個人の名前がついている建物

東大のキャンパスを歩いていると、個人の名前がついた施設や場所がいくつかあることに気付きます。例えば有名なものであったら安田講堂、新しいものならば小柴ホールや伊藤国際学術研究センターなどなど……。それらの名称の由来を調べてみると、それぞれに少しずつ違った理由があることが分かります。

安田講堂
安田講堂

まず東大の中でも一番知名度が高い建物と言える安田講堂。実はこの「安田講堂」という名称は愛称で、本当の名前は単に「大講堂」というシンプルなもの。今の名称で呼ばれるようになったのは、この講堂が安田財閥の創始者である安田善次郎氏の寄付によって建てられたためです。当初は匿名での寄付だったのですが、氏が右翼による暗殺で命を落としたことを偲び、一般に「安田講堂」と呼ばれるようになりました。

このように寄付者の名前がつけられた施設・場所は他にも見られます。赤門から入って右手にある、学士会分館ビアホール跡地に建設された伊藤国際学術研究センターは、セブン&アイ・ホールディングス名誉会長である伊藤雅俊氏とその夫人・伸子氏による寄贈です。また正門と赤門の間に位置する情報学環・福武ホールは、ベネッセコーポレーション代表取締役会長である福武總一郎氏による寄付に基づき建築されました。

伊藤国際学術研究センター
伊藤国際学術研究センター
福武ホール
福武ホール

先ほどの安田講堂とは異なり、正式名称に個人の名前がついているこれらの施設は東京大学の法人化の後に作られたもので、寄付に対する大学の姿勢が変化してきていることの象徴とも言えるのではないでしょうか。

一方、理学部一号館中央棟にある小柴ホールは由来が異なります。この施設は東大名誉教授である小柴昌俊氏がノーベル物理学賞を受賞したことを記念して2005年に設置されたものです。また駒場キャンパスには矢内原公園と呼ばれる小公園がありますが、これは以前存在していた矢内原門にちなむもので、門があったことを示す石碑も設置されています。これは教養学部長であった矢内原忠雄氏がこの門の通行を許可したことが由来と言われています。

小柴ホール
小柴ホール
矢内原公園
矢内原公園

このように東大にはさまざまな個人名がついた施設・場所が存在していますが、その由来はさまざまです。気になる名称の施設があったら、ぜひその由来について少し調べてみると、面白いことがわかるのではないでしょうか。