文学部企画

文学部企画

法文2号館1番大教室では、文学部企画として講演とシンポジウムが行われました。

講演は「文学の明日を考える」というテーマで、講師は東京大学文学部の菅野昭正名誉教授。講演は菅野教授が学生時代に小林秀雄の「私小説論」を読んで「具体的なことが述べられていない」とその内容に疑問をもったという話から始まり、その後はセルジュ・ドゥブロフスキー『息子』やナタリー・サロート『あなたはあなたを愛していない』など多数の作品を取り上げながら、近代フランス文学における「私」の変遷が主に解説されました。最後に菅野教授は、最近の日本の小説について「分かり易さの過度な要求」「日本語の間延び、漢語の衰え」「ミニマリズム」をその問題点として挙げられていました。

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講演の後は休憩をはさんで、菅野教授のほか同じく東京大学文学部の安藤宏教授、柴田元幸教授、野崎歓准教授が加わってのシンポジウムが行われました。テーマは「現代文学における『私』をめぐって」。安藤教授、柴田教授、野崎准教授がそれぞれの専門に絡めて先ほどの講演について感想や質問をぶつけ、菅野教授がまとめてそれにこたえるという形式がとられました。安藤教授が日本の私小説における演技性の話をすると、そこからフランス文学・日本文学・アメリカ文学それぞれにおける「私」の比較がなされ、既成の社会のうちにあるフランス、「宣言」が先行して成立したアメリカという各国の歴史的背景が文学における「私」の語られ方にも影響しているという話がされました。

会場は老若男女の文学好きで埋められ、多くの人が熱心にメモをとっていました。文学研究がどのようなものなのか、またその魅力に触れられる企画だったと思います。