駒場の試験対策「シケプリ」

東京大学の学生が使う専門用語「シケプリ」。

決して「しけたプリント」の略ではない。この不思議な言葉の正体は「試験対策プリント」。学生たちが毎学期、自主的かつ伝統的に制作しているものであり、その名の通り試験前に勉強するためのとても便利なプリントである。

東京大学に入学した学生は、まずは科類ごとに40~50人程度のクラス単位に振り分けられる。学生たちはクラス単位で必修授業を受けたり、学園祭に出店したりして駒場での前期課程二年間を過ごすことになるため、入学後すぐに行われるオリエンテーション合宿においてクラス内でのさまざまな「役職」を割り振られることになる。

そしてそこで割り振られる役職のひとつに、「シケ長」というものがある。「しけた人をまとめる長」ではない。試験対策委員長、略してシケ長は、上級生からシケ対制度についての説明を受け、2年間にわたってクラスのシケプリ作成を取り仕切っていくことになるのである。

シケ長は、まず各科目についてシケ対(試験対策委員)と呼ばれる、シケプリ作成の担当者を募り、割り振る。シケ対になった人は基本的に、その科目を「きわめる」必要がある。授業に全出席し、板書や先生が授業中にしたコメントなどを総括して「そのプリントを読めば試験をクリアできる」というシケプリを作成する。

学生会館、コピー機の奥にゲスプリンターが見える

出来上がったシケプリは、現時点ではインターネット配信という少数の例を除いて印刷機で必要人数の分だけ印刷され、配られる。印刷機は東大では通常ゲスプリンター、ゲスプリと呼ばれているのだが、呼び名の由来は定かではない。どうやら東大内部でのみ使われている用語のようだ。例年学期末になると、シケプリを印刷するため各クラスのシケ長やシケ対によるゲスプリ争奪戦が行われ、試験の季節を感じることとなる。

これまで、シケプリというのは、出るべきはずの授業に出なかった人が、それを読むことにより調子よく試験を乗り越えるために利用されることが多かった。要求されていたのは「丸暗記して試験に臨めば単位が取れる」シケプリだったのである。しかし、最近ではそのシケプリ事情も変わりつつある。特に進学振り分けのある理科一類、理科二類、文科三類に関しては、試験で単位を取るだけではなく、高得点を取ることが望ましい。それゆえにシケプリも、授業を聞いただけではわかりにくい部分の解説や、一歩進んだ応用などを取り入れ、授業と併せてシケプリをじっくり読んで理解すれば高得点を狙えるという形のものが増えている。

そもそも怠惰の象徴と思われていたシケプリが、今では徐々に学習促進の効果を持ち始めているのである。


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