菊池より子さん


東大が設置している「なんでも相談コーナー」をご存知でしょうか。本郷キャンパスに存在するなんでも相談コーナーでは、学業のことから事務的なこと、精神的なサポートなど文字通りどんな相談も受け付けています。今回はこのなんでも相談コーナー室長の菊池さんにお話を伺いました。

「なんでも相談コーナー」が設置されたいきさつについて教えてください。

菊池より子さん

設立当時の者が代替わりでもういないので最初の状況はわかりませんが、このなんでも相談コーナーは東大で「学生相談ネットワーク」が立ち上がったときに一緒に設置されたものなのです。学生相談所や精神支援保健室がお互いに連携することでより良いサポートを提供できるように学生相談ネットワークが誕生し、その一環としてなんでも相談コーナーができたと言われています。その後「コミュニケーション・サポートルーム」ができ、現在は4つの施設が連携してサポートを行う形になっています。ただ、「連携」といっても、相談内容を連携するのではなく、相談の「活動」を連携する組織になっています。例えば学生向けのメルマガを学生とともに作成したり、教職員向けにFDやSD(編註:教員や事務職員の能力開発)を行なったり、新入生向けにそれぞれの相談室から協力して説明を行ったりしているのですが、そうした際に一つひとつの相談室が独立していると十分な支援ができませんが、組織として連携して活動することで全体的な支援ができるようなシステムになっています。

学生相談所や保健センター精神科との違いはどういったところにあるのでしょうか。

学生相談所については、進路や学業についての相談や人間関係、性格、心身の健康についての相談を、一方精神科では睡眠障害などメンタルヘルスや医療としてのサポートを対象としています。またコミュニケーション・サポートルームでは、発達障害のある学生の就学支援を行っています。
私たちなんでも相談コーナーでは、いろいろなところで経験を積んだベテランの大学職員が相談員として配置され、どんな相談でも受け付けています。お話を聞いてメンタル面で困っているようであれば精神科の専門の先生につないだり、学部の手続きなどどこに聞いたらよいのかわからない場合には適切な事務係を提示したりするので、誰でも、”なんでも”相談できる窓口的な役割と思っていただいて構いません。

どのような所属の方が相談にいらっしゃいますか。

教職員、学部学生、研究生、研究員、どなたでもご利用いただけますが、一番多くいらっしゃるのは学部3、4年の学生と大学院生さんですね。

どういった分野の相談が多く寄せられますか。

学業・学生生活の相談は4割くらい、心理的な相談は3割くらい、残りは情報提供や手続き場所の相談、地理的な場所の案内などですね。

東大生に多い悩みというのはありますか。

東大生だから、ということであればやはり進振り関係の悩みでしょうか。ご存知のように東大は2年生の後半で進学する学部を決めるわけですが、入学したときには進学する学部を漠然としか決めていない人もいるので、どの学部に進学しようかと悩む学生さんもいらっしゃいます。この点は東大生特有なよう思います。
でも、東大生に限らず青年期は大学の中での学業や学生生活の悩みは多いものなので、東大生独特の相談というのは実はあまりありません。親元を離れて一人で生活をしていらっしゃる方が多いので一人暮らしに関する悩みを相談されたり、恋愛の相談も多くありますね。

東大の教職員の方の悩みにはどういったものがあるのでしょうか。

駒場の教員の方は本郷にあまりいらっしゃらないので本郷の先生方の相談が多くなってしまいますが、コミュニケーションなどの面から本郷での授業スタイルに溶け込めない学生さんや、自分の志望する学部に進学できずに悩む学生さんたちとどのように向きあえばいいのかと悩む先生方は多くいらっしゃいますね。

相談を受けるときに気をつけていらっしゃる点はありますか。

相談にいらしたとき、本当に相談したいことは実は深く秘めていて、最初は表面上の相談から始める学生さんもいらっしゃいます。ですから、よく話を聴いて、本当に相談したいことは何なのか“傾聴する”、こちらからこうでしょああでしょと意見を言うのではなくて、まずしっかりと話を聴くということを大切にしていますね。

確かに、初めから全部を言えることはあまりないですね。

話しやすいところから話すというのが普通なんですね。ですので、本当に悩んでいるところをじっくりと聴いてあげるというのが、ここの良いところなのではないかなと思います。一人あたり、精神保健支援室では20分、学生相談所では40分だったりと短いのですが、私たちなんでも相談コーナーでは時間的な制限はありませんので、ゆっくりとお話を聴くことができます。じっくりと話すことでいろいろなお話が出てくることも多いので、1時間や1時間半といった場合も普通にあります。最初はとにかくゆっくりとお話を聴き、次にいらしたときに1時間くらいでお話を聴くというように、その方のお悩みをしっかりと聴くことに重点を置いています。

どれくらいの数の学生さんや教職員の方がいらっしゃるのでしょうか。

以前は安田講堂、昨年は第二本部棟、今年(編註:2014年11月現在)はこちら(編註:旧東京大学出版会跡)と点々としていまして、安田講堂にあったときはみなさまから利用しやすい場所であったので2400~2500件あったのですが、第二本部棟に移転した昨年では500件くらい減ってしまいました。この相談コーナーのように予約なしで利用するところというのは、例えば生協に買い物に行った際にちょっと寄ってみたりする、という利用の仕方もできますが、昨年や今のようにキャンパスの端の方にある場合、どうしても相談したいことがある場合はいらしてくださいますが、遠いから諦めてしまう学生さんもいるのかなと思います。第二本部棟のときは、その場所から医学部や薬学部の学生さんが多くいらっしゃいましたよ。こちら(編註:旧東京大学出版会跡)にくると少なくなってしまいまして……。やはり場所って大事なんだなぁと思います。

来年か再来年くらいにはここからまた移転することも決まっていますが、どこに移転するのかまではまだ決まっていなくて、皆さんの利用しやすい場所になればと思っています。

相談以外にされていることはありますか。

学生相談ネットワーク本部が発行している学生向けメールマガジンをご存知でしょうか? 学生の編集補助員を募集し、私たちと共同で作っているメルマガで、各学部にも配信しているのですが……。

菊池より子さん

ちょっと見たことないです……。

学部によってはメールで配信したり、掲示したり、印刷して窓口に置いていたりされているようですが……。これは学生さんが発行月にどんな情報がほしいかを自分たちで考えて、編集しているメルマガなんです。10月は心と体の健康をテーマに、9月は生活の中でストレスとどう向き合うかをテーマにしています。挿絵も学生が書かれたものなんですよ。すごく読んでみたくなる情報が入っているので、是非お手にとっていただきたいと思っています。教務や学生相談ネットワーク本部のホームページに掲載しています。

リンク:http://dcs.adm.u-tokyo.ac.jp/event/smm/2014/09/about.html

学生へのメッセージをお願いします。

大人として自立して生きていくためには、ひとりで問題を抱え込むのではなく、必要に応じて人を頼ることも大事な能力のひとつです。相談室というと敷居を高く感じる学生さんも多いと思いますが、ここは心身の悩みを抱えた学生だけでなく、手続きなどの事務的な内容を相談したい学生も利用できる場所です。どんなことでも気軽に相談していただけるところですので、是非ご利用ください。