日比谷松本楼 (東京大学工学部2号館店)

レストラン特集では、東京大学の構内にあるレストランを紹介します。今回はその第一弾として日比谷松本楼 東京大学工学部2号館店の取材をさせていただきました。日本洋食の原点である日比谷松本楼の歴史や、東大店ならではの特徴などを伺いました。インタビューを通して店長のお店に対する思いを感じていただけると思います。


―このお店がオープンしたのはいつでしょうか。

明治36年に日比谷公園ができたのですが、それと同時に日比谷公園の中に松本楼の本店が開店しました。そして今から約14年前にここ東京大学で出店させていただいております。この店が入る以前、この場所は教室だったり先生のお部屋だったりしたと聞いております。

―客層はやはり学生が多いのでしょうか。

学生さんはあまりいらっしゃらないですね。学生さんよりは先生や職員の方、学外から大学のお仕事などいろいろな関連でお見えになる方がいらっしゃいます。他にも本郷近辺にお住まいの方にお使いになっていただいております。学生さんが少ないというのはやはり単価が少し高いというのがあるように感じます。当店で使っておりますテーブルマットに載っているのですが、2008年に胡錦濤さんが日本に来られた時、当時の総理の福田さんとご一緒に日比谷松本楼 本店を利用していただいたことがあります。孫文さんは今再度見直されている風潮があるそうですし、その関係からか中国の観光客の方は結構お見えになります。

―メニューにはどのようなコンセプトがあるのでしょうか。

日比谷松本楼 本店と同じコンセプトで、創業以来洋食のもとであるカレー・オムライス・ハヤシライスをお出しております。松本楼といえばカレーと言っていただけるのは昔の洋食のメニューが現在まで引き継がれてきた由縁ですね。

―店長をなさっていて嬉しいのはどのようなときでしょうか。

この店をしていて嬉しいのは、松本楼を昔ご利用いただいたことがあって、その当時の思い入れを持ってこちらに来て召し上がって楽しんでいただいたときですね。例えば「昔こういう年代で両親に松本楼に連れてきてもらったんだよ」とか「就職して早々に先輩に松本楼で食事をさせてもらったことがあるんだよ」などのお話いただいているのを耳にします。私が日比谷の本店にいたときの話なのですが、あるおばあちゃんは小さい頃、日比谷松本楼本店で生まれて初めてアイスクリームを召し上がったそうです。明治何年かの頃だったらしく、再び松本楼にいらっしゃったときには100歳近くになられていたと思いますが、「また同じアイスクリームを食べたい」と仰いました。お連れになったお孫さんがずっとそのお話を聞いていて「デザートにおばあちゃんと同じアイスクリームを出してください」と。そういった流れを引き継いできております。

―店長はどのようなお店のご利用を期待されていますか。

まずお昼ですね。お昼は混み合っており充分なサービスを提供できるか分かりませんが、お昼のお食事に来ていただきたいですね。またこの店は、研究室や講堂でパーティーが開かれる際のケータリングとしても、開店以来ずっとご利用いただいています。東京大学学内、いろいろなところにケータリングをさせていただいているのですが、そうした使い方は私どもとしてもありがたいですね。このお店は建物の中に入っておりまして、夜などは目立たずなかなか来づらいということもあり、お客様もあまりお見えになりません。そうしたときにケータリングを通して松本楼を知って、喜んでいただければと思います。

―店長おすすめの品を教えてください。

今のこの東大店としておすすめとさせていただいているのはやはりカレー、それも特にビーフカレーで、そのほかオムレツのハヤシソースですね。私ども日比谷松本楼では、本店と同じものを出させていただいておりますが、その店その店で全く同じものが出てくるというわけではなく、作る人の思い入れもあって店によってアレンジを少しさせていただいております。その中で一番違いがあるのは薬膳カレーですね。これは東大店ではご好評をいただいております。この薬膳カレーはよくお見えになるお客様は週に1回は必ずお召しになられますね(笑)。

―では最後に、これからいらっしゃるお客様へメッセージをお願いします。

これからお越しいただくお客様には、ここでどんな料理を頼んでいただいてもよろしいので、楽しんでいただきたいです。松本楼に来て楽しかった、おいしかったと言ってお帰りいただけるようにというのが1番のお客様へのメッセージであり、願いですね。

―ありがとうございました。

後書き

このあと筆者と取材同行者の2人は、薬膳カレーをいただきました。薬膳カレーにはウコンなどの漢方薬が入っていると聞いていたので薬の味がするのかと思っていたのですが、決してそのようなことはなく、とても食べやすく美味しかったです。上にオクラ、カボチャ、ナスがのっていて野菜好きな筆者としても大変嬉しかったです。表の通りから差し込む光が、黒を基調としたテーブルセットと対を成しているのが心地よく、お店の雰囲気は大変明るかったです。工学部2号館は安田講堂前広場から向かって左の建物です。入口に看板が出ていますので、長い歴史を経て引き継がれてきた洋食の原点を召し上がってはいかがでしょうか。


レストラン特集トップへ戻る