工学部社会基盤学科→工学系研究科社会基盤学専攻

工学部社会基盤学科→工学系研究科社会基盤学専攻

社会基盤学専攻を選ぶまで

自分が大学院入試を意識し始めたのはだいたい3年生も終わりに近づいた3月の下旬、サークルの役職を退いた頃でした。既に自分の周囲でも大学院入試はしばしば話題に上っていましたが、ほとんどの人がそのまま社会基盤学専攻のみを受験するつもりでいたように思います。

一方で、自分には若干の迷いがありました。大学院に進学し、より専門性の高い研究を行うに当たって、社会基盤学専攻が果たしてベストな選択肢かどうかという疑問がこの頃においてもまだ残っていたのです。そのため、自分はもう少し別の選択肢も視野に入れつつ志望する専攻を決めていきました。

その結果、4月半ばまでにはだいたい2つの専攻が候補として浮上しました。1つは社会基盤学専攻、もう1つは総合文化研究科広域科学専攻です。実を言えばこの2つの選択肢は進学振り分けの時にも似たようなものがあり、このときも非常に悩みながら社会基盤学科に進学しています。今回の大学院(修士課程)への進学は、進路を変えられる(恐らく)最後のチャンスとなるはずなので、もう一度総合文化研究科への進学も検討することとしました。もちろん両者は併願することも可能なので、6月頃までは併願することを念頭に試験の準備を進めていたように思います。

しかし、この2つの専攻の試験日がほとんど同じであったこと、そして2つの若干異なった専攻の専門科目の対策を行うとどちらも中途半端に終ってしまい最悪「共倒れ」のような結果になってしまう恐れがあったため、現在行っている研究の継続ということも考えつつ、社会基盤学専攻に一本化することにしました。

受験までの準備

6月頃まで

既に述べたとおり、6月頃までは2つの専攻を併願するつもりでいたので、2つの専攻の出題傾向などを調べ、対策していくことにしました。

社会基盤学専攻の入学試験は

科目 英語(TOEFL-ITP) 社会基盤学 口述試験
配点 300点 350点×2科目 200点

のようになっています。社会基盤学は構造設計や材料工学(コンクリート・地盤など)、交通計画や建設マネジメントなど、社会基盤学を専攻するにあたって必要な7つの分野のうち2つの分野を選択します。自分は教養学部時代は文科生だったこともあり、社会科学的な素養が求められる科目を選択しました。

なお、従来社会基盤学専攻には、社会基盤学科の学部生の内成績が優秀な若干名には筆記試験を免除する制度がありましたが、自分たちが受験した年度からは廃止されています。

一方、広域科学専攻の入学試験は

科目 英語(TOEFL-ITP) 総合科目
配点 300点 600点

のようになっています。総合科目は物理や生物のような自然科学から地理学のような社会科学まで多岐にわたっており、この中から3つの分野を選択します。自分は地理学を主に扱う分野に進学する予定だったので、地理学を中心とした科目を選択することとしました。

とはいえ、広域科学専攻を受験するかどうかは5月の時点でかなり迷いがあったので、どちらの専攻を受けるにしろ共通している英語の勉強をこの頃は中心的に行なっていました。

TOEFL-ITPは文法問題・聴解問題・読解問題の3パートに分かれており、全てマークシートによる選択式です。そのため、出題傾向を把握しておくことが極めて重要になります。自分は英語力に不安があったので、まずは古書店で若干古い問題集をたくさん買いこみ、とりあえず数をこなして解答力を挙げていきました。

6月以降

6月以降は社会基盤学専攻に受験対象を一本化したため、専門科目への対策にも着手しました。専門科目の問題は学部で行われた講義が基になっていることが多いため、まずは講義のプリントやノートを整理し、要点をパソコンなどでまとめ、講義を受けたときの記憶を取り戻すことから始めました。そして、その中で不明な点を研究室にある文献やインターネットなどを用いたり、研究室の同級生と論議したりして一つ一つ解消していきました。

その後、だいたい7月中旬頃から、専攻のホームページで公開されている過去問を解いていきました。このときもまずは自分で答えをまとめ、同級生と突き合わせてよりよい解答を練っていく、というような作業の繰り返しでした。自分が選択した科目は定量的な答えが導けない論述問題がほとんどなので、こうした作業は自分では気づかなかった視点などが分かり効果的だったように思います。

一方で、英語の勉強も引き続いて行いました。この頃からは実際のTOEFL-ITPの出題傾向を把握するため、TOEFL-ITPに特化した問題集を書籍部などで購入し、繰り返し学習していきました。TOEFL-ITPは解答時間に比して問題数が多いため、時間配分なども重要となります。こういった面も繰り返し問題を解くことである程度身についたような気がしました。

また、口述試験については、研究室の先輩などから過去にあった質問を聞き、それらに対してある程度の返答が出来るようにしておく、という程度の対策しかしていません。それを始めたのも筆記試験の後、口述試験の前日からです。

受験当日

受験当日(8月30日)、午前中は英語の試験なので、工学系研究科の全ての専攻が一緒に(もちろん試験場は複数ありますが)試験を受けます。ともあれ、社会基盤学専攻の受験者は1ヶ所に固まっており、なおかつそこには学部の顔見知りが大勢いるので、それほど緊張するようなことはありませんでした。

午後は社会基盤学専攻のある工学部1号館に移動して専門科目の試験です。この試験は試験時間が3時間と非常に長く、なおかつ自分はほとんどが論述問題なので、3時間手を動かし続けるのが非常に大変だった記憶があります。自分の受験した年度には簡単なスケッチをさせる問題があったのですが、自分はこれを最後にまわしてしまったので手にうまく力が入らず、ひどい絵を描いてしまった記憶があります。

筆記試験の翌日(8月31日)、最後の試験科目である口述試験がありました。1人ずつ、教授や准教授が7人程度集まった部屋に通され、紙に書かれた質問に口頭で答えます。ただ、考える時間はおよそ2分くらいしかないので、予想外の質問があった場合には若干戸惑ってしまうこともあります。とはいえ、既に何度か講義を受けたことのある先生が大半ですので、思ったよりは答えやすい雰囲気だったと思います。

合格発表

合格発表は9月13日、工学系研究科の掲示板と社会基盤学専攻の事務室、そしてインターネットでも公開されます。社会基盤学専攻では大学院進学後に所属する研究グループを大学院入試の成績に応じて合格発表と同時に発表するため、グループ配属の結果も見ることの出来る事務室、あるいはインターネットで合格発表を確認する人が多いようです。

合格発表日は卒業論文の中間発表のほぼ1週間前なので、ほとんどの4年生が研究室で発表の準備に追われていました。そのため、発表時間になると何人かで連れ立って三々五々事務室の掲示を見に行きました。幸い自分の番号はあり、希望の研究グループへ配属されることも決定していましたし、学科内で不合格だった人は数える程度しかいなかったため、学科の同級生と喜びを分かち合っていたと思います。

東大大学院を目指している人へ

ここまでご覧になってきても分かるように、(少なくとも)社会基盤学専攻の入学試験は社会基盤学科の学部生には非常に有利な一方で、他学科、あるいは他大学から進学を希望する人にとってはやや厳しい内容になっています。もし進学を希望されているならば、一度専攻の中で自分が行いたい研究テーマに合致した先生に話を聞いたり、研究室を見学したり、といった対応が必要かもしれません。