模擬裁判2005

うつ病にかかっている家族に「殺してほしい」と頼まれたら、あなたならどうするか。またいざ殺してしまった場合、それは嘱託(しょくたく)殺人なのか、一般の殺人なのか。
 今回の模擬裁判では、このような事件が起きたと仮定して作った裁判劇を上演する。ただし観客はただ見ているだけではない。裁判の判決は他でもない観客にゆだねられているのだ。そんな参加型企画・模擬裁判の練習現場にお邪魔し、模擬裁判の魅力や学生の模擬裁判への意気込みを取材した。


医者と弁護士

「異議あり!裁判長、弁護人の今の質問は・・・。」「異議を認めます。弁護人は・・・。」
 このようなフレーズ、普段ならテレビの2時間ドラマで聞きそうだが今日は日も落ちてすっかり冷え込んできた午後6時、駒場7号館のとある教室から聞こえてきた。ここでは学生たちが模擬裁判の上演に向け日々練習に励む。長い台本を正確に覚え、更にそれをよく飲み込んで「弁護士」や「被告人」になりきらねばならない。また大きく通る声も重要だ。学生の演技にはどれも熱がこもっていて、まるで本物の裁判に参加しているようだった。私もついつい、取材を忘れて裁判劇に見入ってしまった。

息子と検事

学生の大半は川人ゼミに所属している。川人ゼミは弁護士の川人博先生とともに、主に人権について考えていく駒場の自主ゼミである。文系はもちろん理系の生徒も多数参加している。
「この模擬裁判には、普段法にふれる機会のない人にも裁判や法について詳しく知ってほしい、模擬裁判を通して取り扱う事件のテーマについて考えるきっかけにしてほしいという思いが込められています。もちろん、お客さんみんなに楽しんでもらえるのが一番です。」
と語るのは、模擬裁判の副代表・恩賀万理恵さん(理科一類2年)。今年の裁判のテーマは、嘱託(しょくたく)殺人かそれとも殺人か、うつ病とは何か、の二つである。どのような事件なのか詳しくはお楽しみに。

「模擬裁判は毎年駒場祭で開かれていて、学生はこのために事前に法律や判例を調べ、それをもとに台本を作ります。また証拠も調べて集めるのですが、これは専門の人に聞いたりしないと分からないことも多くあります。去年は証拠集めで、医学部関係者や医者にたずねて証拠のカルテを作ったんです。また川人先生や弁護士のOB・OGの方に助言を受けることもあります。」
このように、事前の準備はかなり大変なようである。
「模擬裁判は学生にとって裁判のワークショップになるので大変勉強になります。しかし勉強する量が多いので負担にもなります。」
と語るのは、模擬裁判の代表・加藤正佳さん(文科一類2年)。
「またスタッフやキャストの人数も多いので練習日程を調整するのも大変です。実際の裁判に近づけようという方向性と、劇としてお客さんが見ていて楽しいものを作ろうという方向性2つに悩むことも。でもそれだけにやりきったときの達成感は大きいですね。」
頑張ってきた、その努力が報われるときの達成感はきっと何物にもかえがたいだろう。

被告人と弁護士

模擬裁判では役者は主に1年生で、2年生はスタッフとしてサポートに回る。2年生は1年生のときの経験があるので1年生の演技を指導してあげている。例えば立ち振る舞いだったり、セリフの強弱だったり、1年生はたくさんのことを先輩の2年生から学ぶ。
 また、練習中はみんな演じ手の演技に注目し、「声の大きさ」「滑舌のよさ」などを5段階で評価してコメントを書く。これを見れば演じ手は自分の演技を客観的に見ることができ、改善すべき点が見えやすくなる。
 だから演技中もそうでないときも、また演じる人もそうでない人もみんな真剣である。

アドバイス
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では最後に、代表からのメッセージを。
「今回の模擬裁判を仕上げるまでに、去年の駒場祭からという長い準備時間がかかりました。必ずいい形で終われるような、そしてお客さんにも満足してもらえるような裁判劇を作りたいです。この模擬裁判を作り上げていくプロセスでスタッフや役者の連携を強めていければいいと思っています。ぜひ駒場祭・模擬裁判にお越しください。」
そういって取材後にカメラに向かって仲良くピースをしてくれた。

ピース☆

左から恩賀さん、加藤さん、模擬裁判副代表・岡田有紀子さん(文科一類2年)


模擬裁判2005
日時: 11月26日(土)、27日(日) 13:00開場、13:30開演
場所: 1号館2階164号室