動物を利用して生きる術

農学部の一部の専修には牧場実習というものがあり、東京大学の付属牧場でヤギやウシなどの家畜に関する実習を行います。しかし、付属牧場で実習ができるのは農学部の学生だけではありません。この「動物を利用して生きる術」というゼミは教養学部の前期課程に所属する理系の学生も文系の学生も分け隔てなく履修でき、なおかつ牧場の動物と実際に触れ合って勉強することができるものです。

このゼミは夏季休業中に行なわれるもので、2泊3日の合宿形式です。筆者が参加した年は、20人強が履修しました。1日に1~2コマある講義では、「家畜の歴史」や「反芻(はんすう)動物の生態」など通常の農学系講義に類するものから、「乗馬の基礎」といったこのような機会にしか受講できないものまでいろいろなことを学べます。実習もヤギやブタなど小型家畜の飼育実習や乳搾り、乗馬など幅が広く、まさに自由なゼミといえるでしょう。小型家畜の飼育実習は小屋の掃除や餌やりを学生が体験するもので、小屋に入るなり寄ってくる人懐っこいブタは可愛いことこの上ありません。乗馬は基礎から教えてもらうことができ、筆者のように運動神経がよくない人でも最終的には馬を手綱で自由に操ることができるようになります。他にも馬の蹄鉄(ていてつ)の実物を見て、その必要性について学びます。

あまり牧場とは関係ないのですが、筆者が一番楽しかったのは牧場内にある小型特殊自動車や大型特殊自動車を運転できたことです。マニュアル車の免許を持っている人は牧草を摘む軽トラックを運転できます。自動車免許を持ってない人でも芝刈り機のような小型特殊自動車を敷地内に限り運転することができ、初めて運転する人も戸惑いながらもハンドルを切って楽しんでいるようでした。

講義や実習がない時間は、ゼミの参加者が親交を深める時間です。筆者は相部屋になった2年生と牧場にあるテニスコートでテニスをして過ごしていました。卓球をやったり子ヤギの様子を見守ったりする人もいて、人それぞれの過ごし方ができます。夕食でバーベキューをしたり、記念写真を撮ったりして、3日目には参加者同士で打ち解けあい、別れを惜しみました。

合否の判断は出席と受講態度で、動物と接する態度に気をつければ合格できるはずです。このゼミでは様々な動物の利用法を体験して、未来のヒトと動物との関係のあり方について考えさせられました。興味をもたれた方は、夏学期が始まってすぐのガイダンスに是非出席してみてください。きっと受講したくなりますよ。