鉄道研究会

鉄道研究会は多くの大学に存在しており、学園祭で鉄道模型を囲む楽しげな子どもたちの姿は学園祭らしい風景の一つでもある。東京大学の鉄道研究会は、今回の駒場祭でどのような風景を見せてくれるのであろうか。東京大学鉄道研究会駒場支部長の滝野雄一郎さんに、今回の企画についてお話を伺った。


滝野雄一郎さん

――東京大学鉄道研究会の普段の活動を教えてください。

東京大学鉄道研究会では、メインの活動として五月祭と駒場祭に事前に決められたテーマに沿った研究発表をしています。学園祭の前にはテーマに関する記事をみんなで書き、それを『簡易線』という会誌にまとめ上げて学園祭では無料で配布しています。また当日は部屋を一つ借り切り、そこに自分たちで制作した大きな鉄道模型のレイアウトを展示します。他にも、テーマに沿った写真を会員が撮ってきて学園祭の会場に展示しています。

学園祭以外の活動としては、毎年夏に「研修旅行」として全国にある鉄道会社の車両基地や車両工場などを見学します。今年は北陸と東海に行きました。今の時期ですと駒場祭の準備を進めているので、鉄道模型の制作や記事の執筆が普段の活動ということになりますが、特に何もない時期でも「例会」と称して毎週火曜日の昼にみんなで集まって語り合い、楽しく過ごしています。

――今年の駒場祭の研究発表について教えてください。

今年の研究発表のテーマは「第三セクター」です。第三セクターは、一般的な鉄道会社とは経営形態が異なり、地方公共団体などからの資金提供を受けて経営をしている鉄道会社のことです。JRや一般的な私鉄は独立した民間会社として経営していますが、第三セクターでは基本的にちょっと経営が厳しかったり収益性が低かったりする鉄道会社が多く、沿線の自治体が資金的に援助をしてあげて経営のサポートをしています。国鉄時代に採算が取れずに廃線になってしまった鉄道が、第三セクターという形で復活しているようなところが全国にたくさんあるので、会員が自分の出身地付近の第三セクターについて調べ、写真を撮るなどして準備を進めています。

――今回の企画のみどころは。

今回は、多彩な鉄道の写真が展示されている点が一番の見どころです。普通の鉄道だけでなく、モノレールや「ゆりかもめ」のような新交通システムの中にも第三セクターで運営しているところがあります。「愛・地球博」の時にあった「Linimo」というリニアモーターカーも第三セクターなんですよ。第三セクターという縛りの下では多彩な鉄道を取り扱うことができ、ある意味「なんでもあり」という感じの写真構成になっています。バラエティーに富んだ写真を楽しんでいただけたらと思います。

鉄道研究会

――制作中の鉄道模型も第三セクターに関連があるのですか。

第三セクターの車両模型は、鉄道模型のメーカーからあまり出ていないので、今回はテーマに沿った車両を揃えるのが難しく、鉄道模型だけはテーマにぴったり沿わせることができませんでした。でも、会場に飾る写真と『簡易線』はテーマにしっかりとあわせてあるので、第三セクターについてはそちらでお楽しみいただければと思います。

――鉄道模型の制作にはどれくらいの時間をかけているのですか。

レイアウトは、だいたい80センチメートル四方のパネルを6畳半ほどの大きさに並べて作るのですが、この並べる作業には2週間ほどかかります。パネルにはいつも使っているものもあり、それらについては壊れた箇所の修復もしながら制作しています。今回は、修復やレイアウトの敷き直しも含めて大体 1,2か月前から制作してきました。

今回の駒場祭で展示するレイアウトを構成しているパネルは、去年の五月祭から新しく使われており、これまでは不十分なところが多少ありました。今回の駒場祭では、それを完成体として展示することができます。

――鉄道模型を制作するのは苦労されることも多いのですか。

はい。個人が作るような普通のレイアウトに比べて規模が非常に大きく、電気回路も複雑になってしまい、ハンダ付けをしながらパネルを組み合わせていくのは大変です。1箇所でも配線が間違っていると「ショート回路」になってしまうんです。また、あまり良好とは言えない環境の中でずっと保管してあるのでレールが錆びついてしまい、磨くなどして常にきれいな状態に掃除しておかないと模型が動かなくなってしまう点も大変です。さらに資金面に関しても、鉄道模型を作るための費用を調達するのは大変です。学園祭の準備では、鉄道模型の制作が一番大変かなと思います。

制作する環境も少し厳しいものがあります。他の団体が使用しておらず、模型の制作に必要な広いスペースが確保できる「旧生協食堂」で主に制作を進めるのですが、実はここは駒場祭の後に解体が決まっている建物なので、廃墟に近いような状態で電気も通じておらず、さらには使用するための手続きに手間がかかってしまいます。でも、旧生協食堂では何の気兼ねもなく作業することができるという良さがあります。

鉄道研究会

――準備をしていて楽しい点はなんですか。

今、旧生協食堂の話をしましたが、この広いスペースを利用して好きなように鉄道模型を走らせることができるのが楽しいです。作業をするときは、みんな自前の車両模型を持ってきて鉄道模型の制作をしながら走らせたりしています。みんな走らせる気まんまんで来るんです(笑)。普段から何度もパネルを並べて走らせているんですよ。本番以外でも、パネルを並べればとりあえず模型を走らせて遊べるというのは楽しい点です。

あとは、研究発表の記事を執筆するときに、自宅や自分の出身地、実家に近い鉄道会社について調べる過程で、自分にとって普段身近な鉄道なのに知らなかったことが次々とわかってくるのも準備をしていて楽しい点です。

――本番にかける意気込みを教えてださい。

とりあえず、模型がきちんと動いてくれるのが一番うれしいです。また、当会の展示は小さなお子様がたくさん来てくれます。子どもたちは走っている電車を見て喜んでくれるので、子どもたちにも楽しんでもらえるようにがんばります。

――最後に、来場者の方に向けてメッセージをお願いします。

先ほども言ったとおり、第三セクターは経営が厳しいものが多いので、今回のテーマは暗い内容も少なからずありますが、『簡易線』や写真などを見て少しでも研究内容に興味を持ってもらえればこちらとしては成功だと考えています。是非、楽しみにいらしてください。


時間:21日(土)~23日(月) 終日
場所:コミュニケーションプラザ 多目的教室3