駒場博物館

1. 駒場博物館の立ち位置 | 2. 展覧会について | 3. 特徴と展望

駒場博物館はどのような組織で、どんな活動を行なっているのか。駒場博物館担当で東京大学大学院総合文化研究科助教の折茂克哉先生に伺いました。(編注:取材は2016年5月13日に行われました。)

博物館の来歴

―現在の場所に博物館ができた経緯を教えてください。

駒場博物館

まず駒場博物館と言うようになったのが2003年の秋からです。この建物の中に入って活動し始めたのがその頃なんですね。美術博物館という組織と自然科学博物館という組織があって、簡単に言うと美術博物館が文系で自然科学博物館が理系なんですが、この2つを統合するものとして駒場博物館という名前を使い始めたのが2003年の秋からだったんです。

そもそもこの美術博物館と自然科学博物館という組織は、ずっと前から東京大学教養学部に存在していました。東京大学教養学部は1949年に戦後の新制大学法で全国の国立大学がそれまでと組み変わってはじめてできたもので、最初の教養学部の学部長、矢内原忠雄が、「教養教育に資するものとして大学に博物館が必要だろう」というようなことを言ったのがきっかけで美術博物館が1951年に、自然科学博物館が1953年に教養学部にできたんです。

博物館といっても、定まった建物が博物館として建てられた、という訳では全然なくて、組織として名前はあって、そこの運営委員になった教授たちが頑張って年に1回展示をやる、あるいは教養学部に属する学生の教養教育に資するための資料を集める。一級品じゃなくても、とにかく本物を、標本とか古美術資料とか古今東西の文物みたいなものを集める。そのための予算をつけてコレクションを形成していくということを地道にやっていたんです。

先ほども言ったとおり、ちゃんとした建物があったわけではなかったので、それまでの何十年かの間、学内の都合であっちに動かされたりこっちに動かされたり、コレクションの置いてある部屋が移動したり。いつも使えるちゃんとした展示室があるわけでもなかったので、その度に教室を変えて展示をやったりというのがずっと続いていました。

2003年になってから、もっと言えばそのちょっと前からですけれども、凄く大きくこの駒場キャンパスの中が変わることになりました。特に今コミュニケーションプラザとなっているところには昔駒場寮がありまして、それがなくなった後に図書館が今の場所に新しく建ったんですね。今アドミニストレーション棟と言っているのが実は1970年代から図書館として使われていたんですが、そうしたときに図書館機能が向こうに移った。

実はこの建物(現在の博物館)自体は昔からあって、2003年以前は1階が事務室になっていて、学生課と教務課が入っていて、2階に美術博物館が入っていたんですけれども、元々図書館として使われていた建物から図書館機能が移ったことで、あの建物に事務をすべて集めるということになったんです。で、ここにあった学生課・教務課も向こうに移って、ここが丸々空いたんですね。そこで、改装をして、それまで根無し草のようにあった美術博物館と自然科学博物館をここにまとめて1つの博物館、教養学部の駒場博物館として機能させようとなったのが2003年だったんです。

その後上に駒場博物館という組織を作るというちょっとした組織替えをして、こけら落としの展覧会を2003年の秋にやったのがスタートでしたね。

あと建物の話をちょっとしますと、東京大学教養学部というのはその前身は第一高等学校なんですが、ここ(現駒場博物館)はそもそも第一高等学校の図書館として建てられた建物でした。もともとこの駒場地域は江戸時代には鷹狩場として有名で、幕末・明治の最初の頃は練兵場になって、その後駒場農学校ができた。駒場農学校は後に東京大学農学部になって、この東京大学農学部と当時本郷の今の農学部があるところにあった第一高等学校が1935年に校地転換をするんですね。それを機に建てられた図書館なんです。

ですからここは元々博物館として建てられた建物ではなく、無理やり中身を博物館っぽく改装して運営しているっていうのが実情なわけです。ただ、大学の博物館というのは、一番にはここの大学の学生の教育のためにっていうのがありますから、まあ設備はそんなによくなくても、資料のレベルはそんなに高くなくても、まず教育や研究を紹介するためのものということであれば十分この程度でもやっていけるだろうということで、2003年の秋以降は年間2つから4つは特別展という形で展覧会を開催しています。うちのホームページをご覧いただければどんな内容の展覧会をいつやっていたかご覧いただけると思います。

博物館の機能

展覧会

また、大学博物館ということで言えば、一番の重要な目的はここの学生のための教育ではあるんですが、また同時にいろんな専門の先生の展覧会を企画するときに、大学院生とか若手の研究者にも必ず関わってもらっているんですね。その人たちはいずれ専門家になろうという人たちです。その専門家たちに対する教育的な訓練という意味でも、展覧会に関わらせるというのは非常に有用です。

というのは専門家に今必要とされている資質の1つとして、一般の方にちゃんと分かりやすく説明できるということも非常に求められています。こういう展覧会に関わることで解説パネルを作ったりとか、ちょっとギャラリートーク、案内をしたりとかということで、専門家に対する教育も、大学院生に対する教育も自動的に行われるだろうと。これを心がけて毎回展覧会を行うようにしていますし、また、ここでそうして作られた展覧会を無料で一般にも広く公開しているわけです。

ということは自動的に社会教育というか、一般の博物館が目指してやっている社会教育の部分も満たすことができるし、またこの地域に長いことあるこの大学でいったい何が行われているのか、というのを公開できる。地域との連携をしていく所としても機能させていくということをやろうと思っていて、それも心がけながら毎回の展覧会をやるようにしています。

1つの展覧会で学部生に対する教養教育、大学院生・若手研究者にたいする専門家教育、そして一般社会における社会教育を担おうというわけですね。で、ひいては大学と地域の連携を深めていこうと。特にこの大学は、国立大学法人とはいえ、言ってみれば国立大学なわけです。国民の税金で賄われているわけですから、中で何が行われているか還元していかないといけないだろうと。それが特に言われていることですので、大学博物館は凄く便利なツールであると思っています。

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