高校までの「英語ができる」のレベルでは、大学生の英語力としては全然ダメなんですよね。海外の高校にいて完璧に英語を話せるっていう学生でも、今一度、自分にちゃんと読解力があるかってことを確かめてみて、そこから出発するといいと思います。逆にできない人は、絶望しないでほしい。英語二列で先生に個別に質問したり、英語Iで質問室に行ったり、そういうリソースを使って努力すれば大丈夫です。みんな才能はあって、道は開けてるんですから。できる人はもっとがんばって、できない人は絶望しないで少しずつやっていきましょう。
取材後記
筆者は一年間英語Iの授業を受けたあとでこのインタビューをしたのですが、「英語Iの根底にはこんな考えがあったのか」と驚かされました。一年生全員が学ぶ授業だけあって、しっかりと目標と計画が立てられているようです。これから英語Iを学ぶ一年生や将来の新入生の皆さんにも、意欲的に英語を学んでほしいと思います。
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