環境水質化学

受講前

この講義は、都市工学の基本である「水」に関する基礎的な講義であるため、都市工学科に進学する学生のほとんどが受講します。筆者は文系出身であるため、理科系の科目に自信がなく、科目名に「化学」とつくこの講義は不安でした。しかし、重要な分野なので勉強しないわけにはいかないと思い、履修を決めました。筆者は水質に非常に興味があるというわけではなかったので、正直なところ「何とかなるだろうか」という積極的とは言えない気持ちで授業に臨みました。

授業前半「水質学」

第1回の講義では、本講義の狙いについて説明がありました。河川や海などの水を「きれい」「汚い」と判断するには、どのような指標が必要なのか、「汚い」水を「きれい」にするにはどのような技術が用いられるのかを学ぶ講義だということがわかりました。文系出身の筆者にとっては、「質」を指標を用いて定量的に評価するということ自体が新鮮でした。人の健康の保護や生活環境の保全のために水質を守る必要があり、そのために環境基本法や水質汚濁防止法などさまざまな法制度が整備されていること、環境基準や水道水質基準、排出基準などの基準が定められ、その基準を満たしているか常に水がモニタリングされていることなど、身の回りにありふれている「水」がどのように守られているのかを学びました。

さらに、その基準にどのような項目が含まれているのか、有機物指標や微生物指標といった水質指標の種類と測定の原理を学びました。

この講義では、授業の最後にその日の授業内容を理解したかを試す確認テストを実施することになっており、確認テストの結果が成績評価の60%を占めるので、毎回緊張します。1回目のテストでは、どんな問題が出題されるかわからず結果はひどいものでしたが、2回目、3回目とだんだん重要なポイントがわかってきて、点数はよくなっていきました。

授業後半「水質化学」

水質を守るための制度や水質指標を学んだ前半7回の講義が終わり、後半の水質化学の授業が始まりました。水中の物質がどのような状態で存在し、どのように変化するかを理解することが後半の目標です。水の研究をするわけではなくても、水中での物質の挙動がわからないと、河川や地下水、水道などの中の化学物質等の動きを予測できず、対策をすることもできません。化学物質を適切に扱い、安全な水環境を守る社会システムを作るために、水質化学の基礎を理解しなければならないのです。このような重要性を心に留め、化学に不安のある筆者も何とか授業についていく努力をしました。初回の授業では水の物性と化学平衡について学びました。水の物性は、「氷・水・水蒸気」といった状態変化に関係することが多かったのですが、化学平衡については今までに勉強したことのないことばかりだったのですぐには理解できず、その日の確認テストでは打ちのめされました。しかし、高校で使っていた化学便覧を参照しながら自分で計算をしながら化学式を書いて何とか少しずつ理解するように努めました。2回目以降の授業では、イオンや酸化・還元、吸着について学びました。文系出身の筆者は定規を持ち歩く習慣がなく、グラフを書くテストではフリーハンドで歪んだグラフを書くことになってしまいました。高校生のときは、数学で出てきた対数(log)の意味がよくわかっていませんでしたが、pHの計算や解離定数の計算に対数を用いるので、対数の意味を実感することができました。

試験勉強と試験

授業は1月の下旬で終わりましたが、4学期の工学部の期末試験は3月の初旬に行われるものも多く、この科目の試験は3月5日で最後の試験でした。この講義では毎回の授業後もしくは次回の授業始めに確認テストがあったので、比較的コンスタントに勉強していました。冬休みにも水質学をまとめて内容を整理しておきました。そのため、直前になって慌てるということはありませんでしたが、苦手な後半の水質化学の勉強が不足していたため、不安要素が残っていました。水質化学の範囲は何度も授業で配布された資料を理解しようとして読んだり、化学便覧を見たり、手を動かして計算したりして、だんだんと理解できるようになりました。

試験では、覚えた定義式を使って、計算をして解くということが思ったよりもできました。

受講を終えて

化学に不安を抱きつつ受講した授業で、確かに化学分野の知識の不足で苦労しましたが、指標を用いて定量的に評価し、わかりやすく表すという理系的な考え方を体感することができました。まだ体得するには至っていませんが、この考え方は今後都市環境工学を学ぶ上で重要になるものだと思います。

受講前は水質にはそれほど興味がなかったのですが、この講義を通して水質は都市を考える上で非常に重要なものであることがわかりました。都市へこれほど人が密集しているのに、生活環境が不衛生にならず、都市で人が健康に生きていけるのは上下水道に負うところが大きいということ、また、都市が自然と共生していくために適切な水の処理が必要であることがわかりました。

今では、川のそばを通ると、この川の水はどこから来てどこへ行くのか、水質はどうだろうかと自然に考えてしまいます。都市についての「水」という視座を身につけることができたと思います。