進路(第58回調査)

学部卒業後の主な進路としては、「大学院進学」と「就職」があります。東大生は学部卒業後の進路をどのように考えているのか、2008年(第58回)学生生活実態調査をもとにそれぞれについて調べてみました。

進路の希望進路の希望

まず進学ですが、進学を希望しているのは全体としては52.2%で、男子が55.5%に対し、女子は41.3%、文科系が28.0%に対し、理科系が69.3%と男女の差よりも文理の差が大きいことが分かります。また大学院進学の理由として「より高度の知識・技術を身につける」が男女とも最も高く約80%でした。2番目の理由として男子が「良い就職先を得る」で23.8%(女子では3番目で16.2%)だったのに対し、女子では「必要な資格を得る」で25.3%(男子では4番目で14.1%)と男女の差が明確に出ました。また「まだ社会に出たくない」が全体及び男子で3番目の理由(女子では5番目)と高いことが意外でした。

また修士課程、博士課程、専門職学位課程のいずれかを希望するかについては、文科系は修士課程までが44.8%、博士課程までが21.3%、専門職学位課程が30.1%なのに対し、理科系では修士課程までが72.5%、博士課程までが24.8%、専門職学位課程が2.0%と文科系では専門職学位課程、理科系では修士課程への進学希望が目立ちます。博士課程は文科系も理科系も20%前半と文理の差がそこまでないことが分かります。

一方就職に関しては、就職活動を行ったことがある人は、前期課程では男女ともほとんどいませんが後期課程では男子が36.7%なのに対し、女子は50.5%でした。また文科系では男女とも30数%なのに対し、理科系男子は9.3%で、理科系女子は18.2%と文理の差だけでなく男女の差も少なくないことが良く分かります。特に理科系では女子の割合が男子の倍なのには驚かされました。

また就職活動の内容としては、男女も文理も差はなくほぼ同じ傾向でした。全体として「企業等のセミナーや説明会に参加する」が90.6%で最も多く、次いで「インターネット等で情報を収集する」が88.0%、「就職に有利なように、大学以外の場所で勉強する」が17.2%と続きます。

就職先の希望職種

また最終的な就職先としての希望職種(3つまで選択)は、「企業等の研究職」が39.5%で最も多く、次いで「大学・公的機関の教育研究職」が37.5%、「行政職(公務員)」が29.1%、「専門職(医師、法曹、公認会計士など)」が26.3%「技術職」が25.9%と続きます。ここで注目すべきは、過去10年間(1998年~2007年)「大学・公的機関の教育研究職」が最も多く「企業等の研究職」を上回っていたのに、今回は2%の差で逆転している点です。平成16年に国立大学が独立法人化して国立大学職員が公務員ではなくなったことや少子化に伴う大学の廃校や赤字経営など大学の教育・研究職の魅力が少なくなったことが原因かもしれません。

さらに希望職種は全体的に男女の差よりも文理の差のほうが多いようです。例えば「企業等の研究職」は理科系は男女とも50%を超えていますが文科系は10%未満です。一方行政職(公務員)は文科系は男女とも40%程度ですが、理科系男子は19.6%、理科系女子は27.0%です。全体としては7位の「マスコミ」は文科系女子が29.6%と最も多いのが目立っています。

そしてその職業につきたい理由(3つまで選択)は、全体としては「自分の特技・能力や専門知識が活かせる」が59.6%と最も高く、次いで「人を助け社会に奉仕する」が44.5%、「安定した生活が保障されている」が32.4%、「十分な収入が期待できる」が28.5%、「独創性や創造性を発揮できる」が23.6%と続いています。目立った特徴としては、文科系は男女とも「人を助け社会に奉仕する」が50%を越えており最も多いのに対し、理科系は男女とも「自分の特技・能力や専門知識が活かせる」が70%前後ととても高い(他は50%未満)ことです。また「人を助けたり社会に奉仕する」は文理とも男子よりも女子のほうが約7ポイント多く、「十分な収入が期待できる」は文科系男子が38.2%と突出していて、文科系女子と理科系男女は22~25%となっていることも面白い特徴だと思います。

最後に就職する場所については、全体の結果が、「東京圏(東京近郊)を希望する」が54.4%と最も多く、次いで「東京圏、東京圏以外どちらでも良い」が29.7%、「出身地に近いところを希望する」が5.4%、「海外を希望するが」3.8%となっています。東京や関東出身の人も多いのでやはり東京圏が圧倒的に多い結果となりました。

さて、以上「進学」、「(学部卒後すぐの)就職」、「(最終的な)就職」の順で東大生の意識を見てきましたがいかがだったでしょうか。男女の差よりも文理の差のほうが大きいことが多いようでしたが、ところどころ理科系女子が興味深い値をだしているのが印象に残りました。

参考