理科一類→工学部機械情報工学科(第一段階)

理科一類→工学部機械情報工学科(第一段階)

1.東大入学時に希望していた進学先はありましたか。

受験勉強をしていた当時、私の志望していた進学先は漠然と「何かモノを作れる学科」でした。だからこそ、工学部に進学しやすい理科一類を受験しました。一言で「モノ作り」と言っても様々ありますが、当時は具体的な中身までは決めていなかったように思います。ただ、今になってその時に併願した他大学の受験票を見直してみるとそこには「機械工学科」と記されており、最も目に見える形としてモノが作れる「機械工学」を進学先の候補として考えていたのかもしれません。

しかし思い返してみると、かつての私が指していた「機械工学」は産業ロボットなどに代表される大型機械のそれであり、進学内定した機械情報工学とは少し違った分野を志向していたのですね具体的な形を伴った「機械」に、それを動かす知能としての「情報」を与える――そういった意味では、入学時とはまるで違う分野に足を踏み入れてしまったことになります。

2.進振りを意識し始めたのはいつごろですか。

初めて「進振り」なるものの存在を耳にしたのは当然受験生の頃ですが、当時は理科一類と理科二類の違いすらも把握し切れておらず、実際の様子を肌で感じたのは先輩方の進振りを目の当たりにしてからです。つまり1学期(1年生夏学期)の成績が出た時期と重なりますが、それで予想外に自分の点数が低くて焦った覚えがあります。

1学期の期末試験の時点では希望進学先がまったく定まっていなかったため「どこへでもいけるくらいの高得点を取っておけばいいだろう」と今にして思えばマァ甘えきった考えをしていて、地に足を付けていなかったその「やる気」とやらは成績表によって無残にも打ち砕かれたわけです。2学期の履修を考えるにあたって、ようやく急かされるように、ネットや先輩を通じて学科の進振り関係の資料を漁りました。

大学入学まではほとんどパソコンに触れることのない生活でしたが、偶然にも友人の影響で1学期はパソコンに触れる機会が多く、その新鮮さ・面白さにどっぷりと浸かり始めていたため、情報系の専攻も一時は考えましたが、いわゆる「パソコンに強い人」には敵うはずもないなと諦めかけ……けれど諦めきれず、後ろ向きに言えば「妥協案」として、かねてからの希望であった「機械工学」と融合した機械情報工学科にハタと目が留まったのでした。2学期も中盤を迎え、点数上失敗できない期末試験の足音が徐々に聞こえ始めた冬のことです。
しかし実際には、堂々と「機械情報工学科に行きたい!」と言い始めたのは3学期(2年生夏学期)が始まった頃だったと思います。

3.進振りの制度についてどのくらい調べましたか。進学志望先を考えるにあたって役立ったものはありますか。

制度自体について特に調べ上げることはしませんでしたが、1年のころから折を見てサークルの先輩から色々と進振りについてお話は伺っていました。しかし結局志望先は明確に定まらずに進振りの時期となり、追い立てられるように工学部各学科の進学ガイダンスはほぼ行って、進学先についてあーでもないこーでもないと唸りもしましたし、機械系学科が行っていたオープンハウス(研究室紹介)を訪れてモチベーションを上げたこともありました。挙げ句、興味が膨らむばかりだった「ロボット」に関する授業を担当していた教授に、授業後に進振りや学科間の違いに関して直接教えていただいたり、主題科目の一環としてロボットを触りに行ったりもしました。

4.授業の取り方など、進振りのために工夫した点はありましたか。

端的に言えば、私はレポートが好きでした。元々が凝り性なため、時間を気にせず書けるレポートは性に合っているのですね。そのため、一発勝負で点数が決まってしまう期末試験のみの科目を出来るだけ避け、レポートを評価対象にしているものを多く履修しました。パソコンを使ってレポートを作成することも多かったので、それも楽しみの一因だったとも言えます。時として必要以上の苦労をしてしまうこともありましたが、それはそれ、後々の役に立つと割り切ってあまり苦ではありませんでした。

