駒場リサーチキャンパス公開2015

駒場リサーチキャンパス公開2015

6月5日(金)、6月6日(土)に東大駒場リサーチキャンパス(駒場Ⅱキャンパス)のキャンパス公開が実施されました。

筆者が取材したのは6日でしたが、集団で来ているらしき中高生や、小さい子供を連れた親子連れの姿が多く見受けられました。外国の方も多く、研究室の方が英語で対応する光景も見られました。
キャンパス公開では、生産技術研究所、及び先端科学技術研究センターの各研究室の研究が発表されたほか、研究室や教授による講演会・シンポジウム、小中学生向けの理科教室、大学院入試説明会も行われていました。

ここでは、研究室公開と理科教室のうち、筆者が実際に見たものについてお伝えします。


暗号と情報セキュリティ(松浦研究室)

暗号化や通信システムのセキュリティについて、専門知識がなくても理解できるように説明していただきました。

人気だったため筆者は体験できませんでしたが、接続経路を隠す技術Torを用いてアクセスしたウェブサイトを、第三者がウェブサイトごとの通信の特徴を分析することで割り出してしまうシステムのデモが用意されていました。

次世代の交通システムをデザインする
(次世代モビリティ研究センター)

次世代的な交通システム・車・電車等に関するパネルが数多く展示されていました。ブースの方も親切に対応して下さり、筆者は新たな信号システムの構想などについて説明していただき、大いに好奇心を刺激されました。高性能のドライブシミュレータもありましたが、残念ながら筆者がお邪魔した時にはその体験は終了していました。体験は毎年行われているそうなので、筆者としてはぜひ来年こそ早めに行って体験したいと思います。

静穏・快適な音環境実現のための技術開発(坂本研究室)

音に関する実演と体験がありました。まず研究室の入り口付近で水の入った金属製の盆の取手を手でこすると音が出る、という体験があり、多くの来場者が興味津々の様子でした。そして研究室の中には、外部からの音が完全に遮断され、さらに吸音材によって内部での音の反響も抑制された無音室がありました。来場者が実際にその中へ入り、6つのスピーカーからの立体的な音響を聞く、という体験ができました。筆者が体験したところ、無音室に入った時点で普段とは異なり妙に静かな感じがしましたが、花火の音が流された時にはまるで自分が花火大会の場にいるかのような感覚を受けました。

その後も、無音室の中で様々な場面の再現がなされましたが、どれも興味深いものでした。

身近なICTを応用したバリアフリー技術(巖淵研究室)

特別な装置を必要とせず、iPadなどの身の回りにある機器を用いたバリアフリー技術が実演されていました。具体的には、読み書きに不自由がある人のために写真を撮ったページの文章を読み上げるアプリや、重度の身体障害がある人のためにウェブカメラで体の動きを感知し、ライト等のスイッチを操作できる仕組みなどがありました。

筆者にとって特に印象深かったのは、iPhoneを利用して目の表面の乾き具合を判定するデモです。これにより高価な装置を使うことなく短時間でドライアイを発見できるとのこと。筆者が体験したところ、涙の量が不足していると判定され、意識的にまばたきをするようアドバイスを受けました。いずれの研究も、利用者の立場を考えた研究でした。

渋滞学(西成研究室)

渋滞の発生メカニズムとその解消方法などに関するパネルが展示されていました。筆者としては、渋滞という身近な事象がテーマであったため自分に引き付けて考えることができた一方、自分の直感とは異なる研究結果もあり新鮮でした。研究には確率論を用いているそうで、想像もしなかった数学の使い方に驚嘆しました。

バーチャルリアリティーを体験してみよう(廣瀬・谷川研究室)

スライドを用いた研究発表のほか、iPadを用いたバーチャルリアリティーの体験が行われていました。ここでは、交通科学博物館という既に閉館した博物館の内部の画像をストリートビューのように表示するアプリや、使用者が鉄道模型とその車体の実際の写真を重ね合わせると、その車両が実際に走行している映像を表示するアプリが体験できました。どちらのアプリもiPadを動かすと画像の範囲も同じように移動する仕組みとなっており、実際にその画像の中にいるように感じました。

理科教室(ハンバーガーを科学する)(中邑研究室)

会場となった教室のある建物はとても古びていて、内装もお世辞にも綺麗とは言えないようなものでしたが、その教室だけはとても綺麗に整備されていました。講師の方によると去年改装したばかりの部屋だそうで、アイランドキッチンが併設されていて、料理をするのに絶好の環境でした。
この教室は、文字通りハンバーガーに関連した実験を通して子供たちに科学を紹介するものですが、この日のテーマは「熱伝導率」。今年この教室は計3回開かれましたが、筆者が取材した回には総勢12人の小中学生が参加していました。

まず講師の方がスライドを使って問題提起をし、子供たちの興味を引き付けました。その後、アクリル板、銅板、ステンレス板、アルミ板それぞれの上に凍った肉を置き、解凍の速さを比べる実験が始まりました。この実験では、温度計で温度を測り記録するという実験らしい課題が設けられていた一方、サーモグラフィーを通して肉を見たり実際に竹串を肉に刺したりすることで子供たちが解凍速度の差を感覚的にも理解できるように工夫されていました。

ビデオを見て実験結果を総括した後、今度は氷をそれぞれの板の上に乗せて解ける速さを比較する実験が行われました。この違いは視覚的にとても分かり易いもので、子供たちも板の材料によって熱の伝わりやすさが違っていることを実感していました。

その後肉を焼く段階に移りましたが、ここでもフッ素加工ありのフライパンを使った場合とフッ素加工なしのフライパンを使った場合で焼け方を比較する実験が行われました。表面の焼け方や肉汁の出方、肉の断面の様子などが明らかに違っており、フライパンによる焼け方の差をよく理解できる実験でした。

この教室では、終始子供に親しみやすいような語り口で話したり、子供に質問することで発見を促したりと、講師の方もアシスタントの方も子供の興味を引き出せるように工夫していました。一方で最初の実験の際には、「同じタイミングで解凍を始めないといけない」など実験で大切なことも伝えていました。ハンバーガーという身近な題材が用いられていることもあり、子供たち全員が最後まで積極的に教室に参加し、楽しんでいました。子供たちに科学への興味を持ってもらう絶好の機会だったことは間違いありません。

保護者の方によると、この教室はインターネットでの参加受付が開始してからわずか2分で定員が埋まってしまいキャンセル待ちになるほどの人気だったとのこと。筆者としてもそれも当然と思えるほど楽しく、意義深い体験教室だと感じられました。

中高生向け特別イベント

いくつかの企業がブースを出していました。筆者の訪れたブースでは、ベアリングを来場者が組み立てるというパズルが行われていました。筆者も挑戦しましたが、なかなか難しくヒントを貰わないと組み立てることができませんでした。中高生にモノづくりへの興味を持ってもらうにはとても優れた企画でした。

かき氷配布(生産技術研究所)

大学のスタッフの方々が、来場者のためにかき氷を無料配布していました。筆者も頂きましたが、とても美味しいかき氷でした。来場者への思いやりを感じました。

掲載日: 2015年11月8日 更新日: 2015年11月8日
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