平成24年度入学式

入学式と桜

前日の悪天候のおかげというべきか、東京大学創立日の4月12日に行われた2012年度入学式は雲ひとつない晴天に恵まれました。昨年は東日本大震災の影響から学内での縮小挙行となったこともあり、2年ぶりの入学式は最高のコンディションのもと、武道館で盛大行われることになりました。武道館周りの桜はほぼ満開に咲き誇り、新入生の晴れやかな未来を象徴しているかのようでした。一方、新入生は綺麗な真新しいスーツに身を包み、とてもリラックスした様子で写真を撮ったり、友人と喋ったり、駒場祭公式キャラクターのこまっけろと戯れたりしていました。


武道館の中は一見すると広いようですが、3,152人もの新入生とその保護者が入るとみるみる埋まっていき、会場は異様な熱気と緊張感に包まれました。気合の入った応援部のデモンストレーションが始まると、新入生の緊張感も一気に増したように見えました。マイクを使わずにこれでもかと武道館中に響き渡る演舞は、声ばかりでなくその堂々たる姿も圧巻でした。

更に東京大学音楽部管弦楽団による「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲の演奏も行われました。それまで周囲との話に花を咲かせていた新入生も、この演奏を聴いて水を打ったような静けさに包まれます。遂に始まるぞ、と思った瞬間です。

応援部の演舞が終わった後はいよいよ教授方、来賓方の入場です。入場門が開き、見えるのは方々のアカデミックガウン。拍手で迎えられ、壇上までゆっくりと行進していきます。壇上に登られた後、列席者の紹介がありました。総長、理事、副学長、学部長、研究所長の方々に加え、今年はなんと来賓として、パデュー大学特別教授の根岸英一先生がいらっしゃいました。周知の通り、2010年のノーベル化学賞を北大の鈴木章先生と同時受賞された方です。思わぬゲストの登場に、新入生もやおら色めきだっていました。こんな有名人の講演を聴けるのも東大ならではですよね、東大に入学したという事実を特に自覚したのではないでしょうか。

さて紹介が終わり、いよいよ開式が宣言されます。
プログラムの一番はコールアカデミー、コーロ・レティツィアの合唱による「大空と」です。まるで透き通るような歌は、武道館という場所もあってか、さながらコンサートのよう。新入生の合格、入学を祝う歌詞が朗らかに響き渡ります。

入学式の模様
入学式の模様
入学式の模様
入学式の模様


総長

歌が終わり、喝采の後は遂に東京大学現総長、濱田純一先生による式辞。
話の始まりは、未だ影響の残る昨年の東日本大震災について。昨年は抽選で選ばれた各学部新入生の代表のみで執り行われたうら小規模な入学式だったが、今年はこうして武道館で行われた――先生はこう仰りながらも、震災の復興はまだ途上であること、東大や学生がボランティアに励んでいることを強調なさり、また新入生にも「自分であればどういうことが出来るだろうかと真剣に考え」て欲しいと仰っていました。
濱田総長は特に、新入生に「よりタフに、よりグローバルに」ということを求めておられました。これは、今まで「東大合格」というゴールを定めて努力してきた受験生が新たな新入生となった今、改めて新しい目標を示すもので、「次の時代を担うべく成長してくれることを心より期待しています」と述べられて、式辞を終えられました。

教養学部長

東大総長の次は、新入生がこれから所属することになる教養学部の学部長、長谷川壽一先生による式辞が述べられました。式辞の初めはやはり東日本大震災の話題。おそらく受験勉強に必死であったであろう時期に起こった、この「第二次大戦以降、日本が最大の打撃を受けた」大災害の悲惨さを新入生は改めて感じたのではないでしょうか。マスメディアでは復興や再生という言葉が飛び交っているけれども、沿岸部はまだまだ廃墟が広がっている、と教養学部長自身で訪れたときの生々しい体験が続きます。「仮設住宅では支援物資はたしかに豊富でしたが、やることのないお年寄りの多くは生活不活性病に悩まされている」という話を聴くと、まだまだ復興は進んでいるとは言い難く、問題が山積していることを感じさせます。そこでこう続けられました。「私が新入生の皆さんに期待したいのが、子供たちに対する支援です。(中略)損得とは無縁のボランティア活動に参加することは、皆さん自身にとっても成長の糧を与えてくれるはずです」。今、自分のやりたいことや勉学に対する意欲が旺盛であろう新入生も色々と考えさせられたのではないでしょうか。

