基礎の基礎

 まずは肩慣らし、東大生なら必ず知っていなければならない基本中の基本を紹介しましょう。

前期課程と後期課程

 東大の修業年限は4年(医学部医学科と農学部獣医学課程は6年)と定められており、ほとんどの学生はこの期間、東大で学んでいくことになります。中には留年などで多くの時を過ごしたり、退学したりする人もいますが基本的には4年あるいは6年が前提とされています。

 東大の大きな特徴として、4年あるいは6年の修業年限が2つに分けられていることが挙げられます。東大では、初めの2年間を前期課程、後の2年あるいは4年間を後期課程と呼び、区別しています。前期課程では全ての学生が教養学部に在籍し、ほとんどの講義を駒場キャンパスで受けます。後期課程に進むと、学生はそれぞれ法学部・経済学部・文学部・教育学部・理学部・工学部・農学部・薬学部・医学部・教養学部のいずれかの学部に分かれて学ぶことになります。

 ちなみに、前期課程から後期課程へ進むことを東大では「進学」と呼ぶことが一般的です。別によその大学に移るわけでもないので単に「進級」と言ってもよさそうなものですが、なぜか進学と言います。このことは、東大において前期課程と後期課程が区別されていることがいかに大きな意味を持っているかを表しているのかもしれません。

 後期課程で進学する学部は進学振り分け(通称、進振り)というシステムによって決定されます。詳しくは後で述べます。

前期課程の科類

 前期課程では全ての学生が教養学部に在籍すると書きましたが、全ての学生が同じように講義を受ける訳ではありません。教養学部前期課程の中で、学生は6つの科類の中のどれかに在籍し、それぞれ微妙に異なるカリキュラムに沿って講義を受けます。

 6つの科類の内訳は以下のようになっています。

 見ての通り、大まかに文系・理系に分かれており、それぞれの中でさらに3つの科類が存在するという構成になっています。多くの大学では学部・学科ごとに入学者を募集しますが、東大ではこの6つの科類が募集の単位となります。

 これらの科類の間ではカリキュラムや進級の要件などが異なります。しかし最大の違いは、後期課程で進学できる学部が異なるということでしょう。各科類から進学できる学部・学科は原則的に以下のようになっています。

 もっとも、上であげた進学先はあくまで原則にすぎず、これに含まれない進学も可能となっています。詳しくは下記の「進振りについて」をご覧ください。

講義期間と長期休み

4月〜7月夏学期 前半
8月夏休み
9月秋休み / 夏学期 後半
10月〜12月末冬学期 前半
12月末〜1月初旬冬休み
1月冬学期 後半
2月〜3月春休み

 東大では1学年が2つの学期に分かれており、それぞれ夏学期・冬学期と呼ばれています。基本的に講義は学期単位で開講され、成績も学期ごとにつけられます。

 東大での1年間は大雑把に言って右のようになります。 ただ、9月に関しては、秋休みとして授業を行わない学部もあれば夏学期の後半としてみっちり授業を行う学部もあります。 そのほか、細かな日程は各学部によって異なりますが、だいたいこのようなスケジュールになっています。

講義について

 東大の授業は基本的に90分間を一区切りにして行われます。もっとも、学部・学科によっては100分だったり50分だったりもします。この一区切りの時間は1コマとも呼ばれます。東大のほとんどの授業は週1コマのペースで行われますが、実験や演習などでは1週間に何コマもあるのが普通となっています。

 授業を履修した場合、試験に合格するなどして基準を満たすと、「単位」という形でその科目が成績に加算されます。「単位」とは大学での学修の量を示すものであり、進学や卒業の条件は取得した単位の数と種類で定められています。 単位と授業科目の種類については学部・学科によって定め方がだいぶ異なりますが、大まかに分けて必修科目と選択科目とがあります。

 必修科目とは読んで字の如く必ず履修しなくてはいけない科目であり、定められた期日までにこの科目の単位を取得できていない場合は自動的に留年することになります。 前期課程の場合、外国語や情報、身体運動・健康科学実習(平たく言えば、「体育」です)などが必修となっています。