また、皮算用ではありましたが、機械情報工学科に内定できた時にプログラミングを少しも囓ったことがないのはまずかろうということで、時間に融通の利いた3学期にはプログラミングの実習授業も履修しました。これを書いている4学期開始間もない今でさえ、やっておいてよかったと思える授業の一つです。毎週の課題で成績が付けられる、というのも大きかったです。

5.進振りまでにこれをやっておけば良かった、ということがあれば教えてください。

全教養課程のうちに必修科目として組み込まれている科目が、すべて専門課程で必要とは限りません。反して専門課程に必要な科目というのも当然のごとく存在し、それに対する理解が及んでいないと苦労するのは目に見えています。

機械Bに関して言えば、意外と数学の知識が要求されます。恥ずかしながら、私は学科に入って初めて複素平面を目にしました。複素数に関しては「-1の平方根がiである」くらいしか知らず、数学、機構学、メカトロニクス、制御など進学先の諸々の授業でアタリマエのように展開される複素平面にただただ面食らうばかりでした。言っても詮無いことですが、前期課程のうちに少しでも触れておけばよかったな、と思っています。

また敢えてここでも繰り返し強調しますが、プログラミングの授業があるので、情報系学科への進学を考える人は前述のように講義や独習などで触れておいた方がスムーズに理解できるだろうとは思います。

6.他に進学を考えていた学部・学科はありますか。最終的に現在の進学先を選んだ決め手は何でしたか。

私はいつの間にやら「ロボット」をやろうという方向に身体が向いていたので、その側面から進学先を選ぶときに色々と頭を悩ませました。センサーをやりたいという意味では計数工学科、ロボットという意味では機械工学科と精密工学科が候補になりましたし、特に精密工学科は主題科目で精密工学科の教授にお世話になり、また精密工学科主催の一般講義も履修して興味を引かれたこともあり、揺れていました。

そんな中、決め手となったのは機械系のオープンハウスでした。正確には、その時真摯に話を聴いてくださった4年生の先輩が仰った「機械情報工学科はハードとソフトの両方やれるよ」という言葉でした。開催されたのは5月でしたが、進振り直前に至るまで迷った時には背中を押されたので、若干時期的に早い気もしますが一応「決め手」と言わせてもらいますね。

ハードとソフト。研究室を選ぶ時にその枠を飛び越えることもできると言われ、「これしかないな」と何やら感じたのを覚えています。まさしく私が考えた、「程よく機械,程よく情報」を学べる学科と知って、嬉しかったというのもあります。結果、その時感じたままに突っ走ってこの学科に来たわけです。それ以来その時の先輩とはお会いしていませんが、一度お目にかかってお礼を申し上げたいところです。

7.進振りの制度に対する意見や進学先の様子を含め、進振りを終えての率直な感想をお聞かせください。

「大学」という遅いタイミングまで選択肢を持ったままにしておくことは決して悪いことではありません。私の場合は顕著で、高校生当時はまさか「情報」と名のつく学科に籍を置くとは思いもよりませんでした。私が大学に入ってパソコンに触れ始めたのは友人の影響が大ですが、そういう、自分の生活してきた環境とは違う環境を背景に持つ人たちの出会いによって導かれる興味というのもあるわけで、私自身「進振り」という制度にいい意味で左右された身であり、この制度には感謝しています。時に進振り制度は「点取りゲーム」と揶揄されることもありますし、私も幾度となくそう思いましたが、みんな条件は同じなので我慢してがんばるしかありません。デメリットを補って余りある、というのは常套句ですが、まさにそうだと思います。

私は1学期を怠慢に過ごし、2学期時点でようやく学科について思いを馳せ始めた亀だったので点数に関しては苦労しましたが、教養課程の早い段階で目指すところを決めておけば要らぬストレスに苛まれることなく教養時代を謳歌できると思います。

それでもやはり悩める後輩たちのために一つ申し上げておきますと、やはり専門科目は面白いです。あまり大手を振ってやるものではないかもしれませんが、気になる学科の専門科目(4学期は駒場で開講されていることが多いです)に潜ってみてもいいかもしれません。UT-mateへのログイン自体は前期教養にいる間も可能なので、そこで各学科のシラバスを見るのも一手でしょう。


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