認知脳科学

1.認知脳科学という講義について | 2.駒場の学生に対して


駒場で「教養」を学ぶということ

この「認知脳科学」の講義では、毎回最初に“日本文学の紹介”という、一見本来の講義の内容とは全く関係のないことを話しています。 それは、講義の内容に「のりしろ」をつけたいと思っているからです。 「そんなことは覚えなくてもいいし伝えなくてもいいんだけど、せっかくだからちょっと加えてやろう」という意味で「のりしろ」という言葉をよく使うのですが、 教養学部の前期課程の学生の方々には、さまざまなことを学んでいく上で、そういった「のりしろ」をいつも自分の中で考えていてほしいんです。

前期課程では、いろいろな専門の先生が自身の専門の内容の講義を総合科目で開講しています。 その内容を、一から十まで全部いわれたとおりに覚えることももちろん大切ですが、それだけでなく、 「この内容から自分だったら何を考えるだろう?」とか、「この内容は社会の何と関係しているだろう?」とか、そういったことを常に考えながら講義を受けると、 教養というものが膨らんでいくんだと思います。

また、先ほども言ったように、「認知脳科学」という講義は、文系の方にも理系の方にも学ぶ価値のある領域なので、 私としては、この講義の内容は、文系の人に対しても理系の人に対しても話したいわけです。 そのためには、駒場という場所は最も優れた場所だと思うんですね。理一の学生の隣に文三の学生がいるというような、 これから学んでいくことが全然違う学生が一緒に講義を受けているという環境で、自分のメッセージを伝えられるというのは、 とても幸運というか効率がいいというか(笑)……そういうふうに思いますね。

なので、できればこの科目に限らず、総合科目の講義が終わったあとには、そのときに聞いたことに関するおしゃべりを、 文系の人とも理系の人ともいっぱいしてもらえるといいんじゃないかと思います。 これからエンジニアリングに進もうとしている人と、ソシオロジーに進もうとしている人が、 「今回の錯覚について、自分はこう思う」「いや、自分はこう思う」というふうに、ちょっとでもいいから言葉を交わしてくれると、 この駒場という環境を有効利用するためには一番いいと思うんです。

講義を通じて学生に学んでほしいこと

大学で学ぶ内容というのは、高校までの、教科書に書いてあることを覚えるというのとは全く違うんですね。 大学で学ぶというのは、自分がおもしろいと思った内容を積極的に深く掘り下げていくことだと思うんです。 基本的に学問はものすごくおもしろいもので、そのおもしろさが自分に響いてきたときに、じゃあこの学問をちょっとつかんでいろいろ調べてみよう、 そして調べてみたらこんなおもしろいことがあった、というふうに、「世の中はなんて不思議でおもしろいんでしょう」ということをわかってほしいですね。 そして、この講義では、不思議なものは世の中にたくさんあるけど、「あなたの脳が一番不思議でしょ」ということをわかってもらうために、 出来るだけ大げさに、「脳って不思議なことをやってるんですねぇ」というところを強調しています。

だから、これを聞いて、「あっ、脳ってすごく不思議でおもしろいなぁ」と思って脳の仕組みを学んでいく学生が10人でもいてくればいいですし、 あるいは、ある学問Xというのがあって、そのXには不思議なことがいっぱいあって、それをおもしろいと思ってXに関する本を読みあさる、 というような“学び方の姿勢”を自分のものにしてもらえれば、と思っています。

村上先生

取材後記

「認知脳科学」と聞くと理系の科目のように思ってしまいがちですが、実際には文系の内容も理系の内容も含んでいるということでした。 文・理どちらかの視点に偏らない広い視野を持つために、駒場で「認知脳科学」のような講義を受講することは、大きな意義があるのではないでしょうか。


1.認知脳科学という講義について | 2.駒場の学生に対して

このページにコメントを送る
このページへの評価:
いい!よくない!
記事掲載日:06-07-08
担当:金井雄太
*