宇宙を知りたい人あつまれ!

東京大学男女共同参画室では「理系最前線」という女子中高生の理系進路選択支援事業を行なっており、年間を通してイベントを企画しています。今回は、この「理系最前線」の一環として催された、柏キャンパスにある宇宙線研究所(ICRR)と国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)が主催する「宇宙を知りたい人あつまれ!」を取材させていただきました。


会場

このイベントは、ICRRやKavli IPMUで働く女性研究者の講演や大学院生との交流を通して、宇宙に関する最前線の研究や大学での研究生活について知ってもらおうという企画です。最初にオリエンテーションがあり、続いて石垣美歩先生(Kavli IPMU日本学術振興会特別研究員)の講演、昼食、百瀬莉恵子先生(宇宙線研究所特任研究員)の講演、グループごとの実験、懇談会というプログラムで進められました。対象は女子中学生と女子高校生で、数学系や物理学系の研究室がある東大柏キャンパスに35名の「リケジョ」の卵が集まりました。

オリエンテーションの後、スタッフである教職員の方と大学院生の方の自己紹介があり、次にあらかじめ分けられていた5つのグループごとでの参加者同士の自己紹介が行われました。ほとんどの人が初対面だったようですが、徐々に打ち解けたようで笑い声も上がっていました。

石垣先生の講演は、元素を作る星の働きに関するお話でした。元素は星で作られるということ自体が筆者にとっては初耳だった上、ビッグバン当時のことや星の一生など難しい内容もありましたが、図や写真がたくさん織り交ぜられ分かりやすかったです。ある星が発する光を分光器でスペクトルに分解すると、ある波長の部分だけ黒く観測されます。星の周りに含まれる物質が特定の波長の光を吸収しているのです。この黒い「吸収線」が見られる波長と強さを分析することで、星とその周辺の元素組成を推定できるのだそうです。

講演後の質疑応答では、宇宙に関する質問の他、石垣先生の名字についての質問もありました。石垣先生は結婚して名字が変わった後も、仕事では旧姓を使っているそうです。そのことについて、不都合は無いのかという質問が上がり、先生のお答えではホテルの予約で迷うことがあるくらい、とのこと。中高生も気になる問題なのだなと思いました。

講演

参加者とスタッフで同じテーブルに座って昼食をとった後は、百瀬先生の講演です。銀河がどのように形成、進化して今の姿になったのかを観測によって研究する手法が紹介されました。石垣先生のお話にも出てきたスペクトルと銀河が遠ざかることで起こる「赤方偏移」という現象から銀河の年代を調べ、銀河における星形成の活発さから銀河の進化過程を調べるそうです。これらの知見をもとに過去の銀河を探し、性質を調べ、時代ごとの進化を推定していく過程が詳細に説明されました。

グループ

実験の時間には、最初に分けられていた参加者6、7人ほどのグループに大学院生の方が1人ずつ付き、重力波を観測する検出器の小型モデルをつかった実験を行ないました。今回作ったのは「マイケルソン干渉計」という装置の仕組みを応用したもので、2つに分かれた光のうち片方に音楽プレーヤーから振動を伝えて干渉の様子を変え、光を音に変換して「揺れ」を観測する装置です。

実験中

重力波とその研究についての説明を聞いた後、グループに1セットずつ実験器具が渡され、実験が始まりました。参加者は大学院生からヒントをもらいながら装置を組み立てていきます。ある器具を押さえる人、長さを測る人、別の器具を調節する人など役割分担をしながら、グループみんなで意見を出し合って実験を進めている様子が印象的でした。全てのグループがなんとか実験を成功させることができ、1番目と2番目に成功したグループに景品が配られました。実験を通して、参加者は他の参加者ともスタッフとも親睦を深めたようでした。

最後に、同伴の保護者の方々も交えて、参加者とスタッフで懇談会がありました。大学受験や大学生活、研究内容などについて、お茶を飲みながらざっくばらんに話していました。東大の研究者に直接質問をぶつけるというのは普通なら緊張してしまうように思えますが、これまでのプログラムを通して緊張もほぐれたようで、和やかな雰囲気のまま今回のイベントは幕を閉じました。

一日を通して、スタッフと参加者が互いに積極的に話しかけていたのが印象的でした。交流しやすいようプログラムが工夫されているだけでなく、その場にいる全員で楽しい場を作り上げていたように感じました。高校生までに東大の研究や研究者と直に接することができるのは、とても素晴らしいことではないかと思います。筆者もこういうイベントに参加していたら、今とは違う進路を選んでいたのかもしれません。

この「宇宙を知りたい人あつまれ!」は定員30名に対して81名 の応募があり、急遽枠を35名に増やして実施されたそうです。「理系最前線」のイベントは今後も開催されるそうなので、興味を持たれた方はぜひ応募してみてください。

掲載日: 2014年4月12日 更新日: 2014年4月12日
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