挑戦的映画劇場

─映画制作spika1895インタビュー

「初頭の兆しも見え隠れする晩秋の今日この頃、半年前と昨年の映画劇場ではそれぞれ300人もの観客を動員した、話題騒然、抱腹絶倒、眠り続ける獅子、映画制作spika1895が半年振りに皆様の前にお目見えします。天高く空澄み渡るこの駒場でspikaの白昼夢を是非ご賞味あれ。私たちの底知れぬエナジーが(以下省略)」

──第56回駒場祭 挑戦的映画劇場 ビラより


映画制作spika1895は、今年も駒場祭において「挑戦的映画劇場」と銘打った作品上映会を行う。すでに大学構内には宣伝ビラが置かれ、そのデザインからはなにやら相当危険な――もとい挑戦的な雰囲気が感じとれてならない。

スピカの人々が作る映画ってどんなものなんだろう。いや、それよりも、彼らはなぜ挑戦するのか。何に対して?どうやって?

パソコンでの編集作業

スピカの代表は、工学部応用化学科に進学が予定されている2年の丹羽秀治さん。彼も今回の駒場祭に作品を出品する。撮影作業はすべて終わり、残された編集作業を自宅でひたすら行っているその時に、ちょっとだけお邪魔してお話を伺った。小綺麗なマンションに似合わぬ……控え目に言って“雑多”な部屋の中で、パソコンを使って編集作業。作品提出の締め切り前で、徹夜明けだという。今回の丹羽さんの作品テーマは?と聞くと、「学生映画否定」。「去年の駒場祭では、青臭い感傷みたいなものを描いた映画を自分自身撮ったけれど、今回はそれをぶち壊した」という。んん、確かに早速挑戦的。

今回の上映会では、過去最多の9作品を上映する。丹羽さんの作品「ソネット」をはじめ、各々が思うままに作り上げた作品が揃う。10分程度の短篇から1時間近くの大作まで、長さもバラバラならテーマもしかり。日常に潜む謎をテーマにした物語から、挑戦的なものへの挑戦としての快楽を描いた作品、さらにホラー映画的なものまで、実にさまざまだ。「ただ、スピカっていう団体として一貫してやっているのは、技術や作り込みに関する徹底的なサポートと指導。ウチは学生映画なりのレベルでの自己満足は許さない、目指すのは商業映画。ってのは売れりゃいいっていうことではなく、人が面白いと思うものを作らないといけないってことです。だからお互いに、遠慮なく叩きあって伸ばしていこうとしている」丹羽さんの異様なまでのこだわりが伺えた。

丹羽監督作品「ソネット」のワンシーン

丹羽邸での取材ののち、駒場祭に向けたスピカの話し合いがあるということで、同行し駒場に向かった。出席した部員は20名程度だったが、話し合い前は黒板に落書きしたりパソコンのディスプレイを睨んだり、どうも統一感のない室内だ。しかし会議が始まると、部員全員から静かな気迫が伝わってくる。いや、一見しただけではゆるゆるした普通の会議にしか見えないのだ。が、一人一人の言動をよく見ていると、皆が「いい上映会をしよう」という意気込みただ一点においてはかたく結束しているように感じるのだから不思議。事前PRや当日装飾などについて話し合ったりしたほか、丹羽さんがスピカの理念についても改めて語った。

「スピカはまだ歴史の浅いサークルなだけに、今どんどん伸びている。この駒場祭はクオリティ的にも過去最高の映画が上映できると思います」
彼らの“挑戦”の形は無限なのかもしれない。ただ、がむしゃらになにかを追い求めた奴らの足跡を、見届けたくなった。


挑戦的映画劇場
場所: 13号館1312教室
ホームページ: http://www.geocities.jp/spika1895/

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