受験科目と入学後の選択科目

東大入試の理科は、物理・化学・生物・地学の4科目から2科目を選んで解答することになっています。これらの科目の内容は入試で必要なだけでなく、入学後の学習の基礎にもなるものです。従って、4科目全てをマスターした状態で大学に入るのが理想ということになるのですが、現実にはなかなかそうもいきません。

そのため、東大の理系1年生全員が履修する物質科学の講義の一部には、A,Bの2コースが用意されています(註:下記参照)。Aコースは高校物理の知識を前提とした講義、Bコースは高校物理の予備知識を必要としない講義です。

入試で物理を選択した人は、全員Aコースを受講することになります。物理が苦手だからという理由でBコースを受講することは認められません。一方、入試で物理を選択しなかった人は、A,Bどちらのコースを受講することも可能です。後期試験で合格した人も、A,Bいずれを受講することもできます。東大の前期試験で物理を選択していたとしても関係ありません。

Bコースでは物理学の基本概念が一から解説されますが、学期の終わりにはAコースにほぼ追い付いてしまいますので、カリキュラムはAコースよりハードだとも言えます。なお、AコースとBコースで、成績や進学振り分けに関して扱いが異なるということは一切ありません。

化学や生物、地学に関しては、こうしたコース区分は存在しませんが、初修者の存在を念頭に置いた解説が行われることが多いようです。

このように、東大のカリキュラムでは、入試での科目選択が原因で大学入学後に大きく困るという事態を防ぐための配慮がなされています。将来の進路を考えて入試の選択科目を決めるのも良いことですが、そこに拘泥する必要は必ずしも無いということですね。


(註)A,Bのコース分けが存在する科目は以下の通りです。

  • 力学(理科一類・二類・三類)
  • 電磁気学(理科一類・二類・三類)
  • 化学熱力学(理科二類・三類)

また、理科一類生の必修科目「熱力学」は高校物理の知識を前提にした内容であるため、代わりに、理科二類・三類の「化学熱力学」Bコースを受講することもできます。

科類 力学 電磁気学 化学熱力学 熱力学
A B A B A B
理科一類
理科二類
理科三類


○:全員が受講可能
△:前期入試で物理を取らなかった人、後期試験合格者のみ受講可能

(註)理科生の必修科目「数学Ⅰ」にも、理科一類に限りAコース・Bコースの区分が存在しますが、このページで解説したものとは全く異なる趣旨のコース分けです。詳しくは、こちらをご覧ください。

(註)「東大の学び」の講義紹介にも参考記事があります。「AコースとBコースの違い」