宇宙開発フォーラム実行委員会

年に一度開催される宇宙開発フォーラム。ここではどのような視点や問題意識から宇宙開発が議論されているのでしょうか。フォーラム実行委員会の代表荒堀真生子さんと広報の河野綾子さんにお話を伺いました。


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― 宇宙開発フォーラムとはどのような企画ですか。

宇宙開発フォーラム

毎年秋に開催されるシンポジウムで、学生を中心とする参加者に2日間にわたりセミナーやワークショップに参加してもらいます。一部プログラムのみの参加も歓迎していて参加者は2日間合わせておよそ200名ほどです。宇宙開発といっても開発に関する技術的な議論ではなく、どのような法律があれば技術を有効活用できるか、どのように技術を利用すれば社会に貢献できるかを考えてもらうことに重きを置いていることが特徴です。

― フォーラムではどのようなことが行われますか。

フォーラムの大きな柱は、セミナー・ワークショップ・パネルディスカッション・レセプションの4つです。

セミナーでは、第一線で活躍されている方を講師としてお招きし講演していただきます。1日目は、参加者にフォーラムに参加する際のものの考え方やフォーラムの意義を理解してもらうと共に、宇宙開発に関する基礎的な知識を説明します。2日目は、宇宙ビジネスについてなど一歩進んだ内容も扱われます。

ワークショップでは、実際に参加者にグループに分かれてディスカッションをしてもらい、宇宙開発について考えてもらっています。テーマが宇宙ビジネスであれば、どのようなビジネスが考えられるかといったビジネスコンテストのようなものになりますし、宇宙法や宇宙政策であればケーススタディとして、宇宙開発を行う際に国家間で事件が起こったらどのような問題が予想され、どのように交渉が行われるかを交渉ゲーム感覚で議論してもらいます。

宇宙開発フォーラム

パネルディスカッションは3名くらいの著名な方に、1つのテーマに関して議論をしてもらい、それを参加者に見てもらおうというものです。パネリストは技術開発に携わっている方や技術を用いた国際協力に携わっている方など、異なる立場の方を招待しています。

レセプションは、学生と第一線で活躍されている方の交流の場を提供するために設けられたもので、1日目の最後に行っています。以上の4つがフォーラムのメインですね。

― フォーラムの流れや扱う内容を教えてください。

これは毎年変わるもので、2008年の分はまだ決定していないので前年の例を挙げると、開会式の後に宇宙開発概論というセミナーを行い、講師の方に人工衛星から地表のデータを観測するリモートセンシングという技術について、説明していただきました。ここで参加者の方に、リモートセンシングでどのようなデータを集めることができ、現在どのように利用されているかを理解してもらい、次のワークショップに移りました。前年のワークショップのテーマは国際協力でした。現在人工衛星から撮影した地球の写真は植物の生息状況や温暖化の進行状況を調べるために利用されていますが、国際協力に役立てるには宇宙からの画像をどのように利用すればよいか考えてもらいました。リモートセンシングの技術者の方と、国際協力機構(JICA)の方に少し講演していただいた後、グループに分かれて実際に利用法について考え、発表してもらいました。この後レセプションを行い1日目は終わりです。

宇宙開発フォーラム

2日目の午前中は宇宙ビジネスセミナーを行いました。昨年は、人工衛星による通信や人工衛星で得たデータを使った携帯電話のアプリケーションを自由な発想で考えてもらい、宇宙開発関係のコンサルティング企業の方に講評していただきました。緊急時の通信機能など色々な案がでましたが、中にはGPSを使ったスイカ割りをするというユニークな案もありました。最後はパネルディスカッションを行い、著名な方に国際協力にどう宇宙開発を使うのか、そもそも国際協力支援とは何なのかなどについて話していただきました。JICAの方が、「宇宙開発にあたってもハイテクなデータを利用できるという観点だけでなく、本当のニーズがどこにあるかしっかりコミュニケーションを取りながら考えていかないといけないね」と話していたのが印象的でした。

― フォーラムのコンセプトについて教えてください。

私(編注:荒堀さん)は工学部でバリバリ物を作っているのですが、前にある人が「物を作るのは上流でどう使うかは下流だよね」と言いました。「物を作った後でどう使うか考えるんでしょ」って言うのです。でも私はそれってちょっと違うんじゃないかなと感じるんです。例えばいまは分解能30メートルくらいの小型の衛星を作っていますが、それが何の役に立つのか、誰を喜ばせるためのものなのか、どのような枠組みの中で作れば一番パフォーマンスが高いか、逆に打ち上げに失敗して破片が落ちた時に責任を負えるのかといった社会的な問題にも常に目を向けなきゃいけないと思っています。物を作る時、技術一辺倒じゃなくて社会的な問題も現場にフィードバックして開発した方が成果も磨かれていくと思うんです。そういうサイクルの中で宇宙開発を考えて欲しい、社会貢献できる宇宙開発にしたい、という思いがあって、それについて考える場としてフォーラムを開催しています。

― フォーラムにはどんな人が参加しますか。

宇宙開発フォーラム

参加者は学生が多く8割を占めています。社会人の方も参加していて、職種は大学教授や金融関係など様々ですが、できるだけ学生に参加してもらいたいので、参加者として社会人の方にプロモーションをかけることはあまりありません。学生が所属する大学は特に調べていませんが、東大生の割合が高いということは特にありません。ただ、文理の融合は目標に掲げているのでこちらは調べていて、最近になってだいぶ文系も増えてきたかなぁという感じです。やはり理系の方が若干多いですね。

― フォーラムではどのような工夫をしていますか。

毎年参加者からとっているアンケートによると、参加する側にとって議論のテーマや進め方は少し難易度が高いようです。そこでフォーラムの開会式よりも前にワークショップ道場というものをやっていて、社会人の方にどのように議論を進めていくか説明していただきました。また、実際にワークショップでグループに分かれる時に、各グループに議論を円滑にすすめていくためのコーディネーターとしてスタッフを1,2名入れています。それでこの人達に、出てきた案に対して本当にそれで大丈夫か、などの問題提起をしてもらい議論を進めています。


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掲載日: 2008年4月5日 更新日: 2008年4月5日
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