東大の帰国子女枠入試

東大では、全ての科類において帰国子女枠入試(外国学校卒業学生特別選考第2種)を行っています。

「帰国子女」と聞いたとき、何を思い浮かべますか?「英語ができるけど、日本語があまり上手ではない」というイメージを持つ人が多いと思います。果たしてそうなのでしょうか?

まず、当然のことながら帰国子女は全員英語圏出身とは限りません。もちろん、英語を習っているとは思いますが、英語より中国語、ロシア語、フランス語を話すのが得意な人もいるでしょう。小論文の試験(後述)はアラビア語でも解答することができます。

次に、「日本語があまり上手ではない」について考えてみましょう。帰国子女によって海外滞在年数は大きく異なります。それまでの人生18年間を海外で暮らしている人もいれば、数年間だけ滞在している人もいます(但し、東大に出願するには海外に最低2年間いないといけません)。海外に滞在していた期間が短ければ日本語力は劣らないでしょう。余談ですが、帰国子女枠での出願資格がない帰国生は一般選抜入試を受けてもよいそうです。1年も受験勉強していない帰国生が一般選抜試験に受かるのかどうかは甚だ疑問ですが……。

こうしたことから、「帰国子女」をひとくくりで見ることはできません。むしろ東大に合格する人たちですから、普通の日本人とは違う「何か」を持っていなければならないでしょう。

では、この「何か」を持っているか否かの判断材料は何でしょうか。言うまでもなく、東大の課す入学試験です。帰国子女枠入試は、書類選考(一次)、小論文(二次)、学力試験(二次)、そして面接(二次)からなります。これに比べ、一般生はセンター試験で高得点をとらなければいけない上に、4教科5科目を二次試験で受けなければなりません。この二つを比べると、一般生の試験のほうが難しいように見えます。

しかしながら、書類選考で何を見られるのかは分かりません。書類選考の一つの要素が滞在国の統一試験なのですが、統一試験の成績が良くても落とされる人もいれば、悪くても一次試験を通る人もいます。帰国子女の入試は確実に受かるという保障がどこにもないのです。

二次試験では、書類、筆記試験の出来、そして面接内容で最終的な評価を下します。帰国子女入試で一番難しいのは小論文です。小論文で合否が決まるといっても過言ではありません。例年、試験1日目(2月25日)の午前9時半から小論文2枚を制限時間150分で書きます。片方は日本語で答え、もう片方は外国語で答えます。この小論文は科類によって問題が異なり、過去問を解いたとしても、傾向が分かりません。

東大のホームページに過去問が掲載されていますが、「これを勉強すれば受かる」という決定的な対策はありません。頭を柔軟にし、感性を鍛えるのみです。帰国子女の独特の視点、独特の感性が小論文に問われているといってもよいでしょう。この感性があるかないかによって合否は大きくわかれます。

2日目(2月26日)には学力試験があります。文系は外国語を一般生と同じ時間帯に受け、理系は数学と理科(4科目のうち2科目)を受けます。従って、理系は文系と比べ若干学力試験の比重が大きくなっています。なお、問題は一般入試と同じですが、理系の数学に関しては一定の範囲での問題の選択が可能です。募集要項にも書いてありますが、「学力試験の成績は、入学後の学習に堪えうるか否かの判定の資料とするものであって、一般の選抜において合否判定の基準とされるのと同一の取り扱いを受けるものではない」そうです。

最後は面接です。面接は筆記試験から約1週間後に行われます。この1週間で面接対策を考えなければなりません。実際の面接では、何故東京大学に志願したのか、何故その科類を志願するのか、何を学びたいのか、将来何をやりたいのか……などといった質問がされます。点数があれば受かるという世界ではありません。小論文と同様、面接は受験者に「何か」があるかどうかを見極める場なのです。

合格発表は一般入試と同じ日です。本郷キャンパスでの合格者番号の掲示も行われます。

以上が帰国子女入試についての説明でした。東京大学が帰国生に求めているのが、暗記力や要領ではなく、独特の視点や感性といった、一般選抜で合格した学生とは違う能力であることがお分かりいただけたでしょうか。