日本は再生できるか

駒場祭初日、『日本は再生できるか?』と題した、現大阪府市統合本部特別顧問である古賀茂明氏による講演会が行われました。

古賀氏は最初に民主党がまだ3年間しか政治をやっていないことに触れられ、現在の様々な問題を考えるには、その前の自民党の時代まで戻って考えなければならないと指摘されます。そして自民党政権時代、自民党が犯した「5つの大罪」について取り上げられました。

まず1つ目の大罪は「借金」です。普通は景気対策をすると景気がよくなり税収も増えるはずなのですが、自民党の景気対策は、終わるとまた元の状態に戻るという一時的なもので、借金だけが積み上がってしまいました。

2つ目の大罪は「少子高齢化への対応をしなかった」ことです。また一般の人に自由に使える時間がないために、消費者運動や労働運動が弱いこと、ボランティア活動や地域の活動にほとんど参加できないことも問題として取り上げられました。

3つ目の大罪は「成長できない経済にした」ことです。日本の「高い技術」「優れた労働力」「企業はお金が余っている」、また「成長センターのアジアの中にいる」という理由から、日本が成長しないはずがないと考える海外の投資家。しかし現実の日本には人も投資もなかなか入ってこない。こういう経済にした自民党の責任は大きいと古賀氏は述べられます。

さらに古賀氏は、これから伸ばしていかないといけない「成長分野」とその問題点についても述べられました。自民党も民主党も、成長分野として「農業」「医療」「再生可能エネルギー」の3つを挙げているわけですが、3分野ともほとんど新規参入ができない、あるいは、資本主義・自由主義の国にもかかわらず、株式会社が入れない仕組みになっています。仕組みを取り払えばいいわけですが、そのためには農協・医師会・電事連と戦わなければなりません。しかし自民党はそれをすることができず、結局、「補助金を出す」「低利融資をする」「税金を負ける」、これしかできなかったと古賀氏は鋭く指摘されます。このような政策では、借金が積み上がる一方であり、しかもただでさえ少ない補助金が、縦割り行政によって更に細かく分割されてしまい、ほとんど効果がなく終わってしまいました。こういった成長戦略をずっとやってきたために、全然伸びない国になってしまった。これが自民党の罪であると古賀氏は述べられます。

4つ目の大罪は「原発」です。原発事故の原因は基本的には民主党ではなく自民党にあり、自民党はまずそこを謝るところから始めなければならなかったと指摘する古賀氏。しかし総裁選で、5人の候補は誰も被災者に対して謝ることなく平気で民主党を批判していたと、古賀氏は苛立ちを隠せない様子でした。

5つ目の大罪は「中国」です。安倍総裁は尖閣の問題に関して、今でこそ勇ましいことを言っているけれども、過去、自民党はずっと黙ってきたではないか、と古賀氏。日本が勢いに乗っていた「Japan as Number One」の時代にこそやるべきではなかったのか。自民党は、長く政権を担当していた期間があったのだから、本当は長期的視点に立って、今は攻め時だ、今は引き時だ、ということをやらなければならなかったと古賀氏は指摘されます。

続いて古賀氏は、そんな自民党から政権を奪取した民主党について触れられます。

自民党は色々なしがらみがある。しかし民主党は自由だから日本を変えられるのではと思われていた。けれども全然そんなことはなかった。どうしてか。この疑問に対して古賀氏は「政治家は普通の人だから」であると答えを提示されます。野党で権力がなかった民主党は、しがらみを作りたくても作れなかった。ところが政権与党になった途端、色々な団体が票とお金をもってやってきた。政治家は聖人君主ではなく普通の人だから、受け入れてしまったのだ、と。

さらに古賀氏は民主党が政治主導に失敗した理由について語られます。

まず第一に、民主党は政治主導の意味が分かっていなかった。定義がおかしかった。基本的に官僚を敵視していたのが原因であり、「出て行け」ではなく「従え」と言うべきだった。

第二に、出て行けと言ったくせに、自分たちに能力なかった。結局は官僚に謝り、戻ってきて下さいとお願いしたために、官僚主導に戻りつつある。

「民主党は結局やりたいことがなかった、もしくは分からなかったんじゃないか」と古賀氏。民主党がやりたかったのは自民党を否定すること、そして政権を取ることだけで、それ以上先のことは、なんとなくはあったけれども具体化していなかったのではないかと指摘されました。

古賀氏はいわゆる「第三極」についても触れられます。

中でも日本維新の会が太陽の党と合併した際、「改革」という言葉が全部消え、公務員改革に至っては項目ごとなくなったことについて強く述べられました。要するに既得権と戦わないということでは、と古賀氏。おそらく橋下さんは選挙が終わったら太陽の党ともう一度戦うということをやりたいのではないか。民主党も同じような感じだった。維新の会はどういう道をいくのか、ちゃんと見ていないといけない、と古賀氏は述べられます。

衆議院選挙が近いこともあり、古賀氏は若者に「絶対あきらめないで投票には行っていただきたいと呼びかけます。若い人はお年寄りよりも投票率を上げない限り、声が通らないと。また、古賀氏は投票するだけでは政治は変わらないとも述べられました。日頃から政治家を自分たちの思った方向に動かす必要がある。それは脅したり褒めたり両方。おかしなことやったらダメだ。いいことやったら頑張れと伝えることが大事だ。今はネットもある。昔ながらの電話やはがきでもいい、と古賀氏。

また、社会人でお金がいっぱいある人は政治献金(個人献金)をしてあげてほしいとも述べられます。団体はその構成員の数から力が見えるけれども、一般の人たちの声こと「風」は数えられない。それをはっきり分からせるのは直接の声。電話でもTwitterでもいいので、そういう人がいるんだとしっかり伝えるのが大事であると古賀氏は述べられました。

古賀氏は講演の最後、「日本の政治を自分たちで動かそう。いつも『騙された騙された』と言っているだけではなく、とにかく騙せないようにプレッシャーを掛けていくことをやっていかなければならない」とメッセージを残され、講演会を締めくくられました。

今回の衆院選が初めての国政選挙となる筆者は、候補者の政策や政治スタンスをインターネットで調べることはあったものの、政治家にメッセージを送るなどしたことは一度もありませんでした。今回の古賀氏の講演会を通して、本気で政治を変えたいと思うのならば、政治に対して受動的に与えられる情報をそのまま享受しているだけではなく、自ら積極的に政治家に働きかけていく姿勢が大切であるということに気付かされました。