 一方、選択科目とは履修してもしなくてもよい科目です。 もっとも、進級や卒業の要件として選択科目の単位を一定以上取得しなくてはいけないので、まったく履修しなくてよいわけでありません。 しかし、単位数の要件さえ満たせばどの選択科目を履修するかは個人の自由です。 学生は自分のスケジュールや科目に対する興味、必要な単位数などを考えて、自分に合った選択科目を履修していきます。

進振りについて

 東大では最初の2年間の前期課程とその後の後期課程とがあり、学生は前期課程では教養学部の6科類のいずれかに属し、後期課程では各学部・学科のいずれかに属するということは既に述べました。前期課程の学生を後期課程の各学部・学科に振り分ける手続きを「進学振り分け」(略して「進振り」)といい、2年の夏学期から夏休み・秋休みにかけて行われます。

 進振りは学生の志望に基づいて行われますが、学部・学科など各進学先はそれぞれ学生の受け入れ人数を制限しています。 これは各学部の教育の質を保つためにはやむを得ないことです。 受け入れ上限を超える人数の志望があった場合、2年夏学期までの成績順で進学内定が決まっていきます。 従って、人気の学科へ進学するにはそれまでに高い成績を収める必要があります。 なお、過去の進振りで各学科進学者の平均点・最低点がどれくらいであったかの資料は学生に開示されます。その資料と自分の成績、そして自分の将来を考えながら志望学科を決めるわけです。

 進振りの学生受け入れ枠についてもう少し述べると、 受け入れ枠には大きく分けて、「指定科類枠」と「全科類枠」とがあります。 「指定科類枠」というのは科類ごとに受け入れ人数を制限するものです。 「前期課程の科類」で「科類ごとに進学可能な学部・学科が異なる」と書きましたが、これは指定科類枠で進学可能かどうかを表しています。 例えば、工学部の各学科は理科一類から多くの学生を受け入れますが、理科二・三類や文系の科類からはほとんど採りません。同様に、経済学部の受け入れ人数の大半は文科二類からであり、他の科類からの受け入れは数人程度です。このように、指定科類枠では先に述べた原則から外れる進学(傍系進学と呼ばれています)は受け入れ人数が非常に少なくなっています。

 一方、「全科類枠」というのは文字通り全ての科類から一定数の学生を募る枠のことで、指定科類枠とは全く別に進振りが行われます。 従って、全科類枠による進学なら、例えば文科三類から医学部への進学というのも可能です。 しかし、指定科類枠で進学内定を獲得できなかった学生も自動的に全科類枠の振り分け対象となるため、その競争は非常に激しいものになるようです。

コラム:前期課程の留年と降年

 進学や卒業の段階で取得単位が規定の条件を満たしていない場合、当然進学や卒業はできません。その場合、4月から同じ学年を繰り返して単位をとる必要があります。これを留年といいます。

 後期課程では各学部・学科ごとに留年の条件が異なるのでここでは触れないことにします。一方、前期課程の留年のルールは基本的に全ての学生にとって共通で、しかも少し複雑です。ここでは、前期課程の留年その他の仕組みついて説明します。

自主留年
1年冬学期が終了する段階で進級要件を満たしている場合でも、「留年届」を提出することで1年生をもう1回繰り返すことが可能です。これを自主留年といいます。 進振りで人気の学科を目指しているものの成績が今ひとつ、というような場合に利用されます。
降年
進振りは秋休みが終わるころには全て完了し、2年生の冬学期は全ての人がそれぞれ進学先が決まり、それに応じた専門科目の講義を受けます。しかし、希望の進学先に進めなかったり、あるいは成績の関係でそもそも進振りの対象にならなかったりして進学先が内定していない人は、冬学期から1年生としてやり直すことになります。このように、2年生が進振りの為に学年途中の冬学期から1年生となることを便宜上、降年と言います。進振りのある東大独特のシステムといえるでしょう。
留年
1年生冬学期終了時に進級の要件を満たしていない場合は自動的に留年します。また、進振りで進学先が内定していても、2年冬学期終了段階で前期課程として必要な単位が足りていなかった場合、進学は取り消され、留年することになります。

 なお、前期課程で留年・降年できるのは最大2年までです。

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記事掲載日:07-01-23
担当:伊藤俊夫
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