平成20年度入学式

桜が咲き残る4月11日、平成20年度東京大学入学式が日本武道館にて行われました。例年は創立記念日である4月12日に行われますが、今年は1日早い入学式となりました。今年の入学者数は3163名。慣れないスーツに身を固めて武道館へと向かう新入生の姿を見て、筆者には1年前の入学式が昨日のことのように思い出されました。

入学式の模様
入学式の模様
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開式前には運動会応援部によるデモンストレーションが行われ、会場の雰囲気を盛り上げるのに一役買っていました。開式時間になると場内の照明がぱっと明るくなり、音楽部管弦楽団によるワーグナー作曲「ニュルンベルグのマイスタージンガー前奏曲」の演奏が始まりました。見上げると、電光掲示板には「祝・入学おめでとう」の文字が浮かんでいました。おそらく新入生にとっては、入学の喜びが胸に込み上げてくる最高の瞬間だったことでしょう。

演奏が終わると壇上列席者の登壇です。総長をはじめ、来賓の方や役員、各学部・研究科長などが、赤と青の2つの旗を持った学生に先導され、角帽とアカデミックガウンを身にまとって入場してきます。開式の言葉で式典が本格的に始まると、音楽部コールアカデミーによって東京大学の歌「大空と」が合唱されました。東京大学には校歌がないため、式典では「大空と」と「ただ一つ」(後出)が東京大学の歌として歌われているのです。つづいて、総長と教養学部長による式辞、来賓の方からの祝辞が行われました。

入学式の模様
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地球環境工学の専門家でもある小宮山宏総長は、地球環境問題への取り組みを話題の中心に据えながら、「東京大学が皆さんに提供するものは、答えのある問題を他人より早く小奇麗に解く力でもないし、確立し、答えのわかった知識でもない」と述べられました。そして新入生が「新しい21世紀の地球規模の視野を持った未来人として」育つために、「世界トップレベルの、本当の意味での知のサロンと知の実験室を提供すること」を東大総長として約束されました。

小島憲道教養学部長は、「広い観点から学問の多様性と奥深さを理解し、特定の専門分野に偏らない総合的な視点や柔軟な理解力を獲得すること」を前期課程の重要な目的の1つとして、「知的好奇心と能動的な学びの姿勢を持って欲しい」と述べられました。

入学式の模様
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入学式の模様
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来賓の祝辞では、建築家で特別栄誉教授の安藤忠雄さんが、「リーダー不在の今の日本社会は迷走状態にある。現代の諸問題を豊かな能力で解決するためにも、死に物狂いで勉強してもらわないと困る」と述べたうえで、「独創力は知識の総量ではない。勇気を持って行動することにこそある。個人の自立なくして独創力は得られない」と新入生に訴えかけました。原稿を棒読みするのではなく、新入生を見据えて述べる安藤さんの言葉には説得力がありました。

そして、鈴谷賢史さん(文科一類)が新入生総代として宣誓を行った後、東京大学の歌「ただ一つ」の合唱と応援部によるエールがあって、式典は厳かな雰囲気の中で幕を閉じました。閉式後、会場の外は8000人を超す新入生・父母等で混雑していました。

入学式の模様
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入学式の模様
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式典後の新入生の声を紹介したいと思います。

― 入学式はどうでしたか?

  • 引き締まった感じです。
  • 意外に短かった。あっけなかった。
  • 総長を間近に見れたし、東大に入ったんだなという実感がわきました。
  • 眠かったです。退屈でした。
  • 武道館で行うということで期待していました。照明の効果もあって荘厳な雰囲気でした。
  • 既に授業は始まっていますが、今日の入学式でやっと入学できたという実感がわきました。小宮山総長の話を聞いてやる気も出ました。

―もう授業が始まりましたが、大学の授業はどうですか?

  • つまらないです。
  • 授業時間が長い。
  • 自分で考えるような授業ばかりですごく楽しいです。どれを取るか迷っています。
  • まだイントロって感じなので、そこまで難しくありません。
  • ぬるいなと感じます。大学の先生は教えるのを専門にしていないんだなと。
  • 高校までとは違って時間割を自分で組むのが不安です。でもまあ自主的に学びたいと思っています。自主性を大切にする東大は素晴らしいと思います。
  • 自分は理系だけど日本史なんかにも興味があるので、文系科目にもチャレンジしたい。これも学部が決まっていないからできることだと思います。

―これからの意気込みを一言

  • 頑張ります。(複数)
  • 今のやる気・期待を忘れずに4年間頑張りたいです。
  • 死に物狂いで勉強します。
  • 将来最先端で活躍できるよう勉強したい。
  • 受身的に学ぶのではなく、自分の夢につながるよう受験以上に勉強したい。
  • 航空関係に進みたいと思っているので、それに向けた勉強をして準備したい。

入学式の模様
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入学式の模様
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新入生のご家族に伺いました。

―今のお気持ちはいかがですか?

  • ほっとしています。(複数)
  • 希望どおり入れてよかったね。(複数)
  • 幅広い分野を扱うベスト・オブ・ベストの総合大学にせっかく入ったのだから、いろんなことをしっかり勉強してほしいです。
  • うれしい気持ちでいっぱいです。

朝方は曇り空でしたが、式典が終わるころには澄み切った“淡青の空”が広がっていました。これから待っている自由な大学生活。入学式はその「多様で豊かな知の森や海原を越えていく旅」(総長式辞)の始まりなのです。


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