STeLA

STeLA (Science and Technology Leadership Association)は、マサチューセッツ工科大学(以降「MIT」)やハーバード大学らの日本人留学生によって結成された、科学技術分野の学生に対するリーダーシップの育成を目標とした国際的な学生団体です。STeLA-JAPANはSTeLAの日本支部であり、東京大学の学生を中心に活動しています。今回はSTeLA-JAPAN代表の名倉勝さん(工学系研究科博士課程)にSTeLAの理念、そして2009年の夏に開かれるフォーラムについての詳細をうかがいました。


―STeLAという団体の概要についてお聞かせください。

STeLA

STeLAはMITやバーバード大学に留学していた日本人の学生が立ち上げた国際的な学生団体で、主に理工系大学生・大学院生を対象に、リーダーシップを育成することを目的として立ち上げられました。主な活動としては、毎年夏に行われる「STeLAリーダーシップフォーラム」が挙げられるでしょう。これはMIT-Japanという日本との関連事業(インターン・留学の支援)などを行っているMITの日本オフィスとの共催で行う、約1週間の合宿形式のフォーラムで、世界中から優秀な学生を募り、そこで国際意識や国際能力を育て、将来リーダーとして世界を背負っていけるような学生を育成しようという趣旨で行っています。

―今年(2009年)の夏にもフォーラムが開かれるようですね。

はい、今年は東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターでフォーラムを開催します。

具体的な内容を紹介すると、フォーラムの中にはいくつかのプログラムが用意されています。まず、MIT Leadership Centerという、リーダーシップやその育成方法の研究を行っているMITの研究所やハーバードビジネススクールで研究されている最新のリーダーシップ理論を講義・ディスカッション・ロールプレイを通じて参加者に学んでいただきます。その後に、科学技術が関わる国際的な問題と、それに対して科学技術をバックグラウンドに持つ人達がどのようにして立ち向かっていくのかをケーススタディーとして学んでいただきます。そして、それまでに学んだリーダシップの実践の場としてグループワークを行います。これまでは「一般市民の公衆衛生に対する意識を喚起する」というビデオ作成を行うなどの活動を行っています。そういった活動をグループで行うことによって、国際問題に対する理解やその解決法、あるいは他の国や文化の人と協同で行うプロジェクトの進め方などを実際に学んでもらいます。

STeLA

その他、去年はMITでフォーラムを開催したので、利根川進先生とフィリップ・シャープ先生という、ノーベル賞を受賞されたお二方をお呼びして「科学技術者のリーダーシップ」というテーマで講演をいただきました。今年もそのような講演の機会を作ろうと調整しているところです。

―フォーラムの国際展開の状況についてお聞かせください。

昨年は日本・アメリカ・中国の3カ国の学生を対象にフォーラムを開催しましたが、今年はそれにフランスを加えた4カ国の学生を対象に行う予定です。大学単位で言えば、アメリカ側からはMITやハーバード、カリフォルニア大学サンフランシスコ校、中国からは北京大学や精華大学、そしてフランスからはエコールポリテクニークをはじめとしたグランドゼコール(日本での大学・大学院にあたる高等教育機関)などから学生を招聘する予定です。

STeLAとしては、「グローバルな問題を解決する為には世界中の人々の協力が必要である」という信念のもと、世界中に支部国を増やして行こうとしておりまして、それが実現した暁には文字通り世界のトップの学生が集結することになりますので、よりよい教育効果が与えられると思っています。

―なぜ、今「理系のリーダーシップ」というものが求められているのでしょうか?

STeLA

昨今の国際問題には科学技術に関わるものが数多くあります。例えば新エネルギー・再生可能エネルギーの開発に関する問題や気候問題など、我々の日常にはテクニカルで難しい科学技術が関わってきています。そのため、科学技術者の役割は非常に重要であり、彼らの発言によって大きく世界は変わり得ると思っています。一方で、その割には現在の世界、特に日本では科学技術者が実際に政策に関与することは少ないと言えるでしょう。ですから、様々な大学から優秀な理系の学生を集めてそういった国際問題、あるいはリーダーシップ能力を学んでいただくことで世界をよりよく指導していけるようなリーダーを輩出することを目指して活動しています。

―なぜ名倉さんはSTeLAに入ろうと思ったのでしょうか?

