平成22年度学位記授与式・卒業式

縮小挙行

2011年3月24日(木)、平成22年度卒業式及び学位記授与式が東京大学本郷キャンパス理学部1号館内の小柴ホールにて挙行されました。従来、学位記授与式と卒業式は安田講堂で日を分けて挙行されていましたが、今年度は東北地方太平洋沖地震の深刻な影響を考慮して、修了生・卒業生のうち各研究科および各学部の代表のみが出席する形となりました。


学位記授与式

学位記授与

修了生代表が入場し、東北地方太平洋沖地震の犠牲者に黙祷が捧げられたのち、学位記授与式が始まりました。まず大学院の各研究科の博士課程、専門職学位課程および修士課程の代表に、各研究科長のもと濱田純一総長より学位記が授与されました。3911名の修了生(修士課程2800名、博士課程706名、専門職学位課程405名)を代表して学位記が授与される様子は感慨深いものがありました。


濱田総長

濱田総長は告辞において、東北地方太平洋沖地震によって失われた尊い命に哀悼の思いを捧げたうえで、「被災者の方々にお見舞いを申し上げ、東京大学としてもできる限りの努力を行なっていくつもりである」と述べました。そして、これから社会に出ていく、あるいは研究の世界に引き続き携わっていく修了生に対しては、それぞれの分野の専門家であると同時に「知識人」であってほしい、というメッセージを贈りました。これからの被災地の復興、さらには日本全体の復興に、どのように専門的な知識や知恵を生かしていくことができるか、という問題に触れ、これからの復興は、社会インフラの整備や町づくりなどとともに、生活や社会の仕組み、さらには自然との付き合い方を含めた私たちの生き方そのもの、基本的なものの考え方についても考えていくようなものになるだろう、とそしてこれまでの考え方との建設的な緊張を持つ必要性を強調しました。そのために、卒業生には「知識人」として、幅広い知識を基盤とし、普遍性への志向のもと、歴史的視野と理念の作用力への信頼をもって時代を突き動かす役割を果たしてほしい、と卒業生への期待を述べました。


学位記授与

修了生答辞は、経済学研究科博士課程修了生代表の竹原浩太さんと、医学系研究科博士課程修了生代表の森川真大さんが務めました。竹原さんはまず大震災から間もない時期に卒業式を挙行できたことに感謝を述べ、被災者に謹んでお見舞いを申し上げます、と述べました。そしてその答辞の中で「知の創造」、すなわち高度に洗練された専門分野の研究に加えて、専門を統合して新しい価値を作り出すことの重要性を強調しました。今回の大震災に際しては防災、インフラの整備、経済活動の復活といった数々の問題が生まれましたが、こうした問題に対してこそ社会科学・科学技術・人文科学といった専門分野の連携が必要になると述べました。森川さんは始めに大震災の犠牲者に哀悼の念を捧げるとともに、被災地の一日も早い復興を祈りました。また、大学院の中で海外の研究者と触れ合う中で、日本という国の素晴らしさ、勤勉さといったものに気づかされたことを述べるとともにに、海外の考え方に学ぶものも多かったとして、特にスウェーデンを挙げ、その楽観主義には見習うものがあるとしていました。最後に、悲観主義が蔓延する昨今に、人間の知の可能性を信じ、希望をもって進まなければならないとの決意を表明しました。

学位記授与式は代表の退場とともに静かに幕を閉じ、間もなく卒業式が始まりました。

卒業式

各学部の代表が入場し、東北地方太平洋沖地震の犠牲者に黙祷が捧げられたのち、卒業式が始まりました。学位記がそれぞれの学部の学部長のもと濱田総長より代表に手渡されていき、厳かな雰囲気の中、学位記授与が終わりました。今年度の卒業生は3101名でしたが、彼らの代表として学位記を受け取る代表の方々は皆その重みをかみ締めているようでした。

濱田総長の答辞では被災者の方々への思いが述べられるとともに、卒業生の中で被災地への支援活動を行なっている方々にはその支援の輪をさまざまな工夫をして広げていってほしいと述べました。卒業生に対しては、「知識の役割」という点に関して話をしていきました。まず知識は社会に対して直接的に貢献する役割があるとして、大震災という困難な状況を直視することで、物事をぎりぎりまで考え抜くことで、知識を成長させることができると述べました。一方で、知識のもうひとつの役割として、個人的なものとして個人の人格としての成長に関わる役割を指摘しました。さらに、知の追求による個人の人格としての成長は、社会にとっても意味あるものである、という点を濱田総長は強調しました。濱田総長はここで例として、プラトンが知の愛求を通して自らの魂の完成をはかったものの、アテネにおいては有害なものとして退けられてしまったが、プラトンの思想は今日におけるまで多くの人々によって論じられ、参照されている、という事実を挙げました。知識は社会に対して直接的にも間接的にも役割をもっているとして、知識というものと正面から向き合うことが次の時代を生み出す力になると述べ、卒業生に期待の言葉を贈りました。

卒業式

卒業生答辞は教養学部卒業生代表の川下俊文さんと、薬学部卒業生代表の伊藤央樹さんが務めました。川下さんは始めに、震災から日の浅い中、式が挙行されたことに感謝の意を述べました。そののち、比較文化論的観点から、近世から近代に移り変わる時代の日本が西洋文明の影響を受け、近代化を成し遂げたことと、現代の日本が将来の見通しが立たず、パラダイムシフトの岐路に立たされていることを比較し、現代の日本も停滞を打破するチャンスではないかと語りました。最後に、被災地の一刻も早い復興を願う思いを述べ、答辞を締めくくりました。伊藤さんは大震災の被災者とその親族にお見舞いを申し上げますと述べたうえで、困難な状況のなか協力して困難を乗り越えていく優しさと気概を、同じ日本人として誇りに思う、と挨拶しました。そして大学での4年間の中で、学問の面白さを伝えてくれた教員の方々、大学生活のサポートをしてくれた職員の方々および家族、苦楽を共にした学友へ感謝の言葉を述べ、その恩を返すべく最大の努力を尽くす、とこれからの姿勢を語りました。

卒業生代表が退場すると、穏やかな雰囲気のまま平成22年度の卒業式が幕を閉じました。

リンク

平成22年度東京大学学位記授与式及び卒業式について(東京大学公式ホームページ)