スペイン語

グラナドス准教授

スペイン・中南米をはじめ、近年アメリカ合衆国でも話者が増えているスペイン語。今回はそんなスペイン語の授業を担当されているウリセス・グラナドス准教授にスペイン語の特徴や授業を通して伝えたいことなどをうかがった。


1.スペイン語について | 2.学生に対して


来日から現在まで

僕は元々中国の近現代史を専門にしていました。そして10年前、今の文部科学省の研究生として東大の東洋文化研究所の博士課程に入り、2003年に博士号を取得しました。日本に来た理由は、日本の大学は予算が多く、また一次資料も豊富にあるため、いろいろな研究ができそうだと考えたからです。

実際にスペイン語教育に携わったのは2000年頃からで、ICUや上智など、関東一円の大学で様々なレベルの講座を担当した後、東大の教員になりました。この大学で教えようと思った主な理由には、自分の経験を授業を通して生徒さんに伝えたいというものがあります。スペイン語の発音や口頭練習、スペイン語圏のマスメディア、いろいろなテーマを生徒さんに教えることには自信がありますからね。

その他に、NHK国際放送のスペイン語ニュースのアナウンサーや通訳など、マスメディア関係の仕事も行っています。

現在行っている教育活動

グラナドス准教授

この大学では、スペイン語教育を主な研究課題としています。僕は初級から上級まで、様々な講義を担当しています。

その他に、今までのマスメディアにおける経験や、以前教えていた大学での経験を元にした講義も行っています。一つは、スペイン語圏のマスメディアに関するゼミで、スペイン語のラジオ・テレビ・映画・新聞などを生徒さんに紹介しています。もう一つはビデオ、映像教材の作成です。スペイン語圏・ラテンアメリカの文化・習慣などをテーマとしたドキュメンタリーを作成しています。

地域文化研究におけるスペイン語

他の言語でも同じことですが、一次資料や研究文献などを参考にするためにもスペイン語は必要ですから、スペイン語をちゃんと勉強しないと、スペイン語圏の研究はある程度までしかできないですね。ですから、少なくとも2年間はスペイン語を学習する必要があります。後期課程のスペイン語圏に関わるゼミはスペイン語で行われることが多いですから、少なくとも中級レベルのスペイン語力がないと厳しいですね。

僕はスペイン語を言語としてだけではなく、スペイン語圏の文化という大きな世界を知るための窓口であると思っています。サッカーやフラメンコだったり、音楽、サルサとか、お祭りとか、そういったいろいろなことを知るためにもスペイン語が必要ですからね。

スペイン語について簡単な紹介をお願いします。

グラナドス准教授

まず、スペイン語は類義語が多いとても豊かな言語です。それに加えて、発音が歌うようなソフトな発音で、とてもきれいだと思います。また、スペイン語の発音は比較的簡単であるという特徴もあります。特に母音は日本語と同じa・e・i・o・uの5つだけと非常に簡単で、これは日本におけるスペイン語学習の大きなメリットではないかと思います。

その一方で、マスターするのが難しいという特徴も挙げられます。完全に習得するのには1年半から2年以上の時間が必要でしょう。特にスペイン語にはたくさんの動詞があり、複雑な時制を持っているため、動詞の活用が非常に複雑になっています。おそらく、動詞の活用という面ではドイツ語やフランス語と同じくらい難しいですね。

更に言えば、「接続法」の存在が挙げられます。「接続法」は日本語にはない概念で、自分の意見、命令、勧誘などを表すために必要なもので、そうでない「直説法」との区別がハッキリしています。接続法を使いこなすのは難しいので、生徒さんたちはいつも苦労していますね。

ちなみに、スペイン語の特徴を表すものとして、スペイン語圏ではこんな冗談があります。「英語はビジネスのための言語、フランス語は恋でつかう言語、スペイン語は神様と話すための言語」。スペイン語圏の人たちはスペイン語をそのくらい豊かな言語だと考えています。まぁ、ネイティブスピーカーですから、当然自分の言語が一番なんですけどね(笑)

スペインとラテンアメリカにおけるスペイン語の違い

グラナドス准教授

驚いたことに、最近の調査によると単語はほとんど、9割以上同じものを使っています。でもイントネーションや単語の使い方、それと特に発音は国によって若干異なります。

その他に、スペインでは動詞の活用の中で2人称複数形(vosotros)を使いますが、ラテンアメリカでは、一部の南米地域を除いて3人称複数形(ustedes)を用い、2人称はあまり使われません。また、地域によってはもっと別の活用形が使われる場合もあります。こういったスペイン語がスタンダードなものなのかはまだ議論があるところなのですが。

それと先ほども説明したように類義語がたくさんあるため、一つの単語に国によって異なる意味がある場合があります。これは会話の時に意味が通じなくなる場合がありますが、まぁ、そんなに大きな問題にはならないですね。

日本ではこれまでネイティブスピーカーの教員にはスペイン人が多かったし、今も日本では「スペイン語はスペインから来る」「正しいスペイン語はスペイン人のスペイン語」という話をよく聞きます。それはある程度まで事実なのですが、やはりスペインの人口はラテンアメリカに比べると少ないです。だからラテンアメリカ、特にメキシコ・コロンビア・米国(ヒスパニック)のスペイン語は全世界で一番強いとも言えるでしょう。スペイン語は今やスペインだけのものではなく、豊かな言語として世界中に広がっているということです。


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