私自身は原子力技術を専門としているのですが、その研究活動の中で国際的な交渉能力、あるいは国際プロジェクトをうまくまとめる能力が開発上不可欠であるにも関わらず、そういったことがむしろボトルネックになっているケースをよく見ました。ですので、そういった大型の国際プロジェクトを引っ張れるような良い機会なのではと思って、私はSTeLAに入りました。

それからこれはSTeLAの理念に結びついてくるのですが、やはり先程挙げたような能力が現在の理工系の学生に欠けているなと感じています。もちろん技術的には日本の学生はすごく優秀だけれども、研究室にこもっているだけではなくもっとジェネラルな能力を身に着けてもいいな、と思うんですよ。そういったことで今は日本の理系の学生の能力を育成しようと考えています。

―フォーラムの運営の中で楽しいこと・つらいことなどがあれば教えてください。

STeLA

STeLAの1年間に沿ってご説明しますと、まず前回のフォーラム終了後、つまり9月あたりから次回のフォーラムの企画が始まりました。開催場所やテーマ、前回の反省点などの議論が12月あたりまで続きます。フランスに新規支部を設立する事はこのときに決まりました。その後、2月頃はそういったことを具体的な計画に移し、少しずつ実行していく段階です。その後はフォーラム開催まで様々な手配や最後の詰めを行っていきます。

その中でやはり辛いことというのは、どのスタッフもそれぞれ自分の研究にすごく熱心に取り組んでいる人達ですので、時間を調整してSTeLAに上手く参画するのが非常に難しいし、大変です。ただ、その分我々自身として得ることは非常に多く、例えばそれぞれの分野のトップクラスでがんばっている学生と一緒に大きなプロジェクトをやっていく、ということで「気づきの機会」が大変に多いんですよ。そのように、あらゆる分野の学生と議論をしていく、そして何かを作り上げていく、ということは大きな喜びでありますね。

その後、これから実際の対外活動や講演者の手配などに移っていきます。そういったところは私はまだ体験していないのですが、それもおそらく非常にやりがいのあることだろうと感じています。

―フォーラムに参加する学生に求めることは何ですか?

STeLA

「世界のリーダーたらんとしている学生」というのは我々が掲げている目標の一つですが、それ以外にもいろんな目標を持った学生に参加してほしいと考えています。もちろんリーダーになろうとしている、あるいは国際問題に興味のある理工系の学生というのがメインフォーカスになってくるのですが、今までそういったことに興味がなかった学生に議論に参加していただくことによって、より多くの視点が入ってくるため大変おもしろい議論ができると思うんですよ。ですので、そういった人々にも国際問題の大切さ、あるいは研究室の外でこういった活動をする楽しさというのを学んでいただけたらと思っています。

―設立以来順調に参加者数・参加国ともに増加傾向にあるSTeLAですが、今後どういったビジョンをお持ちですか?

まずは先程もお話ししましたが、もっと支部を増やして世界全体にSTeLAのネットワークを広げたいということがあります。そしてもう一つ、国内活動の充実も今後の課題の一つと言えるでしょう。現在のフォーラムですと日本から年に15人ぐらいしか参加できないんですね。その程度の人数で本当に日本を変えられるとは私たちは思っていないので、もっとこのSTeLAの活動に多くの学生が参加できるように、教育やプロジェクトの質を保ちつつより多くの学生と相互作用できるようにしていけたらと考えています。具体的なプランはまだ検討中ではありますが、例えば国内のみで多くのフォーラムやシンポジウムを開催する、といったことが考えられますね。

―参加者・参加を検討している人にメッセージなどがあれば。

STeLA

STeLAに参加することで非常に多くの「気づき」が得られると思います。その中には国内で勉強したりしているだけでは絶対に得られないものが多々ありますし、STeLAという非常に特殊な場において、多くのリーダーシップ理論を背景として色んな国々の人とプロジェクトをやっていく、という事で得られるものは非常に大きいと考えております。STeLAに参加することで人生観や就職先が全く変わり、より国際的な場を目指すようになった、という参加者もたくさんいます。これからもそういった機会を多く与えられたらと私たちも思っていますので、そういったことに興味のある学生の方にきていただきたいですね。それと4月より参加者の募集を開始します。説明会も各キャンパスで行いますので、是非足を運んで貰えればと思います。

あとがき

インタビューに応じてくださったSTeLAのスタッフの方々からは「世界を変えたい」という強い意気込みがひしひしと伝わってきました。日米間から全世界へとその活躍の場を広げつつあるSTeLA。今後のますますの発展が期待できそうです。

関連リンク

STeLA Leadership Forum(参加受付はこちらで行っています)
http://web.mit.edu/stela-mit/jp/index.html

STeLA Leadership Forum2009 応募説明会

4/18(土) 東京大学本郷キャンパス工学部9号館1階大会議室 (14:00~15:00)
4/20(月) 東京大学本郷キャンパス工学部8号館81号教室 (19:00~20:00)
4/20(月) 東京大学駒場キャンパス5号館 (19:00~20:00)
4/23(木) 東京大学柏キャンパス新領域基盤棟2階2C5,2C7共通セミナー室 (19:00~20:00)
4/25(土) 東京大学駒場キャンパス7号館722教室 (14:00~15:00)