基礎演習

1. 学び方の学び | 2. 学生に伝えたいこと


キャンベル先生

学生に伝えたいこと

 最近の学生にはある程度共通する部分があります。例えばWEBを使って情報を集める点です。本が図書館にあっても、WEBから切り出した情報を使おうとするんですね。それ自体は悪いことではないけれど、足を使って図書館に行って本を手に取ったり実際にフィールドワークをしたりという一見無駄な時間を過ごしながら自分の学びをするという作業が無くても、何とかなってしまうというのを、学生たちは知っているんです。今回の基礎演習では、WEB上で取ってきた情報を真ん中に据え、そこに安住して自分で動かないという傾向がありました。そのWEBの情報を使うときに、サイトの情報が何によって保証されているか、保証が無ければどうやって自分で保証すればよいかを突き詰めることは、研究をしていく上では当たり前のことなんです。また、WEBで取ってきたそれぞれの情報が関連性の無いものであったとき、どういう風にそれらを結び付けていくかということも基礎演習でやってもらいたい大事なことです。これらは基礎演習に限らず、大学のどの授業においても、学生たちがレポートを書く上では必要なプロセスです。

 教師としては、基礎演習をやっていくうちに学生の常識というものが分かってくるのはいいことだと思うし、学生たちがお互いにどういうところに関心を持っているかというのを肌で感じられるのが、興味があるところです。それから語学でクラスが振り分けられるので、そこにも学生たちの興味の方向が表れていて面白いなと思います。

 東大の新入生を見ていると、授業を受けすぎているという印象を受けます。進学振り分け制度のせいでもあるけれど、朝から夕方まで真剣に授業を受けていて、どの授業に自分の中心をおいているのか、傍から見ていてよく分からない。要領よく事を行っていく才能を大学が奨励している感じがするのですが、悪く言えば要領が良いだけのことです。人間はバランスがよければ良いというものではなく、何かに偏向していかないとしっかりしたものが育ちにくいと思います。だから自分の中心をどこに置くのかを考えて欲しいですね。また、社交辞令的なことは要らないから、学生は教員にもっと積極的にアプローチして下さい。授業の合間や最後に教員に話を伺うとか、自分の意識を作るように、能動的に動いて欲しいです。基礎演習はそうした教員へのアクセスの根拠となる良い機会となるのではないかと思います。

キャンベル先生

 私たちが毎年2月に入学試験の監督をしていると、やってくる学生の雰囲気が何となく変わっているのが分かるんです。彼らと出会って、東大のスタートラインに立つ学生がどういう空気を放っているのかを楽しみに見ているわけです。また、基礎演習は入学して最初の学期にやるのですが、その後学生がどうなるのか気になるんですね。だから文系の学生は、自分の基礎演習の担当の教員に、時々声をかけて下さい(笑)。いつでも接することができるわけではないけれど、たまたま会った時にちょっと会釈をしてくれるだけでも良いし、とりあえず思い出した時に声をかけて話をするのも良いし、余裕のある時は今自分が何を考えているか、どういう方面に進もうとしているかということを教えてくれるとすごく嬉しいです。基礎演習を担当した先生はわりと濃い記憶として残ったりするので、「あの人に基礎演習で当たったんだよね」ということを、卒業しても原風景のように憶えているものです。とにかく学生の皆さんは基礎演習を思い切りやってみて下さい。そして進学して学部が変わった時や東大を卒業したときに、基礎演習のことを思い出して下さい。


取材後記

 取材に応じて下さったキャンベル先生は、授業の概要をはじめ、現代の学生の傾向や学生へのメッセージなど、よどみない日本語で熱心に語っていました。余談ですが、筆者の出身地にある古書の博物館に何度か足を運んでいるそうで、何だか不思議な縁を感じました。 文科三類の筆者自身、基礎演習を受講していましたが、発表に至るまでの調査や下準備が大変である反面、それが終わった後の達成感は大きく、またクラスの皆が何に興味を持っているのかを知ることができて面白いという印象を受けました。大学での学びはまだまだ始まったばかり、基礎演習で学んだことをこれからの学びの源にしていきたいものです。


1. 学び方の学び | 2. 学生に伝えたいこと

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記事掲載日:06-10-24
担当:渡邉洋平
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