3.11と「恐怖」

3.11と「恐怖」

2011年3月11日の午後、私は福岡市内の中学校で卒業式を終え、同級生とボウリングをして楽しんでいました。「晩御飯は要りません」と伝えようと思い母に電話したところ、「地震で大変なことになっているらしいよ!」と何やら慌ただしい様子。私はピンときませんでした。

その日の夜、私たちのクラスは近所の中華料理店に移動しました。その店のテレビで映し出されている映像から、私はようやく事態の深刻さが分かったのです。

2016年3月11日。私は5年前と同じように、娯楽施設にいました。といっても、ボウリング場ではなく、大分県別府市にある城島高原パークです。高校時代の山岳部の同期と湯布院に泊まった帰りに立ち寄ったのでした。

城島高原パークは絶叫系アトラクションが集積した遊園地です。私の絶叫系の経験は、小学校に上がるか上がらないかの年にそれほど大したことがないジェットコースターに乗ったことぐらいなのですが、「まあ今の自分だったら乗り切れるだろう」と思い、友人たちとともに数々のアトラクションを試してみることにしました。

まずは水面に飛び込むタイプのジェットコースター「ポセイドン30」に挑戦。これは急降下するポイントが1箇所だけなので、何とか乗り切れました。次に乗ったのは、日本初の木製コースター「ジュピター」です。これが結構つらいもので、まず3分間という長い乗車時間の間に数箇所もの急降下ポイントがあり、さらに木製特有とされる激しい横揺れも、なかなかこたえるものでした。

さすがにもう受容能力の限界だと感じ、その後のアトラクションは適宜パスしました。しかし、友人が再び「ジュピター」に乗ると言い出したときは呆れました。友人は2度目でも飽き足らず、結局3回も乗ったのです。私は下から見守るだけでした。

その夜、寝床に就いた私の脳裏には、あの急降下の記憶が数度も蘇ってきました。その度にまるで自分がジュピターに乗っているような感覚になり、寒気がしました。

思えば、5年前のあの日に地震や津波を体験した方々も、相当な恐怖を感じたはずです。ただ、どんなに怖いアトラクションでも当然のように無事に乗り切ることができるけれども、地震は実際に何らかの被害を及ぼすし、命を奪うことさえある。そして彼らは余震の恐怖にも耐えなければならない。「2度目はパス」というわけにはいかないのです。

恐怖を伴う経験の重み。このことは、メディアで震災を扱う際も重大な問題となっているのかもしれません。テレビで流れる津波の映像を不快に思う人もいるでしょう。震災から5年も経ったというのに、復興の計画や防災対策といった建設的な内容よりも、あの日の出来事を掘り返してばかりいる、とマスコミに不満を漏らすSNSの投稿もしばしば見かけます。

しかし、実際に経験したからこそ、その経験を伝えたいという気持ちが強い人も少なくないと思います。被災した人もしていない人も、メディアを通じて知りたいことは人によって様々です。できるだけその多くに応えなければならないのですから、マスコミは大変です。

…というのはあくまで私の憶測にすぎません。やはり被災した方々の話を直接聞かないと、その経験の重みは分からないのでしょうか。しかし話を聞きに行くという行為が果たして意味を持つことなのかと問われると自信がない。いずれにしてもいつか東北に足を運んでみたいと思います。

03月13日 21:07 by
野上宏樹


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掲載日: 2016年3月13日 更新日: 2016年3月13日
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