物理学賞

日本出身のノーベル物理学賞受賞者は11名いますが、このうち4名は東大の関係者です。

江崎玲於奈

1947年に東京帝国大学理学部物理学科を卒業。同年に神戸工業株式会社(現富士通テン)に入社しました。1956年からは東京通信工業株式会社 (現ソニー)に勤務し、そこで「エサキダイオード」とも呼ばれる一種のPN接合型ダイオードにおけるトンネル効果(電子の通り抜け)を観測しました。1973年、その業績により他2名の学者とともにノーベル物理学賞を受賞し、1974年には文化勲章も授与されました。そのほか、別の研究で固体物理学の発展に貢献したとして1998年に日本国際賞を受賞するなど、多くの業績を残しました。なお、1959年に東京大学で理学博士の学位を取得しています。

 

小柴昌俊

東京大学理学部物理学科を卒業後、東京大学大学院理学系研究科に進み、米ロチェスター大学でPh.D.を取得し、現在は東京大学特別栄誉教授を務めています。 2002年に「天体物理学とくに宇宙ニュートリノの検出に対するパイオニア的貢献」で物理学賞を受賞しました。 ニュートリノとは物質を構成する最小単位である素粒子のひとつで、現在のところ3種類のものがあると考えられています。物質とほとんど相互作用しないため観測が非常に難しい物質です。小柴先生らの研究グループは岐阜県神岡鉱山の地下1000mにある観測装置・カミオカンデを利用し、世界で初めてニュートリノを検出することに成功しました。 なお、本郷キャンパスの理学部1号館には、小柴先生のノーベル賞受賞を記念して「小柴ホール」が設置されています。

 

南部陽一郎

東京大学理学部卒。博士号を取得後渡米し、1970年にはアメリカ国籍を取得しました。渡米後は素粒子物理学の研究に従事し、2008年の「自発的対称性の破れの発見」での物理学賞受賞に繋がりました。対称性とは、特定の条件下では複数の状態の区別がつかないことです。自発的対称性の破れとは、もともとあった対称性が物理的に安定な方向に変化する過程で失われてしまうことを指します。南部先生が当初研究した対称性は、素粒子の種類についての対称性でした。 ところで、対称性は数学とも密接に関わる概念です。皆さんに身近な対称性は虚数単位iでしょう。実数から見たら、2つの虚数単位iと-iの区別がつかないのです。何のことだか分かりましたか?

 

梶田隆章

埼玉大学理学部を卒業後、東京大学大学院理学系研究科に進み、現在は宇宙線研究所の所長を務めています。 世界で初めてニュートリノを検出した小柴先生らの研究を受け継ぎ、2015年に「ニュートリノに質量があることを示す、ニュートリノ振動の発見」で物理学賞を受賞しました。 ニュートリノ振動とは、空間を飛んでいるうちにニュートリノが別の種類のものに変化してしまうことであり、これはニュートリノが質量を持つために起こる現象です。梶田先生らの研究グループは、カミオカンデをさらに高性能化させた巨大観測装置・スーパーカミオカンデによって、空からやってくるニュートリノと地球の裏側から地球を通り抜けてやってくるニュートリノの数の違いに注目し、ニュートリノ振動を発見しました。これらの功績は宇宙の始まりや進化の理解につながると期待されています。