農学部(オープンキャンパス2012)

農学部

弥生講堂で行われた農学部コースでは、農学部の講義を一条ホールの大講義室で体験できる3種類の模擬授業と、15人から30人ほどの少人数でさまざまな専門分野の研究室を見学できる6種類の研究室見学の2つが用意されていました。小林和彦教授による模擬授業「あなたの食べ物は、本当はどこから来てどこへ行くのか?」では、時代による食の変化、国による食生活の違い、などを切り口にして「食遷移」と呼ばれる主食(穀物類)と肉や魚、卵などの動物性食品の消費割合の変遷について語っていきました。

農学部

例えば、江戸時代の歴史資料を解読していくと卵は今の値段に換算して高価なものとなっています。また、ブータンやエクアドルなどの食事を見てみると、穀物が非常に多い反面、日本と比べると動物性食品が非常に少ないものとなっています。食遷移とは、穀物を中心とした「腹いっぱい食べたい」第一段階の食事から、動物性食品やその他の食品の割合が増える「うまいものを食べたい」第二段階、さらに、最近の日本や欧米があてはまる「身体に良いものを食べたい」第三段階へ、この遷移が世界共通で起こっているという考え方です。食事が変化するのは経済成長や都市化などの要因もありますが、農業の発展もあります。窒素固定は農業の収量増大にとって重要な要素ですが、人工的な方法が確立していなかった時代には微生物による固定しかできなかったため、穀物生産に限界がありました。そのため必然的にそれを飼料とする動物の飼育にも限界があり、動物性食品の価値の高さの要因となっていました。しかし、空気中の窒素を固定する技術であるハーバー・ボッシュ法の開発によって穀物の生産量が上がり、それと同時に動物性食品の消費の割合が伸びることとなりました。とはいえ、動物性食品の生産は飼料を大量に使うなどの問題も残っています。

最後に、地球の人口の上限と言われる90億人全員が「身体に良くてうまいものを食べる」ことができるにはどうしたらよいのか考えてほしい、というメッセージが送られ、講義は締めくくられました。終始写真を交えながら来場者に語りかけるように講演は進められたので高校生たちも思わず引き込まれたのではないでしょうか。