STeLA

STeLA (Science and Technology Leadership Association)は、MITやハーバード大学らの日本人留学生によって結成された、科学技術分野の学生に対するリーダーシップの育成を目標とした国際的な学生団体です。STeLA-JAPANはSTeLAの日本支部であり、東京大学の学生を中心に活動しています。今回はSTeLA-JAPAN代表の斎藤康也さんにSTeLAの理念、そしてこの夏(2008年8月)にアメリカで開かれるフォーラムについての詳細をうかがいました。


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― STeLAという団体の概要について教えてください。

STeLAは2005年の冬に立ち上がった団体です。元々はMIT(マサチューセッツ工科大学)やハーバード大学に留学していた理系の日本人留学生が、日本とアメリカの間に存在する研究室や発揮されるべきリーダーシップの違いを肌で感じ、日米双方の良いところを取り入れた新しいリーダーシップの形を提示できるのではないかと思ったのがきっかけです。

― それでは、現在に至るまでどのような活動を行ってきましたか。

STeLA

去年(2007年)の8月に、STeLA Leadership Forum 2007 in Tokyoというフォーラムを、MIT-Japan Program(主にMIT学生の日本企業へのインターン窓口となるMITの組織)との共催で開催しました。これは日米併せて35人の学生を招き、代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで10日間かけて行う合宿形式のフォーラムです。このフォーラムは大きく3つのパートからなります。まず第一にリーダーシップ育成について講義・ゲーム・ディスカッションを行います。このパートはMIT Leadership Centerというリーダーシップについて研究しているMITの組織に協力して頂きながらプログラムを設計しています。また、講演では尾身幸次財務大臣(当時)などにお話しして頂きました。更に、MIT Media Lab Sensible Organizations Projectの協力のもと、参加者の方に小型センサーを装着してもらい、そこから得られたデータから参加者チームのグループダイナミクスの可視化を行う事でリーダーシップ育成に役立てました。第二に分科会があり、「ものづくりのグローバル化」「気候変動とエネルギー問題」という2つのテーマに分かれ、企業に見学に行ったり識者の方のお話を伺ったり、問題解決のためにどのようなリーダーシップが発揮されるべきかなどについてディスカッションを行いました。第三にはグループプロジェクトとして、フォーラムで得た知見を元にいわゆる「ピタゴラ装置」のようなからくり装置を各グループに分かれて作り、日本科学未来館で装置のプレゼンテーションを行いました。

― 今年の夏にもセミナーがあるようですね。

はい、今年の夏はアメリカのボストンで同じような合宿形式のセミナーを行います。今度はMITの学生寮に泊まり、企業訪問やノーベル生理学・医学賞を受賞された利根川進先生、また同じくノーベル賞受賞者のフィリップ・シャープ博士といった方たちにリーダーシップについて講演をして頂いて、理系の学問におけるリーダーシップについて学んで、最後にグループプロジェクトという形で実際に手を動かして、リーダーシップを発揮するシミュレーションを、という感じです。去年のセミナーと構成は似ていますが、更にアップグレードした感じでやっていけたらと思っています。

― 斎藤さん自身がSTeLAに関わっていった経緯をお聞かせください。

STeLA

2006年の10月頃にアメリカでSTeLAを立ち上げた日本人の留学生が帰国して、日本でも「STeLA-Japan」を立ち上げたんですね。それに際して日本でも実行委員の募集がありまして、友人からそれを聞いてSTeLAという団体に興味を持って運営委員の仕事をするようになりました。

なぜそこで興味を持ったかというとそれまで自分の中では「科学技術」と「リーダーシップ」という概念はどうも結びつかなかったんですね。科学者というとどうしても研究室で実験をしているイメージがありましたし、たまにテレビに出てくる人はちょっと特別な存在のように思っていました。一方でリーダーシップは組織のトップに立ってみんなに大きな影響を与える、いわゆる「偉人」といったタイプの人が思い浮かんでしまう、ということもありました。そんな中、理系の大学生・大学院生が実行委員の募集をしている、という話を耳にしたんです。

自分の中で、「学生団体」というと、文系の1年生や2年生が、インカレで社会貢献や国際交流をやる、というようなイメージがあったので、そういう面でも興味を持ちましたね。それともちろん、STeLAに興味を持ったり関わったりする人に新しい刺激や新しい選択肢のようなものを提供したい、という思いもありました。

― STeLAの活動にかける思いなどをお聞かせください。

STeLAという団体を立ち上げたそもそものきっかけは、去年取り上げた気候の温暖化やもの作りのグローバル化、あるいは今年取り上げるバイオエネルギーや生命倫理など、問題が非常に複雑で全貌が誰にも分からない一方で何らかの対処が必要な問題の存在なんですね。

そういった問題に対処するに当たってはもちろん専門的な知識を持った人たちの参加が欠かせませんが、かといって専門家一人で解決すべき問題ではない、もっと幅広い専門知識を持った人たちが協力し合って効率的な議論を行い、素晴らしい解決策を提示していかなければいけない。さらにそれに加えてその解決策が正解かどうか、常にフィードバックしていかなければならない、そういった状況が存在する訳です。

そういった状況を踏まえて、STeLAとしてもそれに対して何らかの解決策を提示していきたいのですが、なにぶん「答えがない」問題が多いので、解決策を提示するプロセスを一つのアクションとして提示できればいいな、と思っています。


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