教養学部長自身がちょうど40年前に東大に入学したときを振り返り、「今の自分を、そして今の日本と世界を想像できたかというと、はなはだ心許ない限りです。グローバル化も地球温暖化も、まして大規模原発災害も、当時の私にはどれも思いもよらないことでした。」と仰っていました。これからの未来、今からわかっていることだけでも問題は山ほどありますが、これから更にどんな問題が起こるのか容易に想像できません。そのような時に「駒場での学びを通して、未来を語る力をぜひ身に付けてくださることを切に願っています」と、広い視野、「知の総合力」をできるだけ身につけ、これからの世界を引っ張って欲しいという期待を述べられました。

根岸先生

次は根岸英一先生のお話。先生は自身の経験談から新入生に対してアドバイスを与えるという形でした。それはずばり「好きなものを探せ、そしてのめり込め」。先生自身も研究者ですが、それについても「好きなことができて給料もいただけて、こんなに幸せなことはない」と仰っていました。好きだと思ったことがやってみたら案外そう面白くなかったということもあるかもしれない、そうしたらやることを変えればいい、言わば敗者復活戦のようなものだとお話しされました。そうして面白いと感じたものを突き詰めてレベルアップしていって、ある程度までいったところでどうするか? 先生はこのあとに一息溜めて強調なさいます。「必要なのはマンツーマン指導だ」。先生自身パデュー大学のブラウン教授の研究所に入り、教授に一対一で指導を受けたことがとても大きかったそうです。その分野の権威の方に指導頂ければ最高だ、もしその人が東大にいるなら東大に残ればいいし、海外なら海外に行けばいい。これは総長も仰っていた「グローバルな東大生」にも通底するものでしょうか。「自分が貰う給料以上のものを社会に返したい」、研究者としてまるで鑑のような言葉だと思います。熱心に聴いていた新入生から、ノーベル賞受賞者が出る日が来るかもしれませんね。

新入生総代

新入生総代宣誓は文科Ⅲ類の古田朋志さん。東日本大震災による傷跡に対し、決して自分の専門に限ることなく横断的に取り組んでいきたい由を述べ、東大生としての自負と、今までお世話になった人たちへの感謝を忘れず精進していきたいと思う、と快活に宣誓し堂々と降壇しました。


いよいよ入学式もクライマックスになりました。開会前に東大応援部が歌ってみせた「ただ一つ」を、今度は新入生が合唱するのです。新入生3152人と列席者の方々が総立ちになり、日本武道館に応援部の演奏がこだまし始めます。新入生は事前に配られた歌詞を見ながら歌い、荘厳な空間と化した武道館。合唱が終わり静まり返った後、応援部主将による全身全霊の「フレーフレー東大」の大声が残響を残して消えていきます。

そして1時間超に及ぶ今年度の入学式は閉式を迎えます。再びの拍手で送られる列席者の方々、それを眺める新入生の視線は開式の時と違って見えました。授業も一週間終わり、徐々に意識下に現れてきたであろう入学の自覚を最大限引き出す入学式になっていたように思えます。去年武道館での入学式が無かった身としましては、少し羨ましくもありました。

入学式の模様
入学式の模様
入学式の模様
入学式の模様


式典後の新入生の声を紹介します。

新入生
新入生
新入生
新入生

― 入学式はどうでしたか?

  • 素晴らしい
  • 意識は高いままです
  • 長かった
  • 自分は研究職になりたいので根岸さんの話に興味を持てた
  • 人が多くてびっくり
  • 暑すぎ
  • ノーベル賞取れそう
  • 武道館でできるのが東大ならでは
  • 格調高い
  • たるかった

―もう授業が始まりましたが、大学の授業はどうですか?

  • ガイダンスが多いですが、これからが楽しみ(複数)
  • 高校と違って高度だった
  • 教授が専門を話してるから楽しそう
  • 講義型と参加型の講義があるみたいで、参加型の方は積極的に参加していきたい
  • 高校時代のほうが楽しかった
  • 自由な感じがする

―これからの意気込みを一言

  • 部活をしながら、勉強も怠らず、自分の夢に一直線に行きます
  • 打ち込める分野を見つけて、究めていきたい
  • 勉強を頑張りたいと思います
  • テニス頑張る
  • 留学に行きます
  • 部活で関東一部に上がれるよう頑張って貢献したい
  • 勉強頑張ります

新入生のご家族の方々にも聞きました。

―今のお気持ちは?

  • 将来に期待しています
  • 6年後の息子の姿が楽しみです
  • 改めてすごい大学だと自覚しました
  • やっと入学できて嬉しいです

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