グローバル化の中でどう生きるか

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社会学の山本泰先生と国際関係論の嘉治美佐子先生が、グローバル化の実態とその中での日本のあり方に関して対談を行いました。大まかなテーマは定まっていましたが、話す内容はアドリブであり、両先生がそれぞれの思いを自由に語りながら議論を深めていきました。

グローバル化とは何かについて、始めに嘉治先生が、それは国家が世界の諸問題に対応しきれなくなり、国家でない主体が力をもつようになることだ、と簡潔に考えを述べられました。山本先生がその定義を踏まえて今のグローバル化の問題点をお尋ねになり、嘉治先生が自国を閉じたものだと考えがちな日本の傾向をあげられました。そして、東大における外国籍の学生のあり方、韓国の留学熱の実態を例示しながら対談が進み、グローバル化とは人種・国籍・居住・文化が重ならない人が増えて国の境界が分かりにくくなることであり、問題は人々の認識がその現実に追いつかないことである、という結論に達しました。

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次に日本の立ち位置について議論がありました。嘉治先生が、日本は大国であり、それを理解することが重要だと述べられました。具体例として、イギリスの新聞に掲載されていた事例が挙げられました。日本では世界に先駆けて高齢化や経済格差などの問題が起きていて、それをどう解決するかが他国から注目されている、というのです。この主張に対し山本先生は、人口がこれから減少するという人口学の予測のもとでは、大国であり続けることはない、成熟した中規模の国を目指すことがこれからの日本のあるべき姿であるとの考えを示されました。両先生の意見は、日本が他国には無い良さをこれからも持ち続けることが大切だという点で共通していました。

最後に、グローバル化の中でどう生きるかということが、主に教育の観点から議論されました。両先生とも日本の教育における基礎重視の傾向は評価しながらも、質問は授業の内容が分からないときにするものとみなし、質問が出ない授業を良いと思い込むような風潮は変えるべきだと述べられました。さらに、嘉治先生は、グローバル化の中で国内外から要請されている英語の応用力を伸ばす方法として、ディベートの習慣をつけることの必要性を説かれ、山本先生は学生に、様々な価値観をもつ人々とのマッチワークができるようになるために、学生自身の成功経験だけでなく、いろいろな世の中や挫折も知ってたくましくなり、自分の価値観を相対化することを期待するというメッセージを送られました。

身近な具体例を通じてグローバル化という大きなテーマについて知ることができ、さらには教育者としての対談者の思いも伝わる講座となっていました。